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コピーライター→映像製作会社ロボット→広告代理店ビデオプロモーション→再びコピーライター(フリーランス)。 メディアとコンテンツの未来を切り拓くコミュニケーションをデザインします。講演・執筆依頼もお気軽に!

ソーシャル化される広告、コンテンツ、メディア、そして自分〜本日より独立するにあたって〜

本日7月1日より、独立しました。


何やら肩書がいっぱい書いてあってわかりにくいなあと我ながら思う。

ここで整理して書いておくとね・・・

1)ソーシャルメディアのわかるクリエイティブディレクター/コピーライター

・テレビCM、ポスター、新聞雑誌広告、キャンペーンサイトなど広告制作におけるコピーライティング及び全体的なディレクション
・ソーシャルメディア(Twitter、Facebookページなど)の企画、制作とその運用及びディレクション
・上記2つを統合させたコミュニケーションデザイン
・広告コミュニケーションの一環としてのテレビ番組をはじめとしたコンテンツの企画

2)メディアコンテンツ企業へのコンサルティング

・テレビ局、制作会社、中小代理店に対するコンサルティング
・プロモーション手法の再構築、ソーシャルメディア分析を元にした企画の考え方、新規事業開発、経営管理の再構築など

もともとはCMだのポスターだのをつくってきた。ずっと前に作った簡単な作品集がこのサイト(http://oszero.jp)にまとめてある。アクセスしたら下のタブの「works」を押して、「works before OSzero」ってのを見てください。フリー時代の作品が一部見れます。ただ、フラッシュサイトなのでiOS系では見れないのね。

この頃は、とにかく制作物を制作する、ってことに命懸けてた。でもこれからは、コミュニケーションがソーシャル化する。その前提で広告を作らなきゃいけないし、広告だけでなくソーシャルメディアで何やるかも一緒に考えた方がいい。なんだったらFacebookページの運用だってやりまっせ!そこまで面倒見るべきだし、見たいと思う。そこまでやらなきゃ、商品を買ってもらうまで導けない、そういう時代になっているのだ。

広告代理店にとっては、ソーシャルなんかお金になんないしさ、ってことだろうけど、でも絶対に向き合わないといけなくなる。それにそれなりのお金にもこれからはなるよ、たぶん。だったらいまのうちに取り組まなきゃね。

ソーシャル化された広告を考えることは、これまでの広告づくりとけっこうちがってくるだろう。広告の役割は短期的な認知口上だから、話題づくりに気持ちが傾く。でもソーシャル化された広告は、長期的にも考えないといけない。そうすると、短期的な話題づくりより、じっくりブランディングしましょう、という気持ちになる。そこんとこをチーム全員と共有できるかも大事になるなあ。

広告は、メディアは、コンテンツは、これからソーシャル化されていく。ソーシャル化された方が有利になる。勝ちにつながる。そのことをみんな強く考えていかなきゃだよ。

ぼくは最初にI&Sという広告代理店に入り、93年にそこを辞めてフリーになった。それから13年間、ずっとフリー。2006年になぜかロボットに入り、2011年にはビデオプロモーションに入り、だから7年ぶりにもう一度フリーになったわけだ。

だからまあ、フリーが当然すよ、人生フリーっすよ、ってことではある。でも、今回フリーになるのはまた意味合いがちがうなあ。だってぼくはこの3年間でソーシャル化されたから。

TwitterやFacebookを使うようになったことだけを言ってるんじゃないよ。佐々木俊尚さんの『レイヤー化する世界』で言えば、コピーライターというこれまでのレイヤーとは別のレイヤーの自分ができた。それはソーシャル化されたからだ。

例えばぼくが日常的に交流している人はこの3年間に知りあった人が多い。7割くらいがそうなんじゃないかな。知りあったのは、ブログであり、TwitterやFacebookであり、それらを通じて告知するイベントであり。

メディアだけでなく、人間もソーシャル化されるんだ。

そういえばずいぶん前、2010年3月に「高度成長の焼け跡に、ぼくらはiPhoneを手に立っている」というタイトルの記事を書いた。ぼくがソーシャル化するきっかけとなった文章だ。この時初めてぼくはブログで自分の名前や所属会社を明かし、Twitterアカウントとブログをつなげた。その途端にものすごい数の人たちと知り合うことができた。

焼け跡に、スマートデバイスを手に立っている。いまフリーになってまさしくそんな状態になった。それでもぼくたちは、前に進み、日々生活し、家族と歩まねばならない。これからいったいどんな毎日になっていき、ぼくはどんなぼくになっていくのか。

いい年こいて、またイバラの道を這って進んでいくんだろうなあ。大変だぜ。

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
What can I do for you?
sakaiosamu62@gmail.com

ソーシャルクリエイティブとでも呼ぶべきものがマジ起こってきた

もう二年も前になるけど『テレビは生き残れるのか』という本を書いた。その中で、「ソーシャルクリエイティブとでも呼ぶべきもの」という部分がある。ちょっとだけふれたつもりが、いま読み返すと一章をさいてけっこう書き込んでいる。

内容がまた、よくこんなこと書いたなと我ながら思う。メディア界の制作職に就く者は“クリエイター“と呼ばれてなんか勘違いしてたんじゃないか。金銭感覚もズレてたんじゃないか。でもメディア界で経済価値を持っていたのはクリエイティブではなくメディアだったにすぎない。過剰な作業をしてクオリティを保ってきたが、そんなやり方はリーマンショックと東日本大震災で通用しなくなった。ひどいこと書いたもんだ。

そして、これから主にソーシャルメディア上で、これまでとまったくちがう系統のクリエイティブが必要になる。ソーシャルクリエイティブとでも呼ぶのだろう。そんな文脈でこの言葉が登場している。

”主にツイッターやフェースブック上で展開される言語やビジュアル表現もしくは、それらをプロモーションの場とした創作物。さらには、ソーシャルという言葉が持つ「社交的な、社会的な」という意味の通り、人々との交流や、社会への貢献のための表現という解釈も持たせたい。”

そんなことを書いている。ほほお、そうなのか。でも、いまになってこの傾向は現実になりつつある。

それを実感したのが、クロスコ社を訪問した時だ。

この会社は、ベンチャーというわけではなく、80年代創業のそれなりの歴史を持つ会社だ。分類するとポストプロダクション事業になるのだろうか。編集スタジオなどを持ち、映像製作上の技術提供を生業としているのだと思う。

そのクロスコさんが最近つくったというスタジオを訪問した。スタジオといっても撮影用ではなく編集用のもの。編集機材とナレーションどり、音声をミックスするMAもできる。撮影用ではないし機材も大仰なものではなくて、大きな部屋ではない。

でもそこには、最新の機材があるという。

これが面白く、まさしく“ソーシャルクリエイティブ“にうってつけなのだ。

大げさに言うとバーチャルスタジオ、かな?

