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コピーライター→映像製作会社ロボット→広告代理店ビデオプロモーション→再びコピーライター(フリーランス)。 メディアとコンテンツの未来を切り拓くコミュニケーションをデザインします。講演・執筆依頼もお気軽に!

「第一回・リアル境塾」セルフレビュー1「プラットフォームとモジュールと」

5月22日に開催した「第一回・リアル境塾」。佐々木俊尚さんをゲストに招いて濃密な話が聞けたよ。

そこで今回は、そのレビューを自分でやっちゃおうと。

この時のテーマは「ミドルメディアの未来」とした。今後、ぼくたちにとって重要なキーワードになりそうだから。この言葉を、ぼくは佐々木さんの「2011年 新聞・テレビ消滅」の中で初めて知った。

一方で、ウィキペディアによればジャーナリストの藤代裕之さんがこの言葉について、「マスメディアとパーソナルメディア(ブログ・掲示板など)の間にあるメディア」と定義したそうだ。

今回、そこを佐々木さんに聞いて意外だったのは、藤代さんが言い出したのと、佐々木さんが書いたのとはほとんど関連性がないということだった。そして佐々木さんは「マジックミドル(中間共同体)」から進化(?)させてミドルメディアと言うようになったのだと。

「マジックミドル(中間共同体)」は、佐々木さんの少し前の著作「インフォコモンズ」に盛んに出てくる言葉だ。これはもともと、海外のメディア論などで使われていたらしい。マジックミドルについてもう少し聞けばよかったんだけど、先を急ぐあまり聞かなかった。反省点その1だなあ。

ミドルメディアというのは、ことほどさように多様な解釈が成り立つ言葉で、ふわふわしている。なかなかつかまえられない。結局は、「マスメディアでもなく、パーソナルメディアでもない」つまりは「テレビや新聞でもなく、ブログや掲示板でもない」ということでしかないのかも。

もっと言うと「非マスメディア」ってことかもしれない。

さてミドルメディアについて佐々木さんと話を進めていくうちに「プラットフォームとモジュール」という話になった。マスメディアは成立しなくなり、プラットフォームに乗っかるモジュールとして生きていけるかどうかだ、というような論。

出てきた例が、TwitterやFacebook(=プラットフォーム)の上でFourSquareが頑張ってる、みたいなことだと。FourSquareはTwitterやFacebookの向こうを張ってプラットフォームになろうとしていない。その方が成功しやすい。プラットフォームになるには莫大な投資と労力が必要だし。FourSquareはつまりモジュールなのだと。

もう少しわかりやすい例が、Next New Network社だ。YouTubeに買収された映像制作会社だ。ちょうど22日の朝、佐々木さんがTweetしていた記事に、CEOのインタビューが載っている。これ、読んでおくといいよ。

ここをクリックするとそのインタビュー記事に飛びます。

つまり、YouTubeがプラットフォームでNext New Networkがモジュール。”制作者”にとってわかりやすい例だ。

この記事にはいくつか重要な箇所がある。ひとつは「新しいメディアには新しいブランドが必要なのだ」というところ。「新しいブランド」なわけ。「新しい作り手」ではなく、「新しい作り手」をまとめた「新しいブランド」が必要なのだと言っている。そして実際、彼らは25〜30のネットワークとブランドを作った、のだそうだ。

それからもうひとつ、彼らが成功しはじめると、外部の独立系プロデューサーが接近してきた。「最近の成長のほとんどは、こうした外部の独立系プロデューサーが作ったコンテンツによる」のだそうだ。

この話はとても参考になるんじゃないかな。

YouTubeという映像コンテンツのプラットフォームがあって、そこにモジュールとしてNext New Networkがある。しかもどうやら、数多くのプロデューサーが集まってきている。これはひとつの”ミドルメディア”なのかもしれない。

てなところで、次回へ続く・・・

このブログへの感想・ご意見や、「リアル境塾」へのコメントなど、Facebookページ”SAKAIjyuku”に書き込んでね。よろしくです!

「第一回・リアル境塾」盛況だったし、楽しかったし

ここんとこ、くどくど書いてきた「第一回・リアル境塾」。昨日(5月22日)無事開催されました。

行けなかった!Ust見損ねた!もう一度見たい!って方はこちらにアーカイブがありますとも。

http://www.ustream.tv/channel/sakaijyuku

さてぼくとしての感想は・・・

自分でやることにしておきながら、実は当日の朝になって、とても不思議な気持ちになった。別に世間的に有名人でもなく、たんにこのブログを書いてきたぼくが、自分の名前がついた催しをやるって、なにごと?

