メディアも局もクロスオーバー〜日本テレビT部長、フジテレビに登場!〜

去年、2011年の夏にぼくも出演させてもらった『新・週刊フジテレビ批評』。その後もぼくはこのブログで同番組は何度かとりあげてきた。宇野常寛氏が出演して「テレビはブースターだ」と言ったのなんかすごく印象的だったよ。

「フジテレビを批評する番組」なので、おのずからテレビ論が取り上げられることが多く、朝5時からという早い時間ながらぼくも目を離せない番組なのだけど、中でも今朝(2月4日)の放送は画期的だった。

まず数日前にこんなtweetが、フジテレビ批評のプロデューサー、福原さんのtwitter上で飛び出てきた。

な、な、な、なんですと!

日本テレビの土屋さん!・・・と言われてすぐにわからない人も、”電波少年のT部長”と言えば”ああ〜あ、あの人ね、タレントに過酷なミッション告げて去っていく謎の男でしょ”と思い出すだろう。日本テレビのバラエティ番組を開拓してきて”電波少年”の他にも「とんねるずの生でだらだらいかせて」(通称:生ダラ)などの人気番組を生み出してきた。

また、第二日本テレビと称してテレビ局としていち早くネット上での動画配信に取り組んできた。言ってみれば、新しい未開拓の場所があれば誰よりも先に飛び込んで掘り起こす、そういうテレビマンだ。テレビ界でもっともテレビとネットの境界を埋めてきた人物かもしれない。

その土屋さんがフジテレビの番組に出るとは!なんとエキサイティング!さらに、福原さんからこんなtweetも飛び出した。

ほほお!ニコ生にも土屋さんが登場するのか!『新・週刊フジテレビ批評』はこれまでにも何度か、地上波放送前にニコニコ動画生放送でネット放送をしてきている。それをこの、土屋さん出演の日にもやって、土屋さんをそちらにも登場させるということだ。面白すぎるじゃないか、ちくしょー!

これは生で観ないわけにはいかないぞ!と意気込んではみたものの、金曜夜は飲み会が予定されていた(しかもフジテレビの方々と指南役さんとの!)ので、仕方ない。ニコ生はタイムシフト予約をし(プレミアム会員だもんね!)、『新・週刊フジテレビ批評』は録画予約しておいた。

それを今朝、ひと通り視聴した。
これがニコ生での「フジテレビ批評批評」。福原さんも出演している。

フジテレビのアナウンサーお二人を挟んで、両金髪が・・・

ここには2つのクロスオーバーがあるわけだ。日本テレビとフジテレビとのクロスオーバー。そして、テレビとネットのクロスオーバー。

このクロスオーバーそのものに、おのずからメッセージが浮き出てくる。「テレビ局がどこがどうとか、そういうの、どうでもいいよね?」ということ。そして「テレビとネットどっちがいいとか悪いとか、そんなことでいがみあっても仕方ないよね?」ということ。そして実際、土屋さんの話も、そういうこととシンクロしていた。

テレビでも、ニコ生でも、テレビの斜陽に対して制作者はどう取り組むかという問いかけがなされ、それに対して土屋氏は一貫した答えをメッセージしつづけた。「面白いこと、やろうぜ!」そうだよな、それにつきるよな。

テレビを切り開いてきた土屋氏が、どうして第二日本テレビでネットに取り組んだのか。新しくて面白そうだったからだ。このところの制作費削減をどう対処すべきか。制限があるからこそ面白いことを考えればいい。

電波少年でどうして永田町や国会を”アポなし取材”したのか。予算がなかったから近いところに行った。遠くにロケに行けないけど、どうしたら面白い番組ができるだろう。政治の世界に突然行ったら面白いんじゃないか。そしてそれをホントにやっちゃう。きわどいところ、ぎりぎりのところに切り込み、切り崩すから、”面白い”が生まれるんだ。

いまテレビが大変だとか、予算が減ったとか、そんな中でも面白いことをめざして頑張れば、十数年後に振り返った時、あの頃は画期的な時代だった、と言われるのかもしれない。おそらくいままでも、電波少年がそうであったように、いろんな画期的な番組が、そんな逆境があってこそ生まれてきたのかもしれない。

そういう、制作者ならジーンと来ちゃう土屋さんのメッセージに満たされた2時間だった。

ただ、面白いなと思ったのが土屋さんが何度か”ビジネスモデル”という言葉を口にした点だ。面白いビジネスモデルを作る、とか、ビジネスモデルごと、とか、そんな言い方をしていた。つまり土屋さんの今の取り組みは、編成された番組枠に自分が企画したものを流す、ということを超えているんだろう。こんなことを、こんな仕組みにしたら、こういうスポンサーのつき方があるんじゃないか。というようなことを考えているにちがいない。

だから土屋さんが面白いことやればいい、と言っているのは、古き良きテレビマンが郷愁とともに語るのとはちがうんだと受けとめねばならない。ビジネスモデルごと面白いことやる、という受け止め方の方が正しいのだと思う。それくらいの俯瞰する力と大きな企画力こそが、いまテレビマンの問われていることなのではないかな。

地上波の放送が終わったあと、ニコ生の方の中継がもう一度”反省会”と称して放送された。その中で土屋さんが「終わってからフジテレビの偉い人から電話があって”あなたの言う通りだ、いいこと言った”って言われたよ。いい会社だねえ」と言っていた。よくわからないけど、フジテレビの上層部の人が番組を見て、土屋さんの「面白い番組つくるしかない」に感動したのだろう。

うん、そういう空気が、テレビ局の上の方にも行き渡っていくといいのかもねえ。

・・・ところで、映画産業統計についての話が、書きかけだったね。忘れてはいないからねー・・・

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