スタジオは2つの空間に分けられている。それぞれ、畳で言うのもなんだけど、6畳程度だと思う。

奥の方の空間はナレーション録音が出来るよう、マイクが置いてある。だがなぜか、座ると後ろにグリーンの大きな布が置いてある。


こんな感じだ。

映像に携わる人なら、このグリーンの背景を見ると、ははーん、と気づくだろう。そう、これは合成用のグリーンバックなのだ。

これをスタジオの画像と合成すると、こうなる。

わかる?

このスタジオみたいに見えるのは、バーチャルなもの、つまりCGでつくられた画像だ。

座っているぼくの映像と合成すると、ぼくが本格的なスタジオにいるように見える。

これは面白い!

この背景の画像はいろんなパターンがあるそうで、簡単に切り替えられる。

例えば、こんな感じ。重ねて言うけど、ぼくはこんな大きな空間にいるのではなく、さっきの写真の小さな部屋で、緑の布をバックにちょこんと座っているだけ。なのに、大きなスタジオにいるみたいだ。

あるいは、別の動画を見せながら、ワイプで顔を出すこともできる。

また、PCの画面を映し出したりもできる。当然、Twitterのタイムラインも見せられるね。

地上波の立派なニュースショーに引けを取らない、と言いたくなるくらいの“クオリティ“の見え方。こんなことがこんな小さなスタジオでできちゃうんだから、テクノロジーって素晴らしいね。

しかも、スタジオ料金も超リーズナブル!具体的に知りたい方いたら、メールくれたらお答えしますよ。

で、このスタジオは“ソーシャルクリエイティブ時代“に向けてつくられたもの。例えばネット配信に使うと、”いつものUst映像“が地上波テレビの立派な対談番組にひけをとらない感じで見せることができる。そしてもちろん、地上波テレビで流す映像を、格段にローバジェットで制作できるだろう。

だったら、こんなこといいな、できるといいな的にいろんなアイデアを巡らせて使い方を考えてみるといいと思う。予算をかけずに何か面白いことできるのかも。

一方で、ヒカキンTVの話を聞いた。

この若者が、商品のプロモーション映像を請け負って制作しているのだそうだ。簡単に言うと自宅とおぼしき部屋で商品を使ってみたりしてしゃべるだけ。でも面白いし、再生数もかなりの数になっている。

これもソーシャルクリエイティブと言えるのかもしれない。

概念的に書いたことが、実際に起こりはじめているよ。なんか、いろんな意味で、アセるなあ・・・。

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
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sakaiosamu62@gmail.com

2013春ドラマ追跡分析(4):『ラストシンデレラ』は萌えているか?『ガリレオ』は燃えるだろうか?

春ドラマもそれぞれクライマックスを迎え、次々に終わっていく。ドラマ好きとしては寂しいけど、また新しいのも楽しみではある。

さて前回の「2013春ドラマ追跡分析(3):Twitterで抜いたら視聴率も抜くのか?」に続いて分析その4。このシリーズもクライマックスを迎えているよ。前回は視聴率とツイート数の相関性を見てみたけど、今回は放送中のツイートに絞って分析してみよう。

このクールは何しろ、『ラストシンデレラ』が話題の的だった。視聴率がほとんど上がり続けた。最終回は17.8%となったというから大したものだ。口コミ(ソーシャルだけでなく)が牽引したのはどうやらまちがいなさそうだ。それに加えて録画習慣の変化も関係しているのではないかという推測を“あやとりブログ“にこないだ寄稿した。

ここでは、『ラストシンデレラ』と、ある意味好対照となった『ガリレオ』を前回に続いて取りあげる。

まずはいよいよ最終回の『ガリレオ』。最終回ではなくラス前の第10話のツイート推移を見てみる。最終回に向けてツイートは期待感を持っていたかを見てみたいのだ。

中盤にちょっとした山ができて、最後の方でまた山になっている。これだけ見ると、ツイッターでそれなりに盛り上がったように見えなくもない。ただ、いちばん盛り上がったのはKARAのハラが出てきた時と、土曜プレミアム『ガリレオXX』告知について、である。最後の方では前後編であることに対するものなどだった。

一方、『ラストシンデレラ』の同じくラス前、第10話の放送中のツイート推移を見てもらう。

こちらは、はっきり最後の方で盛り上がっている。内容も「きゅんきゅん」とか「やばい」とか「泣ける」など気持ちを示すものが多い。

しかしこうやってバラバラに見ると、それぞれ盛り上がってるように見えなくもない。そこんとこはっきりさせるために、グラフを重ねてみた。

どうだろう?ありゃりゃ?と思えてくるんじゃないかな。

グラフの水準を合わせてみたのだ。絶対数として、同じ基準でグラフにしてある。最後の方ではっきり違いが出ている。ぶっちゃけ、『ラストシンデレラ』は最後に向かって盛り上がっているのだ。

このちがいをもっとくっきりさせてみよう。ここまでのグラフはどれも、“ツイートの数“で、つぶやきの中身は問わなかった。

このブログではこれまでも何度か”感情分析”を試みてきた。ツイートの中身を「見える化エンジン」という分析ツールにかけてみる。ツイートの中で感情を表明しているものを抽出して割合を出したりしていた。

感情を「好意好感」「高揚興奮」「否定」の3つに分け、それぞれを示す表現を含むつぶやきを抽出するのだ。

そしてドラマについて視聴者が盛り上がる時、とくに「高揚興奮」を示すつぶやきの数が増える傾向がある。そこで先ほどのツイートの中でそれに当たるものを抽出して2つのドラマを比べてみた。

先ほどのツイート件数の推移よりさらに違いが明確になっている。これを見ると、「ガリレオ』の方では、視聴者があんまり“興奮“していないのがよくわかる。一方『ラストシンデレラ』ではまさしく視聴者が“興奮“している。『ガリレオ』で唯一盛り上がったのは遊川先生が子供が苦手なことからくるコミカルなシーン。そこだけだ。

こうして見ると、『ラストシンデレラ』の方は、最終回が楽しみだという反応がツイッターではっきり見受けられた。それが最終回の17.8%となって現れた。

だとすると『ガリレオ』はどうなるのだろう。推して図るべし、というところだが、ひょっとするとこれはひょっとするのかもしれない。『ラストシンデレラ』ではラス前が16.1%で最終回が17.8%と大きく上がっている。『ガリレオ』の方はラス前が18.2%だった。すると果たして最終回は・・・?なーんてことを気にしながら、今晩じっくり見てみるといいんじゃないかな?

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
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sakaiosamu62@gmail.com

2013春ドラマ追跡分析(3):Twitterで抜いたら視聴率も抜くのか?

5月後半に、2回に分けてこの春のドラマについてTwitter分析をやってみた。それ知らない、って人は、そこから読み返してもらった方がいいかな。

2013春ドラマ追跡分析(1):Twitterから視聴率を予測できるか?

2013春ドラマ追跡分析(2):Twitterは視聴率の先を導く?