今さら感たっぷりだけど、よーく考えたらおこがましくも不遜なことをやろうとしているよな、おれ、と。

ただなぜか、このブログに集まってくれた仲間が手伝ってくれて、佐々木俊尚さんがゲストを快諾してくださり、来場申込者は100人を超えた。うーん。うーん、うむむむむ。

ぼくは大きな会社のお偉いさんにプレゼンするような時でも滅多に緊張しないのだけど、そんなことを考えていたらどんどん緊張してきた。ほんとにおれ、みんなの前でしゃべるの?

16時開始のイベントで、15時半に開場した。15分くらい経っても半分も埋まらない。ホントにこれがあと15分で埋まるの?と思ってたら、見事に埋まった。100人を超えるお申し込みに対し、90人ぐらいの来場だったそうだ。立ち見になったら申し訳ないなあと思っていたので、あ、なんか、ちょうどいいんじゃない?

いざはじまると、緊張している場合でさえなく、どんどん進んであっという間だった。準備してあった話の流れを、時間の中でうまく進めるので頭の中はいっぱい。同時並行で佐々木さんとお話していくわけで、けっこう高度な作業だったわ。それに最後の方はかなり抽象的な話になっていったので、これみんな面白がってもらえてるのかなあと不安になったり。

そんなこんなで、脳みそがものすごく疲れたところでちょうど時間となった、といった感じ。

でも終わったあと、けっこう皆さんから聞いたのが「もっと時間ほしかったですね!」「もう少し聞きたかった!」という感想。いやいやいや、あれ以上続けてたらぼくの脳みそバーストしてたよ。・・・でもそうなんだね、皆さんもっともっと濃い内容を期待していたのかも。

それはそうだな。集まってくれているのは、佐々木さんの本を読んだり、このブログを読んでくれたり、つまりはメディアコンテンツ業界がどうなるか高いレベルで真剣に考えている人たち。もっとぐいぐい濃厚な話をしてよかったのかもしれないね。

そんなこんなで疲れたとは言え、佐々木さんとのトークというイベント本体も、その後の懇親会も、ぼくはすんごく楽しめた。ぼくが主催なのだから、ぼくが楽しめることがいちばん、ってことだと思う。それがそうなったのだから、よかったよかった。

さてさて、そういう主催者としての感想とは別に、昨日の佐々木さんトークをかみ砕いたり解釈したり、しないといけないね。そのあたりはまたすぐに、明日あたりに書こうと思う。

それから、Facebookページ「境塾」の方にご意見感想なども書いてもらえると、うれしいです。来場した方の感想、Ustで見た方のご意見など、どうぞ書きこんでください。そういう、双方向な催しにしていきたいのでね。

境塾のFacebookページはこちら。Facebook内で「sakaijyuku」と検索してもらっても出てきます。よろしくねー

ブログが、みんなのチカラでコミュニティになっていった

いよいよ明日、5月22日、16時から「第一回・リアル境塾」の開催だね。佐々木俊尚さんをゲストにお招きして、ミドルメディアについていろいろ、お話をうかがうよ。デジタルハリウッド荻野教授のプロジェクト<トウキョーキュレーションTV>のご協力によるUst配信もあるので、時間あったらのぞいてみて!

境塾Ust配信のチャンネルはこちら<http://www.ustream.tv/channel/sakaijyuku>

またトウキョーキュレーションTVのFacebookページはこちら。境塾を皮切りに、いろんなUst配信をしていくそうなので、要チェックだよ!

まあそれにしても、3年前にこっそりはじめたこのブログに、ソーシャルパワーで人が集まってくれるようになり、リアルでもみなさんとお会いするようになって、ついにイベント開催にまで至った。感慨深いなあ。

ブログがコミュニティになるプロセスをまさに体感したのだった。そしてそれは、ブログを書くぼくがすごいからとかえらいからとか、そういうことでもない。いやもちろん、ぼくが書いていることにも何らかのエネルギーがあるんだろう。それは書いている中身が頭がいいとかでもなく、どうやら何かの「熱」を持っている、ってことらしい。

そしてそんなぼくの熱を受け取って、一緒になってみなさんがホットになってくれている。それぞれの胸の中でくすぶっていた火種に、ポッポッポッとこのブログが火をつけて回っているのかもしれない。だから、ここに集まる人たちはもともと、燃料が溜まっていた人たちなんだね。化学反応を起こすための触媒がぼくの文章だってことに過ぎないのだろう。

