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sakaiosamu について

コピーライター→映像製作会社ロボット→広告代理店ビデオプロモーション→再びコピーライター(フリーランス)。 メディアとコンテンツの未来を切り拓くコミュニケーションをデザインします。講演・執筆依頼もお気軽に!

アーカイブとしての個人ブログ〜新創刊メモ〜

引越をしなかったと言いつつ、実は引越作業はやったのだ。ここにその成果があるのでした。

そもそもどうして引越したかったのか。

まずgooブログがTwitterウィジェットに対応してくれてない、というのがある。Twitter推奨のウィジェットのコードをgooブログのブログパーツ作成フォーマットに入れると、”それ許可してませんから”というアラートが出る。これはすごく悲しかったね。

それから、gooブログは本名を明かさずにはじめた。なので、IDがdenmipapaというヘンテコな名前になっている。息子が通称でんでん、娘が通称みみ、なのでこんなのにしちゃってた。

ところが佐々木俊尚さんの『ネットがあれば履歴書はいらない』を読んでから、前に書いたようにぼくは”セルフブランディング”に目覚め、本名をさらすことにした。そうするとdenmipapaってなによ、それ、って感じになった。この記号がどこか邪魔になってきたのだ。

そこで別のブログに引越して、IDもsakaiosamuで再構築しよう、というのが引越しの動機だったわけ。

で、まずgooブログから過去ログをエキスポートしようと思った。gooブログには”エキスポート”というメニューはないけど、”バックアップ”というのがあって、これでなんとかなるんじゃないか。でもこのメニューは月230円のアップグレードを申し込まないとあかんかった。仕方ない、すぐやめればいいんだ、と申し込んだのね。

そのバックアップデータを別のブログサービスに”インポート”したら、全部移行できたよ、よかったよかった。

ところがここでいくつか問題発生。ぼくはリード文と本文を分けて書いてきたのだけど、引越し先ではリード文が表示されない。それから、gooで時々使ってきた画像が引越し先ではうまく表示されないページも出てきた。基本的に大きい画像を使ってきたもんでさ。

うーんブログの引越しっていろいろあるなあ・・・と思い悩みつつ、とにかく移行作業を終えた。一方、この機にgooの方もレイアウトなどを少しいじってみた。またその過程でTwitterをブログ上で表示する方法も少し調べたら”ついいめ〜じ”を発見。その成果がいま左上に表示されているわけね。かわいいっしょ?レイアウトも変えたらけっこう気に入っちゃった。うーん悪くない気がする、と思ってたら@k_hayashida氏が”見やすいっすよ”と言ってくれた。Twitter上の同志の意見は強いよ!しかもROBOTの新人と同姓だし(笑)!(そういうやりとりを最近Twitter上でしたのでした)

さてところで。

gooブログでアップグレードしたら”アクセス解析”というメニューも使えるようになった。いままでもIP数とPV数は日ごとに教えてくれたのだけど、もっと詳しく、ページごとのPV数や、どう検索してたどりついたかもわかるようになったのね。そしたら意外に多様だったので、へえ〜と思ったんだわ。

Twitter経由で、最近のページを読む人ばっかだと思ってたら、それだけでなく、”映画”だの”日経電子版”だので検索してくる人もいる。”ハリウッド 映画産業 兆円”とか”テレビ 斜陽産業”なんて検索の人もいたよ。すいぶん前に書いたページを読んでくれた人も多いしね。そうかあ、そんな風にメディアコンテンツ業界を”調べる”人にとっても役立つことがあったんだなあ。

そう言えば、こないだFanworks(やわらか戦車などネットアニメのプロデュース会社ね)が新人応募の際にぼくのブログを読ませたいと言ってきたので恥ずかしがりつつ了承したのだけど(というか了承もいらないのだろうけど)、そんなことにもお役に立っているのだね、このクリエイティブビジネス論は。

こんなぼくの、こんなブログでも、いろんなことでみんなの役に立っているらしい。それは最新の記事だけでなく、過去のアーカイブとしても、意義があるらしい。うんうん、なんだかうれしいじゃないか。

そういうわけで、このレイアウト変更のついでに、過去記事を整理した。右側の”カテゴリー”にその成果がある、でしょ?

このカテゴリーがどういうことなのかは、また別の機会に説明するけど、そんなわけで、引越しではなくgooブログ上で”新創刊”ということに期せずしてあいなりました。

みなさんあらためて、よろしくお願いしますです。これからもますます、この国のクリエイティブ業界に勇気と希望を与えるべく、がんばるからねー。それからdenmipapaって何なの?ってのは、上記のようなことなので、気にしないでくださいねー。あはは

それでも夢を紡ぎ出したい君たちへ・・・ようこそ、焼け跡へ!

いきなりこの本文ページから読んでいる人は、トップページ(タイトルをクリックすればいいから)のリード文をぜひ読んでほしいのだけど・・・あ、読んだ?