この時から約一ヶ月。状況はかなり変化してきた。上の記事を書いた頃は、『ガリレオ』が第一話でものすごく盛り上がった後、クールダウンしてないか?というムードの一方、『ラストシンデレラ』『家族ゲーム』などがちょっとホットになってきたかもよ、という感じだった。

その後の視聴率推移を見ると、この時に感じたことが具現化された感がある。『ガリレオ』は最初の視聴率より上がることはなく、途中から20%を切った。(それでも断然高い視聴率なのだけど)そしてなんと『ラストシンデレラ』はその後、第7話まで視聴率が少しずつ少しずつだけど上がってきた。第8話でカクンと下がったが、第9話第10話でまたくくくっと上がっている。

これは録画視聴と口コミがそれぞれ加速した結果ではないか、という記事を”あやとりブログ“の方に書いて掲載してもらった。そっちはそっちで重要な分析をしたつもりなので読んでもらうといいと思う。

さてここでは、2013春ドラマ追跡分析(3)として、5月の続きを書いていこう。

例によってツイッター分析はNECさんの“感°レポート”を使っている。これはホントに使いやすくて便利なんだぜー。

今回はまず、『ガリレオ』のツイッター件数を、視聴率と併せてグラフで見てもらおう。

青が一日あたりのツイート件数、赤い点が視聴率。左がツイート数の目盛、右が視聴率の目盛。視聴率はこんなところであらわにしちゃっていいのかと思いつつ、ドラマの視聴率はニュースになったりするのでネットで検索すれば出てくる。ここでは非公式な情報として参考的に見てくださいね。

さてこれを見ると、どうですか?視聴率、さすがに基礎値が高いわけだけど、徐々に下がってきている。そしてツイート件数は第2話以降水準が下がっちゃってる。

青い線と赤い点、なんとなーく相関性がある、ような気がする?もちろんそう見えるようにぼくの方で目盛のとり方を工夫している。そこをさっ引いても、相関性がある気がしないでもなくない、ってことない?

同じことを『ラストシンデレラ』でも見てみよう。これです。

おやー?!って感じしませんか?なんだかわりーとはっきりと、相関性が感じられる。いやもちろんね、そう見えるように工夫してます、はっきり言って。とは言え、それにしても、ツイートの高まりに連れて視聴率が上がっているんじゃないすか?

なるほど!ツイート件数が視聴率の予兆を示しているかもね!いやいやいや、そこまで言うつもりもない。冷静に考えて、そんなにダイレクトな関係があるとは言えないでしょう。視聴率は例えば天気ひとつで大きく変わるし、他の局の影響も強い。いろんな影響の中で、ツイート件数はひとつの要素ではあるけど、ひとつの要素にすぎない。

ただ、ここへ来て相関性が高まっている、ということだとも思う。スマートフォンの普及率の急上昇ぶりが、この相関性の高さに結びついているんじゃないだろうか。

そんな風に、大ざっぱな、大まかな、相関性が視聴率とツイート数にはある、と仮定しましょう。だとすれば、最終回に向かって『ガリレオ』はそんなに盛り上がらないが『ラストシンデレラ』は盛り上がる、はずだ。

その見方をさらに強めようと、ツイート件数のグラフを2番組で重ねてみた。そしたら、じぇじぇじぇ!だった。

ね!ちょっとびっくり。

『ガリレオ』のツイート件数は第1話では記録的な多さだった。一方『ラストシンデレラ』は足下にも及ばなかった。それがここへ来て、後者の方がツイート件数で上回っている。今日(6月19日)の段階でそれぞれの最新話の視聴率は18.2%と16.1%。およそ2%の差がある。

どうだろうね?

2%はかなりのハードルだから、ツイート数の差はそこがひっくりかえるほどでもないかもしれない。ただ、勢いはあるよね。

twitter分析は、そんな視聴率予測みたいなことに使うつもりでやってるんじゃないんだけどね。でもちょっと楽しみではある。

さて、もっといろんな角度での分析もしてみたいので、それはまた次回でお話ししましょう!

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
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sakaiosamu62@gmail.com

独立20年目に、もう一度独立しちゃうぞ宣言〜50にもなってナニやってんだ、おれ?〜

この6月末を持っていま勤務している会社を退社し、フリーランスになることにしました。

思い返せばちょうど20年前、30才の年に、それまで勤めた広告代理店I&Sを辞めてフリーランスのコピーライターとして独立したのだった。ずっとフリーでやって来たのがなぜか2006年に映像製作会社ロボットに入って、なぜか経営企画室長になり、2年前に今の会社にまた転職してと、7年間サラリーマンをやって来た。

だから、20年前に一度独立したのに、また独立しようとしているわけだ。人生に二回も独立するとは。50才にもなってナニやってんだ、おれ?と、我ながら思う。受験を控えた子供が二人いる父親としてやることじゃないよなあ。

ただ、ぼくにとってはこの7年間がイレギュラーだった。ぼくの人生の目標の大きなひとつとして、“自分のチカラで生きる“というのがあった。だからフリーランスでやっていくことが目標だったし、30才からの13年間はそれをやってきた。この7年間は、また一人でやっていくための栄養補給期間だったのだ。なーんて後付けですけどね。

先日、コピーライター梅本洋一さんが亡くなった時、自分のアイデンティティはコピーライターなのだともう一度認識した。コピーライターというベースがあって、あんなことやこんなこともできるようになったり考えたりしてきた。そこ、戻ろうか、おれ。そんな気持ち。

そのあたりの心境はまた別の機会に、こーってり書きたい。とくに最近の“ノマド論“も含めて語ってみたい。

それより今のぼくは、自分を再定義しないといけない。おれは、結局、何者?実際、このところいろんなことやっているがために、「境さん、何やってる人なんですか?」と聞かれたりする。あ、ぼくはこういう者ですよ、これからこういうことやっていきますよ、ということを整理してみますね、はい。

1)ソーシャルメディアのわかるクリエイティブディレクター/コピーライター

・テレビCM、ポスター、新聞雑誌広告、キャンペーンサイトなど広告制作におけるコピーライティング及び全体的なディレクション
・ソーシャルメディア(Twitter、Facebookページなど)の企画、制作とその運用及びディレクション
・上記2つを統合させたコミュニケーションデザイン

7年前まではコピーライターとして、そしてクリエイティブディレクターとして、CMだのポスターだの新聞広告だのを制作してきた。コピーを書いて企画をまとめて制作作業を仕切る、だけでなく、マーケティング的な課題の解決策として企画の方向づけをしてそれをクライアントに理解してもらえるよう説明するとかなんとか、必要ないろんなことをやっていた。

今後はそうした既存の広告企画に加えてソーシャルメディアの活用も併せて企画することが必要になると考えている。つまり、コミュニケーションの目的が認知からエンゲージメントにシフトしていくのだ。もっと大げさに言うとどのメディアでも“ソーシャル化”を意図する必要が出てくる。

そこまで踏まえた総合的なクリエイティブディレクター、いやコミュニケーションディレクターとしてお仕事していきますよ、ということです。

2)メディアコンテンツ企業へのコンサルティング

・テレビ局、制作会社、中小代理店に対するコンサルティング
・プロモーション手法の再構築、ソーシャルメディア分析を元にした企画の考え方、新規事業開発、経営管理の再構築など

これからいよいよ、メディア企業、コンテンツ企業は悩ましい時代に入っていく。生き残り方の模索に誰しも取り組まねばならない。これに対してコンサルティングをやっていきたいと考えている。

いくつかキーワードがある。ソーシャル化、複層収益化、低予算化、バジェットからフィーへ。売上を増やせるかではなく、利益を残せるか。そんなことを、今後のメディア動向を見据えて予測しながら考えていく。そのお手伝いができたらと思う。

ということを、7月からはじめるわけですが、有休消化もあるし、もうお話うかがいます。相談だけならタダだからね。

ということで、ご連絡はメールやFacebookメッセージでどうぞ。
sakaiosamu62@gmail.com
https://www.facebook.com/sakaiosamu

いい年こいて、無謀な船出をすることになりました。このブログも今後ますます書いていくので、境のどうなることやらも含めて、乞うご期待!皆さんあたたかく見守ってくださいね!