「リアル境塾」の準備には、そんなみなさんがそれぞれ関わってくれている。これがまたうれしいやら、ありがたいやら。

なんだか不思議なんだけど、「リアル境塾」は、ぼくが一所懸命みんなを引っ張っているということではなく、むしろみんなにぼくが押し出してもらって、それじゃあやりますか、って感じなんだ。だからあんまりしんどさや大変さがない。なんだかみんなとわいわいやってるうちにいつの間にか開催に至ったね、というところ。

もうひとつ、面白いなあと思ったのが、意外なほどこのイベントについて伝わっているらしいこと。リアル境塾の開催を宣言したあと、びっくりするような方々からコンタクトいただいたりした。

言いたいことがあったら、言ってみるもんだ。やりたいことがあったら、やってみるもんだ。そういうこと。

そうそう、みなさんにお願いがあるんだった。明日のUst開催を、TwitterやFacebookなどで告知してほしいの。拡散してほしいの。

22日16時から第一回リアル境塾、佐々木俊尚氏をゲストに迎えて開催!Ust配信はこちら→ http://www.ustream.tv/channel/sakaijyuku

こんな感じでつぶやいたりしてください。この催しを盛り上げるために、皆さんの力を貸してください!ぜひ!よろしくね!

22日16時から「第一回・リアル境塾」佐々木俊尚さんを招いてUst配信!

前回のブログ「所有しないコンテンツの方がヒットする?」ではけっこう大事なことに迫りつつあった気がするのだけど、その話はまた書くとして、今日は告知だけです。

毎度お伝えしている通り、「第一回リアル境塾」を今度の日曜日、5月22日から開催します。ゲストは佐々木俊尚さん。

内容としては、「ミドルメディアの未来」と題して、マスメディアが後退していく中、ミドルメディアとはどんな存在でどうなっていくんだろうね、ということにするつもり。

さて、今回は申し込んだ方は皆さん参加してもらえるので、申し込んだ方はおいでください。

それから、Ust配信のチャンネルはここをクリックしてください。URLも表記しておくと、 http://www.ustream.tv/channel/sakaijyuku ですね。

さてこのUstream配信は、デジタルハリウッドの荻野教授のプロジェクト「トウキョーキュレーションTV」のご協力でお届けします。この「トウキョーキュレーションTV」のFacebookページもできています。ここをクリックしてみてちょ。そのFacebookページに飛ぶから。

会場もデジタルハリウッドお茶の水校のセミナールームをお借りして開催。何かとデジハリさんのお力を借りてやってますね。(^^;

それから、いろんな人たちが手伝ってくれてます。もう皆さんには感謝!

ぼくがブログをこっそりこつこつ書きはじめて3年以上たち、不思議なコミュニティができていったんだ。問題意識を共有できる、ある意味、信頼できる仲間たち。みんなに支えてもらいながら、この「境塾」を続けていこうと思ってます。あなたも時々、参加してみてね!もちろん、Ustを観るだけの参加もあり!

所有しないコンテンツの方がヒットする?

「第一回リアル境塾」は日曜日に申し込みを締め切ったわけだけど、申し込みそびれてという人もいたりして。で、申し訳ないけど定員オーバーなのでごめんなさいってことで。

あと意外にいろんな人が見てくれていることもわかってね。動いてみるもんだね。うん。

それから前回も書いたけど、このリアル境塾はUstream中継も行われます。すでにチャンネルができている。ここをクリックしてみよう。まだ映像はないわけだけど、画面上に朝日をバックに”境塾”の文字が浮いていて、なんだか怪しい宗教団体みたいだぜ。(笑)

そんなこんなで、いろんな人たちの力も借りつつ、着々と準備が進んでいるよ。

ところで、前々回「ぼくたちはもう所有なんかしなくなる」と題した記事を書いたでしょ。コンテンツが大量に増えたしクラウドだしってんで、パッケージでものを所有する余裕がなくなってるしね、という内容だった。

これについて、Twitterである人が面白い見方を教えてくれた。書籍の販売においての話だけど、100万部を越えるようなベストセラーは「どれも保有型コンテンツというより消費コンテンツとしての本の売れ方だと思うのです」とおっしゃるのね。

続きを引用しちゃうとね・・・
もしドラにしても、くじけないでにしても、それで人生が変わった座右の書!という位置ではないと思うんです。特にもしドラなんて、ドラッカーを理解したビジネスマンは本当にいるのかな?と。確かにドラッカーのマネジメント入門書として役に立った人もいるとは思いますが、それが100万部超え全員ではない。結局、もしドラを読むという空気感に乗れればいい=これが「ブレイク=バカに見つかる」だなぁと思っています。

もうちょっとあるんだけど、長くなるんでこれくらいで・・・

確かにね、「もしドラ」って「これは大事なことが書いてありそうだから買ってずっと本棚に持っておこう。そして何度も読むぞ!」などと考えて買う本じゃないだろうね。いや、実はぼくは読んでないんだけど。

