テレビ番組の新しい評価軸がつくれるか?〜2013冬ドラマをツイート分析で評価してみる〜

少し前に、“「ビブリア古書堂の事件手帖」はDisられ続けるのか?”と題した記事で、テレビ番組の新しい評価のやり方を、ツイッター上でのつぶやきを分析することでできるか、試してみた。この時は4つのドラマを取りあげたが、この1月〜3月クールも中盤に達したところで、ドラマ全体を中間報告的に分析してみたい。

この分析の手法について、ここでもう一度書き記しておこう。

・各ドラマの放送時間中のツイートを収集。局のハッシュタグ(#ntv #fujitv など)だけでなく、ドラマのタイトルなどもキーワードに使用している。ツイート収集はテレビジンによるもの。
・そのツイートを、テキストマイニングにかけた。ツールは“見える化エンジン”を使用。これはプラスアルファコンサルティング社からこの研究用にアカウントを提供していただいたもの。
・ツイートの中から、“好意好感”を示すワードを含むもの(=いい、素敵、かわいいなど)、”高揚興奮“を示すワードを含むもの(=すごい、面白い、笑など)、“否定“を示すワードを含むもの(=きらい、つまらない、ダメなど)を収集し、全体の中でそれぞれ何%かを算出する。
・その結果をグラフ化するなどで対比してみる。

これにより、好感度が高いもの、興奮度が高いもの、といった特徴分けができたほか、“否定”が多い場合の解釈なども考察した。

興奮度が高いものは、”ヒット作”になる可能性が高い。前のクールの「ドクターX」は興奮度が異様に高く、視聴率としても高い結果になっていた。

さてこのクールはどうだろう。ひと通り調べてグラフ化したので見てもらおう。それぞれの第一話〜第三話の感情分析をして平均をとったものだ。第一話だけでなく三回分を調べることで、始まってから落ち着くまでの間にできた“価値”が見て取れるのではないかと思う。今回は全作品を比べられるよう棒グラフにして曜日順に並べてみた。
クリックすると大きく見える

このクールは、前クールに比べると興奮型が多いようだ。冬はこもりがちで視聴率も高くなりやすいので、この機にとどの局も意欲的な企画をぶつけてきたのだろうか。

グラフを見ても、赤い棒つまり興奮度がどれもこれもぐいぐい伸びている。とくにホットなのが、木曜日から金曜日にかけての3本だ。テレビ朝日木曜21時の「おトメさん」、フジテレビ木曜22時の「最高の離婚」、TBS金曜22時の「夜行観覧車」。

この3本はたまたま第一話を観ている。「最高の離婚」「夜行観覧車」はその後も継続して観ているのだが、確かに刺激的な要素が多く面白く観ている。「おトメさん」は意図的なくらい悪い嫁ぶりを誇張しており、また攻められる姑の側への共感も誘う内容。つっこみたくなる要素も含めてエモーションが高まるドラマだ。

前のクールでは”好感型”がもっとたくさんあったのだが、今回はいま挙げたような”興奮型”か、抑揚がグラフに出ない”ノーマル型”が多い。唯一、「とんび」が典型的な”好感型”だ。これも毎回観ているのでよくわかるのだが、とにかく、ジーンと来る、泣ける内容。”感動型”と言った方がいいかもしれない。

このグラフを見るとドラマの”特徴”は見えるが、視聴率のように指標にはなっていない。でも”好意好感”と”高揚興奮”そして”否定”の3つの数値はあるので、これを足したり引いたりすればいいのではないか。何かが言えるのではないか。

普通に考えると”好意好感””高揚興奮”というポジティブな数値を足して、”否定”というネガティブな数値を引く、とするべきだろう。だが、前のクールで「結婚しない」の反応が否定が多かったのに視聴率は落ちなかったこと、このクールでも「ビブリア古書堂の事件帖」で否定的なコメントをつぶやきながら見続ける視聴態度があったことなどを踏まえると、”否定”も足すべきだと考える。

つまり、ネガティブなことも含めて、ツイッター上で何らかの感情を表明するつぶやきが多いものは、それだけ視聴者の気持ちを揺らして惹き付け続けるのだと考えた方がいいと思うのだ。キライキライもスキのうち、ということね。

それで、3つの数値をすべて足して棒グラフにしてみたのがこれだ。
クリックすると大きく見える

どうだろうか。さっき挙げた”興奮型”の3つのドラマがそのまま上位になっている。他にも「カラマーゾフの兄弟」「泣くな、はらちゃん」なども”興奮型”でそのまま上位になった。
もっとわかりやすく、”ランキング”として並べてみよう。

2013冬ドラマ 感情指数ランキング(第三話まで・暫定版)
1位「夜行観覧車」46.7pt
2位「おトメさん」46.1pt
3位「最高の離婚」44.1pt
4位「カラマーゾフの兄弟」40.8pt
5位「泣くな、はらちゃん」39.4pt
6位「シェアハウスの恋人」37.4pt
7位「とんび」37.3pt
8位「ラストホープ」34.9pt
9位「信長のシェフ」31.8pt
10位「あぽやん」31.2pt
11位「dinner」31.1pt
12位「サキ」30.4pt
13位「ビブリア古書堂の事件帖」29.9pt
14位「ハンチョウ」25.1pt
15位「八重の桜」24.1pt

・・・どうだろう?納得がいかない?うむむ。上位のものは、まあなるほどなあと思うが、あれだけ泣けるのに「とんび」低いなあとか、「八重の桜」が最下位かよとか、自分でもいろいろ言いたくなる。

まあ、あくまで「やってみた」ということなので、マジに受け取らないでね。でも、これを磨いていくと、何かが言えるデータにならないだろうか。この話はもう少し書くことにするので、ちょっと待ってね。

[`evernote` not found]
Pocket

トラックバック用URL:

Facebookアカウントでもコメントできます!

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です