ビジネスモデルは見えてきてる、つもり〜一周年オープンセミナー盛り上がった!〜

このブログで何度も何度も告知してきた、ソーシャルテレビ推進会議・一周年オープンセミナー。6月5日に予定通り開催し、想定以上に盛り上がって無事終了したよ。

前回は無料でやって180名の応募があったけど来場者は100名程度だった。今回は1000円の有料イベントにしてみた。150名の応募枠が埋まってしまったため20名分の立見枠も500円で設定したらそれも埋まった。つまり170名の申込をいただき、実際に来たのが150名程度。いやホントに来てくれた皆さん、ありがとうございました!

自分で言うのもなんだけど、内容的にもとっても充実していたと言えると思う。内容を再掲するとこんなプログラムだった。

ソーシャルテレビ推進会議・一周年オープンセミナー
「ビジネスモデルは見えてきたか?」


第1部:テレビはWEBで飛躍できるか
   モデレーター:中山理香(VOYAGE GROUP)
   ゲスト:ゲスト:石倉清史(NHK)安藤聖泰(日本テレビ)
第2部:テレビ視聴のこれから
   モデレーター:深田航志(ビデオリサーチインタラクティブ)
   ゲスト:遠藤諭(角川アスキー総研)土屋和洋(LG Erectronics Japan)
第3部:テレビの未来、開拓中
   モデレーター:境治(メディア・ストラテジスト)
   ゲスト:西田二郎(読売テレビ)藤村忠寿(北海道テレビ)

ここに並ぶゲストの皆さんのお名前を見るだけでも、いかに充実していたイベントだったか感じとってもらえるだろう。

第一部ではNHK石倉さんと日本テレビ安藤さんのお二方に、テレビ局のAPIについてのお話をしてもらった。NHKはちょうどAPIを外部に公開することを発表し、そのためのWEBサイトも公開したばかり。ちょっとした登録などをするだけで、APIの提供を受けられる。テレビ関連のサービスやアプリなどに役立てることができるだろう。テレビ局がこれをやるなんて、超のつく画期的なことだ。

日テレも実は前々からAPIを部分的に公開したり、ポータルサイトへ提供する情報を独自に増やしたりしてきた。やってることをぼくも今回知ったよ。進んでるんだね、秘かに。

APIの解放は、例えばアメリカでは普通に行われていることだ。情報やデータを囲い込んじゃうより、解放していった方が番組情報が拡散し、実はテレビ局にとってトクをする。そんな考え方に、遅かれ早かれ日本も移行していくはずだ。その早かれを、NHKや日テレはやっているぞ、やっていくぞ、というのが第一部のお話だった。

第二部では敬愛するアスキー総研・遠藤さんと、LGでテレビのマーケティングに取り組んでいる土屋さんがゲスト。

LGは日本でスマートテレビと胸を張って言える製品を販売している。事実上、LGだけじゃないだろうか。家電販売店に行ったらぜひLGの売場を見てほしい。他のテレビとは一線を画した製品だと分かるだろう。

LGのユーザーはネットへの結線率が高いそうだ。当然かもしれない。一方で、テレビへのニーズは何なのか。みんな何を求めているのか。あるいは、何がテレビのポイントになるのか。UIあるいはUXではないか。そんな話で第二部は盛り上がった。

もっと具体的にどんな話だったのか知りたいという方は、以下を見てほしい。

・Ustream配信のアーカイブ(ちょっと音が小さいかもしれないのでイヤホンが必要かも)
・@nakonakoさんによるTogetterまとめ
・椿ブログの速攻記事

それでいよいよぼくが進行役をやった第三部。予告記事で書いたように埼玉テレビで不定期放送中の「たまたま」を題材に、テレビ制作者にとってのこれからのテレビづくりを二人のゲストに語ってもらった。

「たまたま」の基本情報は前に書いた記事で読んでください。読売テレビの西田二郎氏、北海道テレビの藤村忠寿氏が、系列を超えて組んでやっている番組だ。

このセミナーでもお二人がショーマンシップを大いに発揮してみんなを爆笑の渦に巻き込みながら、でも考えさせられる、そして心をを打つ「たまたま」に込めた思いを語ってくれた。

テレビが今、あまりにもできあがってしまっているからこそ、“○○○べき”をとっぱらった作り方をしてみたい。だから系列を超えて独立U局を舞台にすること。そして予算ゼロではじめることが必要だったのだ。すべての手かせ足かせをとっぱらった番組が「たまたま」なのだ。

さてぼくはこのセミナーのテーマに「ビジネスモデルは見えてきたか?」というサブタイトルをつけた。問いかけであって、見えたかどうかは参加者次第、なのだけど、実はこの「たまたま」にはビジネスモデルのひとつの答えがある、つもりなのだ。

この番組は予算ゼロなので、スタッフを募集しているし、スポンサーも募集している。そしたら、八木橋百貨店さんがのってくれたのだそうだ。そこで、4回目の放送でこんなテロップが出た。

熊谷にあるデパートらしい。こちらの方が、収録会場に来ていて、その場で手を上げてくださったのだそうだ。

そしたら、収録に来ていたみんなが、どわーっと喝采したという。

会場に来ていたのは、スタッフ募集に応えてきた人びと。つまり「たまたま」ファンであり、参加者だ。彼らは予算ゼロでやっているのを知っている。そんな彼らからすると、八木橋百貨店さんはありがたい!と素直に思える存在なのだ。スポンサーについてくれたことで、「たまたま」でできることが広がるかもしれない。少なくともテロップは出せる。なんてありがたいんだ!よし!熊谷行くなら八木橋だ!と、心からみんな思ったことだろう。

そこには、番組を真ん中に、作り手と、視聴者と、スポンサーの美しい関係ができている。見えてくる。そこにビジネスモデルのヒントと言うか、原形みたいなものがありそうじゃないかな?