「もしドラ」ってよくできてるよね。「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というタイトル。そこに表れている企画性。そしてあの装丁。あんなアニメ調のイラストを使うかい普通?「もしドラ」と短縮されたことまで作戦だったかはわからないけど、戦略の塊みたいな書籍だった。

そこでいう戦略は、「上手く目を引く企画性」であって、重みある内容ではないよね。

軽い気持ちで手を出したくなる本。だからこそ100万部も売れるんだろうと。「消費型」コンテンツだから売れる。「保有型」だとあまり売れない。うむむむむ。それでいいのか?

一方でこないだの週末、映画「ブラックスワン」が公開された。Twitter上で「見た!すごい!」と話題になっていたのでそんなに面白いのかとぼくも興味を持った。

そうしたら、週末のランキングで1位だったそうだ。その前の週に公開されて1位になった「岳」を抜いたんだって。

これには驚いた。というのは、「ブラックスワン」のような洋画が1位を取るのはとても珍しいことだから。

このところ、日本の映画興行は邦画優位が続いている。1位をとるのは邦画、もしくはハリウッド大作映画。「ブラックスワン」のようなCGをふんだんに使ったスペクタクル、がまったくない洋画は1位はとれない。それがここ数年の映画興行だったのだ。

ナタリー・ポートマンのアカデミー主演女優賞があったにせよ、1位はあり得なかった。これは配給会社の戦術がうまくいったということではある。

でも、一方でお客さんが”かぎとった”のだ。これは何かある!引力を感じる!そんな”におい”がぷんぷんしたんだろうね。

根拠が薄いけど、「ブラックスワン」は「消費型」ではなく「保有型」なのだと思う。劇場で映画を見るのに「保有」もへったくれもないのだけど、気持ちとしては「なんとなく見ておくか」の「消費型」ではなく、「見たい!強烈に見たい!本質的な魅力を感じる!」という強い能動性があってみんな観に行ったんじゃないかな。

だから「保有型」でもヒットすることあるんだね、と「ブラックスワン」は証明したのかもしれない。

ただ一方で、例えば去年ヒットした映画は「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」「仮ぐらしのアリエッティ」などなどなど、観ておかなきゃねの「消費型」だね。

うーん、そうすると「ブラックスワン」はこの週末1位だったけど、そう長くは続かないかな?メガヒットにはならないのかな?

うーん、21世紀のコンテンツ消費の本質に迫りつつある気がするけど、まだ整理つかないし眠くなったので、今日はここまで・・・そいでみんな、Ust観てね・・・

5月22日16時〜「第一回・リアル境塾」はUstでも参加できます

今日はお知らせだけね。

5月22日に開催される「第一回・リアル境塾」は昨日で申し込みを終了しました。応募多数だったら抽選などとカッコいいこと言ってましたが、少し定員オーバーだったそうで。でもなんとかなりそうだということで、抽選ナシで申し込んだ方は全員参加してもらえます。

何度も書いてきたけれど、栄えある第一回は佐々木俊尚さんをゲストにお迎えして、ミドルメディアについてお話をうかがってみたいと思ってます。

この「リアル境塾」はこれから、毎月やりたいなと考えてます。奇数月は今回のようにゲストをお招きし、偶数月は単純に集まってわいわいみんなで話そう、という感じで。ゆる〜くね。でもって、いまぼくがそう考えてるだけで第2回以降はまったく準備してないので実現するかはわかんない。あはは。ゆるすぎ?

でもこういう活動をやると言ってると、また思わぬ方からコンタクトいただいたりしたのね。ある場をつくって、あるテーマに関して「わー!わー!」って騒いでると、みなさんに認識してもらえるみたいだ。ソーシャルメディアの時代ってそういうことなんだと思う。

だから皆さんもこの「わー!わー!」」に、参加してもらうといいと思う。「いい」というのは、楽しくもなるだろうし、もう少し具体的な「いいこと」にもつながるのかもしれない。知りあった誰かと、こういうことやってみようか、てなことも起こるかも、でも起こらないかも。起こらなくってもいいんでね?

参加も、ゆる〜く、でいいわけ。このブログやFacebookページをのぞいてみたり、書き込んでみたり、リアルイベントに行ってみたり、Ustで観るだけだったり。どれもこれも”参加”なんだ。時々、でもいいのかも。

ということで、Blog <-> Twitter <-> Facebook <-> Real といった循環の中で「クリエイティブビジネス論」と「境塾」は展開していくので、よろしくお願いしまーす。・・・なんで今日は敬語モードなの、おれ?