なーにを言っているんだ。広告ビジネスがわかってない。メディア事業とはそんなものじゃないんだよ。だってビジネスなんだからね。なんて言われて鼻で笑われるかもしれない。

んー、でもね。メディア事業って、本来そういうものじゃなかったっけ?

人びとが集まっていて、その人びとに関与する企業があって、人びとに楽しさを提供する作り手がいて。そんな三角形がひとつになって互いの意義を見いだす場所。それがメディアなんじゃないのかな。

日本のテレビ放送の黎明期だって、そんな感じだったはずだ。番組に提供するスポンサーは、広告枠を買う以上の付加価値を感じてお金を出していたはずだし、視聴者は自分の好きな番組を提供するスポンサーに好感を持っていたはずだ。

そのことの美しさ、大切さを、作り手も、スポンサー企業も、そして視聴者も、忘れちゃってわかんなくなっちゃってるんじゃないだろうか。

この話はもっと広げて書いていきたいし、お二人の話ももっといろんな側面を含んでいたので、また続けていこうと思う。

ところで、最後の方で西田さんが、このセミナーを番組にするかもわからんので、てなことを言っていた。あんなトークが番組になるの?テレビってそんないい加減でいいの?と聞いたらお二人はきっと「いい加減で何が悪いの?」と答えるんだろうなあ。

6月29日、境塾を開催します。今度のテーマは、ネット選挙!

境塾、という冗談半分なタイトルで勉強会イベントをやってきた。なんだそりゃ?って思ったら、このブログのカテゴリーから“境塾“ってのを選んで出てくる記事をざっと読んでもらえればわかる。あと、上のタグの「VIDEO」を押すと、境塾をUstream配信したアーカイブが見れたりする。2011年にはじめた時は2か月に一回程度やってたんだけど、ソーシャルテレビ推進会議を起ち上げてからは頻度が下がった。去年の7月に著作権をテーマにやったのが最後になってた。

その境塾を久々に開催します。今回のテーマはなんと!ネット選挙だ。

クリエイティブビジネス論が政治かよ、と思うかもしれない。自分でも思うし。でもね、メディアだコンテンツだのは、実は極めて政治性を帯びたものなのだよ。日本では1970年以降、そういう捉え方を避けてきたけどね。でも例えばテレビなんて政治的なことこの上ない存在なのだ。

テレビや新聞などのマスメディアはこの100年くらい明らかに、いまの政治状況を支えてきた。つくってきたと言っても過言ではないだろう。いや、ここでマスゴミ批判みたいなことを言うつもりもないよ。ただ、意図していなくても政治に関わり、政治状況を醸成してきたのは他ならぬテレビなのだ。

マスメディアとは国家という共同体をバックアップしてこれまでやってきた。それがいま曲がり角にきているのは、つまりはいままでの国家の捉え方、それを運営するための政治のあり方も曲がり角に来ているということだ。メディアと政治は切っても切り離せないのだ。

そして今回のネット選挙の導入はある意味とても大事だと思う。ソーシャルメディアが、既存のマスメディアをちょっと視聴者の側に寄せてきたように、ネット選挙が政治を有権者の側に寄せてくれるのかもしれない。いや、誰かが寄せてくれるんじゃなく、この機会にぼくたち自身が、自分たちの側に政治をもって来ようとしなくてはいけない。そういう可能性が、ネット選挙解禁にあるんじゃないだろうか。

そんなことを、ぼくよりぶりぶりに若い論客、江口晋太朗氏をゲストに招いて話してみたい。彼のことは3月にここで書いたように、フリーランスの編集者でありつつ、いろいろな場でいろいろな活動をしている。One Voice Campaignというネット選挙に向けた活動にも参加していたので、その体験や考えなどをじっくり聞いてみたい。

境塾@デジハリ
日時:6月29日(土)14時〜16時
場所:デジタルハリウッド駿河台キャンパス 3階 E11・12教室
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6 お茶の水ソラシティ アカデミア
※デジタルハリウッドはこの春に移転しているのでご注意を
ゲスト:江口晋太朗氏
     編集者/One Voice Campaign発起人
    鈴木邦和氏
     (日本政治報道株式会社 代表取締役/日本政治.com運営)
テーマ:ネット選挙で政治は変わるか?
定員:50名(予定)
共同開催:デジタルハリウッド大学院 荻野健一研究室

申込:ATNDサイトでお申し込みください(ここをクリック!)
※終了後、同じ会場にて17時まで懇親会を開催します。こちらに参加の方は飲み物代500円をいただきます。

ゲストに江口氏とは別に交渉中としてあるのが気になるね?いまお話をしているので、確定したら発表しますよ。

というわけで、久々に開催する境塾、ぜひ皆さんご参加を。前に来たことある方はもちろん、初めての方もどうぞ!いろんな人が集まるから、交友を広げる意味でも面白いと思うよ!

追記:もう一人のゲストを加えました。日本政治.comという、投票支援サイトを起ち上げた鈴木邦和さん。20の質問に答えると自分にふさわしい政党が選べる仕組みで話題になった。いったいどういう思いではじめたのかなど、ぜひ聞いてみたい。

オープンセミナー事前解説(+NHK技研公開レポート):テレビはWEBで飛躍できるか?

NHK技研公開に、ひと足お先に行ってきた。

技研公開とは、砧にあるNHKの技術研究所が年に一度、開発している技術を一般に公開する催しで、今年は5月30日から4日間行われる。この28日はプレス向けの限定公開の日で、それに乗じてぼくも呼んでもらえたという次第。うらやましかろ?

去年もそうだったけど、今年はいよいよ持ってハイブリッドキャストがメインだった。ハイブリッドキャストとはNHKが開発中の技術で、スマートデバイスとセットでテレビを楽しむ様々な技術の総称だ。

そのハイブリッドキャストがいよいよ、今年は本格スタートする予定らしい。対応したテレビのハードも次々に出てきそう。

今日展示されていたデモンストレーションでさえも数多くの機能があり、テレビの視聴をあれやこれやと変えてくれそうだ。

ぼくが驚いたのは2点ある。

1点は、下の写真を見てほしい。

画面に何か載っているでしょ?ハイブリッドキャストで呼び出された情報が番組の画面に乗っかっている。こういう状態を“オーバーレイ”という。

オーバーレイはニコ動世代からすると見慣れたものかもしれない。でもテレビ画面にどんと映し出されると驚く。ギョーカイ村のしきたりを知ったものからすると、「なんということをするんじゃ、掟を知らんのか」と言いたくなる。

テレビ界は、オーバーレイなど持ってのほか、なのだ。

なぜならば、プロが作った素晴らしい作品が汚れてしまうからだ。そして、CM放送中にCM見られなくなったらあかんやんか、というのもある。

テレビとネットの融合の話題がこのオーバーレイに立ち入ると、それまで大人しく聞いていた年配テレビマンが突如怒りだしたりする。そういう、テレビで生きてきた人の生理を刺激してしまう微妙な領域がオーバーレイなのだ。

それくらいナーバスなオーバーレイを、NHKがさらりとやっちゃおうとしている。面白いじゃないすか。

もうひとつ、この写真を見てもらおう。

ハイブリッドキャストでは、番組表を表示する機能もある。そして(まだこれからの検討次第らしいのだが)過去30日間さかのぼって表示できる。

な、な、なんだって?