ぼくたちはもう所有なんかしなくなる

22日開催の「第一回・リアル境塾」まで、あと一週間。みんなと打合せしたりしたよ。

申し込みの締切はいよいよ今日(5月15日)までなんだって。迷ってたあなたも、このリンクを押してそのページの下の方にある申し込みフォームから申し込んじゃおう!何と言っても、第一回ゲストは佐々木俊尚さんだよ!

最初に軽くぼくから、「境塾」ができる経緯を説明し、佐々木さんに入ってもらってミドルメディアについてお話をうかがう。ミドルメディアの定義から入り、そこでのビジネスの可能性、そして民主政治とミドルメディア、なんていう話もしたい。ほうら、面白そうだ!

ところでこないだ、Googleのクラウド上にコンテンツを預けるサービスについて書いた。「3スクリーン+クラウド」というタイトルだったね。これを書きながら、ぼくは少し前にも同じようなことを書いた気がするなあと思っていた。あとで思い出した。
去年の11月に「所有することの価値が変わっていくのかもしれない」という記事を書いていた。Macが壊れて修理した時、MobileMeにデータを置いてあったのでよかったぜ、ということから考えたのだった。

そのあと東日本大震災が起きて、その感覚が加速した。

あの震災にたったひとつだけ良かった点が(逆説的ながら)あるとしたら、それまで薄々感じていたことに、向かっていくスピードが思い切り加速した、ってとこかもしれない。

クラウドから派生したことで言うと、ぼくたちはもう所有することに価値を感じなくなった。むしろ面倒で煩わしいことだとも受け止めるようになった。

ステイタスの象徴だったクルマを、個人で持つのがものすごく馬鹿げたことに思えてきた。カーシェアリングは合理的で正しいねと本気で言うようになった。

音楽や映像コンテンツをパッケージで持ちたいとはもはや思わない。数が増え過ぎたからだと思う。

高校・大学の頃は、クラプトンやストーンズなど大好きなミュージシャンがアルバムを出すと、発売日にお店に飛んでいって争うように買った。それは、ロックミュージックの数がまだまだ少なかったからだ。ストーンズのニューアルバムはいまよりずっと希少価値があったのだ。「やっと出たぜ!」と思えたのだ。

でもそれから三十年ぐらい経って、もはや素晴らしいロックミュージックは山ほどある。星の数ほどある。日本にだって素晴らしいミュージシャンがいっぱいいてたくさんの音楽を生み出している。

ぼくが高校生の頃、ギターが上手い少年だった。それは、その頃の日本でギターが弾ける人間の数がいまよりもずっと少なかったからだ。たぶん何万人かだったんじゃないかな。

いまはギターが弾ける人間の数は何百万人もいるだろう。ぼくより上手に弾ける20代の若者なんかものすごい数いるだろう。

昔は、ほんの数十年前だけど、昔は、コンテンツの数がいまよりずーっと少なかった。だから”所有”したかった。

いまは、”所有”して喜んでいる場合じゃないのだ。そんな余裕はない。所有するヒマがあったら、どんどん次のコンテンツを消化しないといけない。コンテンツは洪水のように毎日押し寄せてくるのだから。映画をDVDで所有する時間があったら、Facebookで教えてもらったYouTubeの話題の映像を見ておいた方がいい。

だからコンテンツは、クラウドの中でふわふわと浮遊する存在になっていく。

という話もミドルメディアと関係してくると思うのだけど、そこはまだ整理できないからそのうち書くよ・・・

もはや、問題は生き延び方になってきた

今日は変則的に、夜遅くの更新をしてみたよ。

業界各社の決算が発表になった。この3月期の決算が出たわけだけど、ぼくが見たかったのは前期ではなく今期。

決算短信には今期の業績予想を書かないといけないのね。少し前に、「ぼくたちにこれから、何が起こるか?」のタイトルで、これから業界は大変なことになりそうだと書いた。その続きとして、今期の予想を何らか得られないかと思っていた。

決算の発表時に業績予想も各社出すことに気づいて、今日を待っていたのだよ。

さてとりあえず数字がとれる電通と博報堂DY、そしてテレビ局各社の業績予想を並べてみた。ADKは12月決算で並べにくいので外した。ホールディングス体制ではない電通、日本テレビ、テレビ朝日は個別の予想数字がでているのでそれを抽出した。これ、意味わかる?ホールディングス体制ではない会社の場合、業績予想に”個別”の数字も”連結”とは別に発表している。個別の数字とは中心となる会社の数字、つまり電通グループではなく電通そのもの、テレビ局も子会社などの数字は除いた純粋な放送事業の数字に近くなる。