みなさん、地デジ対応テレビを持ってるなら、どこかに番組表を表示する機能があるはずだ。レコーダー持ってるなら100%の確率で表示できるでしょう?

試しにやってもらうとわかるのだけど、過去の番組は表示できない。

なのにNHKは番組表でも我が道を往くがごとく、過去番組をさかのぼって表示できるようにするのだ。

しかも!過去の番組がリスト表示されるとNHK On Demandのその番組の掲載ページに飛べる。「八重の桜」の過去の放送をたどっていって、そうだ第3話だけ見てなかった、と思ったら即再生できる。なんと便利なんだ!

こんな技術が今年中には利用できるようになるそうだ。なんとも楽しみじゃないか。

NHKがテレビ業界のもやもやした壁を打ち破っていきそうだ。打ち破る時の武器は?もちろんWEBでしょ!ネットでしょ!

ここで突然、話は変わるけど、6月5日にやりますとここでさんざっぱら書いてきたソーシャルテレビ推進会議の一周年オープンセミナー。第一部だけ、モデレーターとして中山さんの名前があるだけで、ゲストは交渉中だった。いま見てもらうと、あ!いつの間にか、ゲストの名前が書いてあるじゃないか。

NHKの石倉さん。彼は編成マンだが、一方でNHKのネット戦略も担っている。そして日テレ安藤さん。ご存知JoinTVの男だ。

お二人に、テレビの武器はネットだね、という話をしてもらう。ハイブリッドキャストやJoinTVはその好例だが、今回はもっとちがうところを語ってもらう。これからさらに取り組むべき領域。あるいは、ハイブリッドキャストが突き崩したように、これまでの掟を突き破ることでこんなことできるんじゃないか、というような話題。

それにどうやら、何やら発表もある気配。ひょっとしたら第一部がもっともラディカルな話題になるかも。

そんなオープンセミナー。定員150名埋まっちゃったけど、立見枠も用意したんで興味あれば、参加してください。

2013春ドラマ追跡分析(2):Twitterは視聴率の先を導く?

昨日の記事「2013春ドラマ追跡分析(1):Twitterから視聴率を予測できるか?」に続いて春ドラマの分析を進めていく。

前回の記事では前哨戦的に冬ドラマのツイッターを追った様子をグラフにしてみた。そこで今回はいよいよ、今進行中のドラマの様子を見てみよう。

はい、これです!

このグラフは、このクールのドラマの中でもTwitterで明らかに盛り上がっているものをピックアップして、Tweetの件数を4月1日から5月21日まで追ったもの。今回もNECさんの感°(かんど)レポートを使わせてもらっている。

とりあげたのは「ガリレオ」「家族ゲーム」「ラストシンデレラ」「35歳の高校生」「空飛ぶ広報室」。ひと目みればわかる通り、「ガリレオ」がとにかくすごい!ダントツだ。

このグラフで見てしまうと他のドラマ、「ラストシンデレラ」だの「35歳の女子高生」だのが大したことないように思えてしまう。だが実際は、「ガリレオ」があまりに飛び抜けているのだ。

なにしろ「ガリレオ」は視聴率が20%超えをほぼ保っている、ここ数年でも珍しい展開となっている。その盛り上りがそのままTweetに現れているということだろう。

ただ、初回の盛り上がりぶりに比べて第二話以降が極端に下がっている。これはどこかでみたことあるなあ。そうだ、前回見た「ビブリア古書堂の事件帖」と似ている、気がする。

どれくらい似ているか。グラフを重ねてみればいいじゃないか。てことで、これを見てください。

ほんとうに「ガリレオ」と「ビブリア」を重ねてみたもの。水準がちがうので、2軸グラフにして初回の見た目の高さを揃えてみた。左側の目盛がガリレオで、右側がビブリア。

重ねて見ると、似てるけど違う。ビブリアの方が、下がり方が激しい。比べるとガリレオはビブリオほどすとんと下がってはいない。

そうだよ、だからガリレオはビブリアのように視聴率も下がりはしないよ。・・・そうなのだろうか?

だが気になるのは、ガリレオは冬ドラマの「最高の離婚」「とんび」のように、後半に向けて盛り上がっている感じはいまのところない。さらに言うと、いちばん右側の山はちょっと下がっている。視聴率的にはその前で20%を切ったのが、再び20%超えた回なので視聴者が減ったわけではなさそうだ。なのにTweetが盛り下がった。・・・うーん、よくない兆候かもしれないぞ。

次に、「家族ゲーム」「ラストシンデレラ」「空飛ぶ広報室」をひとつのグラフにした。

「ガリレオ」を外すと、この3つのドラマもTweet数がかなり高いのがよくわかる。中でも「家族ゲーム」は非常に高い水準だ。

「ラストシンデレラ」「空飛ぶ広報室」も決して負けてはいない。その上、この3作品は4話目5話目あたりからまた盛り上がってきている。これは冬ドラマにおける「最高の離婚」「とんび」のパターンだ。視聴率的にも上向く可能性が十分高いと言えそうだ。

もうひとつ、見てもらいたいのがこれだ。

これは「35歳の高校生」のグラフ。米倉涼子がなぜか高校に入学する設定が話題のドラマなのだが、Tweetが4話目5話目でふにゃふにゃと盛り下がりつつある。これはかなりはっきり今後盛り下がる兆しではないだろうか。

さて、こういうTweet件数の推移を見るだけでも今後の視聴率は推測できそうではある。だがここでもうひとつの角度でも見てみよう。2月に書いた記事「テレビ番組の新しい評価軸がつくれるか?〜2013冬ドラマをツイート分析で評価してみる〜」で使ってみた”感情分析”をここでもやってみよう。

”感情分析”は、Tweetの中で“好意好感“にあたる言葉を含むもの、”高揚興奮“にあたるもの、“否定”を示すものを抜き出して全体の中で何%かを割り出すものだ。プラスアルファコンサルティングの“見える化エンジン”を使わせてもらった結果だ。

今回、ここで取りあげた春ドラマでも”感情分析”をしてみた。

”感情分析”は胸を張って出せるほどの洗練もないし乱暴な分析結果にすぎない。だからあくまで参考出品なのだが、なんとなーくそうかもね的な大ざっぱな妥当性はあるんじゃないか、とも思っている。

そこで各ドラマの数値を見ていくと、「ガリレオ」がほとんど変化がないとか、「ラストシンデレラ」はもっと最新回が高そうなものだがとかつべこべ言いたくもなる。だが明らかなのは「35歳の高校生」がTweetの件数だけでなく感情にも現れているようだぞ、という点。それから「空飛ぶ広報室」はぐいっと上がりそうな予感がここからも感じられる。

具体的にどんなつぶやきが多いのかを個別に見るとまた面白い。特徴的なのが「家族ゲーム」で「怖い」というつぶやきが多い。でも決してネガティブではなく「怖いけど面白い」と、ホラー映画でも観るように楽しんでいるのがわかる。もちろん制作陣の狙い通りだろう。

などなど、Tweetからいろんなことがわかるのが、わかったかしら?感°レポートではもっといろんなことがわかるし、感情分析ももう少し細やかにやってみたいので、次回(3)まで書き進めてみたい。というわけで、つづく・・・

2013春ドラマ追跡分析(1):Twitterから視聴率を予測できるか?

このブログでは過去にもドラマの分析を試みてきた。2月に書いた「テレビ番組の新しい評価軸がつくれるか?〜2013冬ドラマをツイート分析で評価してみる〜」という記事では、ドラマのツイートを好意好感、高揚興奮、否定の3つに分類しそれが含まれる割合から何かが言えないかを考えてみた。言ってみれば、視聴率とは別の、視聴“質“のようなものだ。

ただ、これまではあえてそれと視聴率との関係にはふれてこなかった。ふれようとしてもよくわからないし、視聴率とはちがう角度での指標が作りたかったからだ。でも一方で、視聴率とも何らかの相関性があるはずだとも思っていた。それにそこで何か言えたらみんな注目してくれるだろう、という欲もある。

そこでこれから数回、Twitterと視聴率の関係をやや強引に考察していきたい。

使わせてもらったのは、NECさんが展開しているソーシャルリスニングツール、「感°(かんど)レポート」だ。これ、かなりテレビの分析を意識している。もともとはBIGLOBEで磨いてきた分析技術だったのを、親会社であるNECの放送機器の部門とくっつけて、放送局向けのサービスとして売り出し中とのこと。ソーシャルテレビにぴったりかもしれない。

これを使うと、番組に関するTweetがどう動いてきたかが分かる。それだけでなくいろんな分析ができるのだが、まずは基本機能を使ってみた。

そして、この春のドラマの分析をする前に、冬ドラマの決算をしてみたい。かなり独断的な分析になるが。拾ってみたのは、「ビブリア古書堂の事件手帖」「最高の離婚」「とんび」の3タイトル。何を見たいかというと、後半伸びるドラマの傾向だ。ちなみに「ビブリア古書堂」は剛力綾芽主演の月9で、14.3%でスタートしたがその後伸びず、最終回は8%台で終わった。一方「最高の離婚」「とんび」はスタートはそれぞれ13.5%と17.0%と好スタートを切り、最後は12.7%と20.3%と後半伸びていった。

その明暗が、Tweet数に如実に出ている。

感°レポートで出てきた結果をさっそくグラフで見てみよう。

わかるだろうか。最初の方でどん!と大きく伸びている緑の線が「ビブリア古書堂」だ。これについては前に「ビブリア古書堂はDisられ続けるのか」と題した記事で書いた。原作好きな人たちがドラマを見て、原作との違いが気にくわず大ブーイングしているのだ。

それが第二回からすとんと落ちてしまっている。Disられ続けることさえなく、つぶやきの件数そのものが減ってしまっている。

ちなみに、視聴率はこれと比例してはいない。第二話以降も12%とか11%ぐらいは保ってはいるのだ。

それと比べると、青い線の「最高の離婚」えんじ色の線「とんび」は最初は「ビブリア古書堂」と比べるとTwitter件数は地味なスタートだ。それが後半にぐぐぐっと伸びているのが分かる。この動きも決して視聴率とそのまま連動はしていない。ただ、最終回に向けてじわじわ上がっているようだ。

つまり、ここでの結論として、最終回に向かって視聴率が伸びるだけの見られ方をしているか、逆に盛り下がっているかどうかだ。直接連動はしないけど、Twieerでの動きから“気配”は感じられるということだろう。

冬ドラマがこうだったのなら、春ドラマは現状どんな動きを示しているか。ビブリアタイプなのか、とんびタイプなのか、そこが見えたら視聴率が予測できるかもしれない。

そのあたりをこれから少しずつ解き明かしてみるよ。

オープンセミナー事前解説:元祖おたくはテレビの未来をどう夢見るか?

再三お伝えしていてクドいと言われそうだけど、6月5日にソーシャルテレビ推進会議の一周年オープンセミナーを開催する。

詳しい内容と申し込みは、ここをクリックして出てくるページを見てほしい。このブログを書いている時点(5月20日午前0時台)で150名の定員に111名の申し込みがある。今回は1000円の有料にしてみたので前回ほど集まらないかと心配したけど、もうじき埋まりそうな勢いだ。半分ぐらいは知ってる人だけど半分ぐらい知らない人もいる。懇親会も予定しているので、この機に皆さんで知りあって盛り上がってもらえれば、主催者としてこんなにうれしいことはない。

懇親会も楽しみだけど、もちろん今回も内容も充実している。第二部は深田さんモデレーションで、角川アスキー総研の遠藤諭所長と、韓国の家電メーカーLGの土屋和洋氏においでいただき、テレビ視聴のこれからについてお話しいただく。

その遠藤さんがアスキーの連載で「東京おとなクラブ」を振り返った記事を書いていた。ネットにも転載されているのでちょっと読んでみてください。ここをクリックすれば飛べるから。「おたく30周年、発祥の地をご案内しましょう」というタイトル。そう、遠藤さんこそが、元祖おたくなのだ。

遠藤さんが80年代前半に出した「東京おとなクラブ」は実際に出たのは数号らしいが、当時のカウンターカルチャーな若者たちにはほんとうに大きな影響を与えた。だって特集記事が「ウルトラQ」だったりするのだ。大学生だったぼくは下北沢に夜な夜な集まる社会との折り合いをつけかねている学生仲間たちと、自分たちも雑誌を出すべきだとか、「東京おとなクラブ」をめくりながら議論した。議論して実現しなかったのだが。

アスキーの記事にもあるけど、遠藤さんはおたくの元祖だ。サブカルチャー的なテーマを徹底的にディテールにこだわりながら意味もなく掘り下げていく。「東京おとなクラブ」にあふれていたそんな不純な知的好奇心こそがおたくの核心だ。

その元祖おたく・遠藤さんが2年ほど前からテレビ視聴について語りはじめた。なんと言っても去年の4月にネット上のコラムで書いた「戦後最大のイス取りゲームがはじまっている」はそのチャートとともにものすごく話題になった。ぼくはこのブログでも、人前で喋る時も、何度もこのチャートを使わせてもらった。

その遠藤さんが毎年行っているメディアサーベイの最新結果をもとに、また新たなテレビへの論を展開している。

そのサーベイから見えてくるのは、やっぱりテレビ視聴は変化しているんだなということだ。地デジの影響はこの2年間でじわじわと着実ににじみ出て沁み出しているのだ。

そしてさらに遠藤さんがこのところ言っているのが「テレビのUX」のことだ。つまり、今のテレビって使い勝手悪くない?ということ。そりゃそうだ。何しろこの20年間ぐらいリモコンの基本設計は変わっていない上に、どんどんボタンが増えている。わかりにきー!