この業績予想を並べて、東日本大震災のもたらす業界への影響を見通してみようというわけね。

各社中間期の予想も出しているのでそれも表にしてある。今期は前半にもっとも影響が強く出そうだ。大ざっぱに言って各社とも売上高が5%程度減少するとの予想。経済学者やアナリストたちは今期前半の経済成長はマイナス5%前後だと予想しており、各社ともその通りの数字になっている。

驚くのが4社で営業赤字を予想している点。こんなに並ぶのはリーマンショックの時もなかった。短期的に強い悪影響が出るということだろう。強烈だよ、これは。

下期で大きくプラスに戻し、通期ではなんとか帳尻が合う予想になっている。それでも、通期の営業利益は前年から大きく減少。ここでまた驚くのは、テレビ東京が通期でも営業赤字を予測している点。そこまで悲観しますか?と言いたくなる。

でもテレビ東京は真面目に予想したということかもしれない。

とにかくこうして予想数字を並べると、今期のすさまじさがイメージできるだろう。それにここで書かれているほど、下期で持ち直すのかどうかも不安だ。もちろん各社とも経済指標の予測値などをもとに割り出しているのだろうけど、その予測値より業界は良くないのではないかとぼくは危惧している。

いずれにせよ、まず今期前半は大変な状況だとわかってくる。例えがホントに悪いけど、大津波警報だ。ここは何か前向きな対策をとかではなく、大津波が過ぎ去るまでどう持ちこたえるかだ。あの津波で助かった人々が、何かに必死でしがみついたりしたように、つかまれる何かを見つけて、とにかく波に流されないようにつかまり続けるしかない。

今年の問題は、カッコつけずに”どう生き延びるか”だ。みなさん、そばにしがみつける何か、あるかしら?・・・

3スクリーン+クラウドのコンテンツ視聴

ミドルメディアの話を続けてきた。関係があるかどうかわかんないけど、3スクリーン+クラウド、って知ってる?

昨日はなんだかGoogleが○○を発表!ってニュースが飛び交うなあと思ってたら、Google主催のイベントがあったんだね。

飛び交う中に、こんなのがあった。[速報]グーグル、ついにクラウドによる音楽サービス開始、映画のレンタルも。

音楽と映画のサービスを開始した、って話なんだけど、”クラウドによる”って部分が大事。

とくにクリエイティブビジネス論としては、映画の方が気になる。eiga.comにはこんな記事になっていた。

iTunesと似たサービスなんだけど、ちょっとちがう。AndroidはGoogleのアカウントでサービスを受ける仕組みだ。映画レンタルサービスも、端末単位ではなく、Googleアカウント単位で受けることになる。だからもしあなたが、Andoroidのスマートフォンと、タブレットと、GoogleTVを持っていたら、スマートフォンでレンタルした映画を帰宅する電車の中で見はじめて、帰宅したらリビングルームのGoogleTVで続きを見て、眠くなってきたのでタブレットを持ってベッドで見終わる、なんてことが可能だ。

可能は可能だけど、日本にはまだGoogleTVがないし、そもそもこの新発表のサービスがいつ日本でも開始するか、いまのところわからない。

それは置いといても、このサービスは3スクリーン+クラウドをその通り具現化している。

3スクリーン+クラウドは、もともとマイクロソフトが掲げた戦略で、3スクリーン(PC、ケータイ、テレビ)に対するサービスをクラウドを通じて展開していくからね、というものだった。マイクロソフトがその後、これをどう実現しようとしているのかわからなくなっちゃった。そしたらGoogleが鮮やかにも、3スクリーンをタブレット、スマートフォン、テレビにちょい変更して実現しちゃったわけだ。

3スクリーンはAppleがとっくに実現しているじゃないか、というツッコミもあるよね。でも、Appleは厳密にはそうなっていない。ダウンロードしちゃうからね。だから、iPhoneでレンタルしたものを帰宅したらAppleTVで続きを見れるけど、それはクラウドだからじゃなくて、iPhoneの映像をAirPlayでAppleTVに飛ばせるからなんだね。だから、最後のベッドでタブレットで見る、ことはできない。iPhoneからiPadには映像を飛ばせないからね。

クラウドサービスはAppleも準備中なのだと、ずいぶん前から言われている。かなり近いうちにAppleも同様のサービスになるんだろうと思う。

えーっと・・・そうすると日本の事業者は・・・どう出るかしら?このところ急にネットに意欲的になってるから、乗っかるのかな?

さて5月22日開催の「第一回・リアル境塾」。要項とお申し込みは、このリンクから。締切は15日で、応募多数の場合は抽選して翌日に皆さんにお伝えするそうです。ご応募はお早めにね!