テレビのUXということでは、LGは気になる。家電量販店でテレビが後退し、売場面積もすっかり小さくなったと言われる。そんな中で独自の展示がされているのがLGのテレビだ。はっきりとスマートテレビと打ち出されている。ディスプレイされている画面は、他社のテレビのように番組や映画の映像ではなく、スマートフォンのようなアイコンが並ぶ画面だ。テレビとしては新鮮なインターフェイス。そこからさらにどんなテレビ視聴スタイルが広がるのだろう。量販店でいじっていると、イマジネーションをかき立てられる。

ぼくはこのところ、テレビはそのビジネスモデルつまり番組の間に広告枠を売る、という基本構造を設計し直さなければならないのでは、と考えている。ではどうすればいいの?そのヒントになるような議論が、お二人の間で展開されるといいなと思う。いや、きっとそんな楽しく夢のある話が、聞けると思うよ、うん!

で、もう一度書くけどソーシャルテレビ推進会議・一周年オープンセミナー、お申込はこのリンクから。まだまだ、間に合う、はず。
ご質問などは、sakaiosamu62@gmail.comへ!

オープンセミナー事前解説:「たまたま」はテレビマンが新しいテレビを生み出す実験だ

ソーシャルテレビ推進会議の一周年オープンセミナーを6月5日に開催する。基本的な告知は前回このブログで記事に書いた。何の話?って人はそっちをまず読んでください。ここをクリックしてね。

申し込みたいって方は、ここをクリックしてください。申し込みページに飛べます。

セミナーねえ、どうしようかな、面白いの?って人は、今日のこの記事を読もう。面白そうだなと思わせるから。

このセミナーの第3部に注目して欲しい。ぼくがモデレーターで、ゲストに西田二郎という名前がある。西田二郎さんは、読売テレビの制作局にいて、プロデューサーやディレクターをやっている。わかりやすいところでは、『ダウンタウンDX』の総合演出を担当している。わー、それはすごい、と思うだろうけど、今回ゲストにお招きするのは、そういうメジャーな番組の制作者だから、ではない。

まず、ソーシャルメディアの相当な使い手だ。普通に検索すれば出てくると思うけど、@jironishidaのアカウントでTwitterをやっていて、フォロワー数が12万人いる。テレビマンが個人名で運営しているアカウントとしてはいちばん多いんじゃないだろうか。

こう言うと失礼だが、テレビ局のとくに制作者はソーシャルメディアに疎い人が多い。だから西田さんは相当特例な人なのだと思う。

そして今回、ゲストに呼ぼうと思ったのは、「たまたま」について語ってもらいたいからだ。

「たまたま」はテレビ埼玉で放送する30分番組だ。ただ、放送日時は不定期。とりあえずここまでで、4月初めに2回放送された。次回はまだアナウンスされてないけどもうすぐやるんじゃないかな。

そして「たまたま」は西田二郎さんと、北海道テレビの藤村忠寿さんが二人で出演している。藤村さんは、あの「水曜どうでしょう」のディレクター。

・・・これ、よーく考えると相当不思議なことだ。

テレビ埼玉は独立U局で、つまり特定のネットワークに属していない。西田二郎さんは読売テレビだから日テレ系列。そして北海道テレビはテレビ朝日の系列局だ。そんなんありなの?

さらに、これまでの2回、「たまたま」に出演したのはこの二人だけ。二人でカメラの前でずーっとしゃべるだけ。

写真は2回目の放送のキャプチャー(すんません、問題あったら言ってください(^_^;))なのだけど、こんな感じで30分間延々喋る、それだけ。

「予算ゼロ」を標榜している。だから、編集費もないので撮ったまんまを放送しているのだ。2回目の放送なんて、「もう時間ないわ」「ええー?!」とか言ってるところでブチッと終わった。

そしてテロップを入れる予算もないので、写真のように代わりに紙に書いた文字をガラスに貼っているわけ。なんかムチャクチャでしょ?

そしてどうやらこの番組は、このお二人がテレビについての挑戦を繰り広げるらしいのだ。具体的に何をやるのかはまだ発表されていない。もしかしたら、いやおそらく、何にも決まってないのかもしれない。予算も立てずに、成り行きで番組を作っていく。

なんてテキトーな。なんていい加減な。・・・でもさあ、テレビってそういうものじゃなかった?そういうところが面白かったんじゃない?二人から、そういう問いかけが番組を通してなされているのだ。

スポンサーも募集している。これは、“提供スポンサー“ではない。CM枠に広告流すスポンサーではないのだ。精神的に協賛してくれる企業を募集するのだそうだ。

スタッフもこれから募集するという。たぶんこれから何をやるかも、応募してきたスタッフと話して決めていくんじゃないかな。

新しい趣向のバラエティだね。いやいや、番組の内容は軽いかもしれないけど、もう少し意義深いものだと受けとめて欲しい。新しいバラエティ、というより、新しいテレビを創ろうとしているのだ。産み出そうとしているのだ。テレビの枠を壊してテレビを越えたテレビを、なんとかやってみようとしているのだ。

西田二郎さん、藤村忠寿さん、この二人には大きな共通点がある。自分をさらしているのだ。西田さんはさっきも書いたように、ソーシャルメディア上でさらしている。藤村さんは「水曜どうでしょう」で大泉洋らとともに自ら出演もしてきた。

そこはすごく重要なポイントだ。

これから、表現を仕事にする人は、自分を表に出す“必要”が出てくる。

非常に似た話が、ジャーナリズムの世界でも語られはじめている。小林恭子さんが、こないだ読売新聞のサイトに寄稿していた文章がある。このリンクから読んでみて。

その中にこんな文章がある。

将来、「ジャーナリズムの規模はもっと小さくなる」。生き残り策は「特化と個人化」であり、一人ひとりの記者が読者とつながり、一つのコミュニティー空間を作ることが必要だと、ベル氏はいう。

「一人ひとりの記者が」、という部分を「一人ひとりのディレクター(プロデューサー)が」と置き換えれば、テレビ界にもそのままあてはまる。テレビだけでなく、アニメ作家でも、小説家でも、表現者はすべてあてはまるんじゃないだろうか。

西田二郎と藤村忠寿の「たまたま」はまさに、視聴者とつながり、コミュニティ空間をつくる試みなのだと思う。

そんな話を、セミナーでは突っ込んで聞いてみたいと考えているのだ。

・・・ほらほら、どうしようかなー、と思ってたあなたも、これはセミナー行かなくちゃ!とワクワクしてきたでしょ?その気持ちが冷めないうちに、このリンクから申込ページに飛んじゃおうぜ!

まあそうだなあ、面白そうだけど、どうなのかなあ・・・なんてまーだ悩んでる?じゃあねえ、とっておきの情報を書いちゃうと、ひょっとしたら藤村さんも来ちゃうかもしれないぞ・・・かもしれない、だからね、あくまで・・・でもホント来ちゃうのかもよー・・・どお?行きたくなったでしょ?