政治との関係の中でミドルメディアを考える

この連休は原稿を書いていた。そしたら恒例の月曜ブログ更新を忘れていたよ。

原稿って何なの?ってことはそのうちまた説明するけどさ。

さて「第一回・リアル境塾」に向けてミドルメディアの予習をつづけようね。

今回の催しに佐々木俊尚さんをゲストにお招きしたのは、3月末の会食がきっかけだった。

気づいていた人も多かったみたいだけど、3月末に @hfuruta 氏も一緒に、佐々木さんとお寿司を食べたの。この時は面白かったな。ぼくが「今日はあの方と食事する!」てなことをTweetしたらすぐさま、「ひょっとして白金の寿司屋ですか?」とツッコミが入った。佐々木さんが、「これから白金の寿司屋に行く」てなことをつぶやいていたからだ。どうしてこのふたつをすぐさま結びつけられたのかなあ。勘の鋭い人にはすぐわかるもんなの?

そのお寿司の時に、リアルイベントをやるのでゲストをお願いしたことは、前に書いたよね。

さて、そのお寿司を食べながらね、意外に深い話をしたもんだ、ということがあった。

話が「キュレーションの時代」になった。ぼくが「読んだ時はけっこう難しいなと思って、さすがにこんな難しいとあまり売れないんじゃないかと正直思ったんですが、恵比寿の有隣堂ではベスト3に入ってました」と言ったの。実際、この本は発売後3か月近く経つけどまだまだ売れてるムード。あちこちの本屋の新書コーナーで平積みされてる。

佐々木さんはこれに対し「あ、うーん、今回は考えて難しく書いた、ってのはありますよ」とおっしゃった。続けて言うには、自分は何十万部も売れるタイプの書き手ではない。そんな自分にとっていまの状況は、少し難しくても読んでくれる人に向けるべきじゃないかと考えた、のだそうだ。つまり自分でマーケティングした結果の書き方、なんだそうだ。

さらにおっしゃったのはね(ここからがポイントね)「メディアって民主主義と関係すると思うんですよね。そもそも民衆が政治を語るようになったのはフランス革命の頃のサロン。そこに参加できるのは富を得た商人たちだった。だから少数ですよね。その後、近代国家めいたものが成立すると新聞が読まれるようになり、民衆みんなが政治を語るようになった。でもそうするとどうしても衆愚政治みたいなことになっちゃうんですよね。だからいま、それよりも高いレベルで政治を語るステージが必要なんじゃないかと。それがネットにできつつあると思うんです。そういう人たちに向けて書いてみたつもりなんです」

ずいぶん時間が経ってるからそうとうぼくの勝手な解釈も入ってると思うんだけど、大筋はこんなことをおっしゃったと思う。

そいでこれってね、ぼくがこのブログで1月あたりに書いていた、ソーシャルメディアと近代がどうしたこうした、って話とすごく関係するんだよ。

あるいはね、新聞テレビと来て、そこにいまソーシャルメディアが勃興していることも、メディアの流れというだけじゃなく、政治もしくは民主主義の流れ、ってことでもあるんだわ。

そうするとね、ミドルメディアというものも、マスメディア的な政治の語られ方の次の現象ととらえられるのかもしれない。マスメディアは、イコール国家だったのね。国家をひとつにまとめあげるのがマスメディアだった。だとしたら、そこから脱却しようよ、というのがミドルメディアなのかも。もう、国家全体で同じ言論じゃなくてもよくね?ってのがミドルメディア。

なんかけっこう大事なこと書きはじめてる気がするんだけど、原稿あるから、また次回ね。うわ、無責任だな(^^;

さてその「第一回・リアル境塾」は5月22日開催。要項とお申し込みは、このリンクから。まだお席はあるみたいだけど、そろそろ危うくなってきたみたい。この際だ、申し込んじゃえ!

ミドルメディアについて予習をしておこうね

えーっと毎度毎度しつこいけど、5月22日にいよいよ「第一回・リアル境塾」を開催するよ。ゲストは、ぼくがジェダイマスターのように尊敬し露骨に影響を受けている佐々木俊尚さん。これは楽しみでしょ?

これも毎度毎度書いてるけど、Facebookページ「境塾」内のご案内ページはこちら。ページの下の方に「お申し込みフォーム」へのリンクがある。申し込み多数の場合は抽選だから早い方がいいということもないけど、やっぱり早めに申し込んでね。佐々木さんは出席できないけど、懇親会もやるので、いろんな人と知り合えて面白いよ。

さてその境塾は、”ミドルメディア”について考えていく勉強会にしていこうと思ってます。

ミドルメディアって何かわかってる?いや、わかってなくていいのです。新しい概念なのでその定義もまだふわふわしている。だからこそ、勉強していこうね、というわけ。

第一回に向けて、ここでミドルメディアについて予習しておこうね。

この言葉はどうやら日本生まれらしい。ジャーナリストの藤代裕之さんが生み出した造語。彼の当初の定義は「マスメディアと、掲示板やブログなどのパーソナルなメディアの中間にあるメディア」というものだったそうだ。

具体的には、はてなブックマークのような、あまたのブログの情報を何らかまとめてくれるようなものを想定していたみたい。彼がこの言葉を使ったのは2006年で、ブログがどんどん登場してどれを読んだらいいかわかんなくなるから、それをうまくまとめた”中間”的なメディアが必要なんじゃないか、という提言だったらしい。

そして次に佐々木俊尚さんが『2011年 新聞・テレビ消滅』の中で使った。藤代氏の定義をさらにふくらませている。佐々木さんがそこで書いたのはこんなこと。「特定の企業や業界、特定の分野、特定の趣味の人たちなど、数千人から数十万人の規模の特定層に向けて発信される情報」これはつまり、マスメディアほど多くの人向けじゃないメディア、というもっとゆるい定義になっている。

こういう定義だと、いろんなものが考えられる。既存メディアでも、業界紙とか地方紙のような、新聞の中でも特定層を対象にしたものはミドルメディアだということになるのかもしれない。雑誌でも、鉄道マニアやアニメマニアなど”マニア”向けはミドルメディアに入るかもしれない。

だけどおそらく佐々木さんが意識したのはネット上のメディアであり、既存よりもこれからどんどん誕生するであろうメディアのことを念頭において言っているのだと思う。

マスメディアがいまの規模ではいられなくなる、その先にミドルメディアがどう事業化できるのかが今後のメディアコンテンツ業界のひとつのポイントになってくるだろうね。

ミドルメディアで、数千人から数十万人の特定層向け、と言われるといかにも儲からなさそうだけど、そうとは限らないんだよ。

例え1万人の読者しかいなかったとしても、その1万人が毎月1万円払ってくれるなら、月1億円の収入になる。1万円なんか払ってくれるわけない。と、思えて、意外にそうでもないかもよ。実際、投資情報なんかだとそれぐらいの価値はあるわけでね。

特定の層がほしくてほしくてたまらない情報を、唯一提供できる存在になれば、事業になりえる。対象にする数が何百万人何千万人いても、一銭も払ってもらえなければ意味がないわけで。まあそれくらいあれば広告収入は稼げるのだけど。

そんな感じでね、ミドルメディアについて勉強するから、みんな参加しようね!・・・

このブログのFacebookページ「境塾(http://www.facebook.com/SAKAIjyuku)」はこちら。よかったら遊びに来てください。ご意見、ご感想など遠慮なく書き込んでね。

「第一回・リアル境塾」をやることになったよ

「境塾」は冗談から駒だった。

このブログを軸にいろんな方とお会いするうち、「境塾」という勉強会をやろう!ということになってしまった。

その顛末を書いたのが2010年12月8日の、この記事だ。

ようするに、みんなで飲んでて盛り上がっちゃった、という話。

それから今度は、Facebookページ「境塾」が生まれた。それについては2011年1月28日のこの記事で書いている。

まあこれも、みんながノリでつくった冗談半分のもんだった。

でもここまで来ると、ホントの「境塾」を開催しないわけにはいかない。

3月の後半、佐々木俊尚さんと食事をした。ほぼ一年前にやはり食事をしていて、お会いしたのは2回目だったのだけど、ぼくの方は佐々木さんの新著が出たら買い、講演を見つけては出かけていっていた。だからあまり久しぶりな気はしなかった。

酒も進んでぼくも酔っぱらったし佐々木さんも明るく上機嫌。そこで、思い切って切り出した。「かくかくしかじかで境塾というイベントをやるんですけど、第一回ゲストをお願いできないでしょうか」

「面白そうですねえ、いいですよ」

あっさり承諾してくださった。

と、まあ、そんな展開で、5月22日、日曜日の夕方、「第一回・リアル境塾」を開催します。

参加したい方はFacebookページ「境塾」のこの案内を読んで、申し込みフォームに記入してください。

これを機に、とにかく集まったり、またゲストをお招きしたり、目標・月一回のペースで開催していきたいと思う。メディアが今後どうなるのか、コンテンツはこれからどう生き延びていくのか、そんなことをテーマにしていきます。

てことで、よろしくねー。