そういう不思議な出来事があった一日だったんだ。そして二十歳ほど年の離れた二人から、方やストレートに、方や冷めた姿勢ながら、エネルギーを感じとって圧倒されたんだね。そこも不思議だった。

ざっくり大きく括っちゃってメディアやコンテンツに関わる業界(いわゆるギョーカイ)に来る人びとには、そういう熱いエネルギーがある。入りたてでも、二十数年経って冷めちゃってても、エネルギー濃度は同じなんだと思う。入りたての方に、冷めちゃってる方を見せて、「ギョーカイはいま、これだけ経験値の高い人が冷めちゃうくらい情けない状況なのよ。何しろ高度成長のオマケとして成立してきたのがギョーカイだから、高度成長がとっくに終わってたことにやっと国全体が気づいたいま、未来なんか見えないのよ。高度成長の焼け跡なのよ。それでもあなたはここで、夢を紡ぎ出そうと言うのかい?方向転換するならいまのうちだよ」そんなことをささやいたらどうなるか(長いささやきだったなあ)。

入りたての彼女の方は、おそらく「そんなことで悩んだりしないっす!入っただけでうれしくてしかたないっす!」と元気に答えるだろう。そして驚くことに経験二十年で冷めちゃってるはずの彼の方もおそらく「そうだ、君は方向転換する必要なんかない!」とチカラ強く言うだろう。彼も実は何かを諦めてるわけでは決してなかったんだ。

ギョーカイをめざして入っちゃった人たちは、そういう人種なんだろう。あくなき夢を追い求めてしまう人たちなんだろう。

今日はだから、そんな2010年の新人たちに捧げよう。ようこそ、焼け跡へ!それでも君たちは夢を紡ぎ出したいんだね。オウケイ、一緒になんとかしよう。どうすればいいか?おじさんにだってさっぱりわからないよ!

おじさんもわからないから、このブログでメディアコンテンツ業界の未来を一所懸命探ってきた。ぼくがどれだけ先見の明があったかはわからないけど、とにかく真剣に考えてきたことだけは胸張って言える。ビジネス的な見地からここまでギョーカイを考えてきた点なら、そんじょそこらのコンサルに負けはしないぞ!

このブログは最初、「愛と責任のブログ」のタイトルでわりと多岐に渡る内容を書いていたのだけど、2008年4月から「クリエイティブ経営論」と改題してギョーカイの未来を考える内容に絞り込んで書いたきた。それはまさしく、ぼくらの世界のターニングポイントと合致してたんだ。例えばこのあたりから、かいつまんで読んでもらうと2008年は”すこーし変化が起きはじめたかなー”とやや悠長に書いていたのが、だんだん”大変なことになってきたっす”と騒ぎはじめているのはわかると思う。

そうして変化を追いながら、ギョーカイとは結局、”製造業で経済成長してきた日本”のオマケとして成立してきたに過ぎないことを解き明かしてきた。なのにギョーカイは、”豪華”をめざしてきてしまった。製造業のおかげで食べてきたのに、製造業より給料が高いという、おこがましい経営モデルをつくってしまったのだ。「だっておれたち、夢を創りだしてるんだからさ」などと図々しく言ってのけながら。夢を創りだすからといって、平均年収が高い必然性ってなんだったんだ?

などと自虐的なことを、あえて、書いた。いったんそういう小市民的な気持ちになるのが大事だ、ってことが言いたくてね。

だがしかーし!夢を紡ぎだしたい人が、夢を紡ぎだすことは、何の根拠もなく正しいのだ!

はっきり言っておこう。リーマンショック以降、倒れようとしているのは、夢を紡ぎだす心、ではない。夢を紡ぎだしたい人は、特別な人種なのだと言いたい!いま、倒れようとしているのは、いままでのシステムに過ぎない。たまたま就職する時にマスメディア企業に入れた人たちが、ほんとうの意味で夢を紡ぎだす能力とはほとんど関係なく、高度成長の果汁を吸い取る会社システムがあだ花的に成立していたことに乗っかってきただけだ。いま壊れようとしているのは、そんなもともと怪しかったシステムにすぎないのだ。

夢を紡ぎだしたいと思う心があるなら、それを誇りに思えばいい。そしてこの世界に入って夢を紡ぎだす能力がついたら、値段のつけようもない高い価値を君は持つのだ。そこへ向かって、まっしぐらに突き進みたまえ!

とは言え・・・これから単純ではないけどね。その値段のつけようのない高い価値に、値段をつけないといけない。できるだけ高い値段がつくようにがんばらなきゃ。がんばるというのは、紡ぎだす能力とは別の小賢しい方向でも、脳みそを鍛えないといけない、というわけだ。

たいへんだぞおおお!・・・そっか、わかってる。君が決して諦めない人間だってこと、おじさんは、わかってるぞ!

電子書籍はVODの追い風になる(はず)〜VODに未来はあるのか・その4〜

VODは日々、盛り上がりつつあるようで、今日もこんなニュース。日テレ系のアニメ新番組をJCOMオンデマンドで先行配信するという。そうそう!みなさんどんどんやる気になってきましたぞ!

一方、iPadをめぐるニュースも日々入ってくる。AppleのサイトにiPadのデモ映像が載っていて見れば見るほど”萌え!”なのだ。iPadで見る電子雑誌のイメージ映像も見ているとワクワクしてくる。Tech Waveにそれらをまとめた記事があるので見てみるとよろしあるよ。

さてiPadの登場で電子書籍の話題がにわかに盛り上がってるのは気づいてるよね!ぼくが予測するに、iPadの登場が起爆剤になり、そして実際にはスマートフォンの普及が受皿となって、電子書籍はかなりの速度で進むと思うよ。なぜなら、圧倒的に便利だから。その上、安い。安いのは著作者として安売りしているわけではなく、印刷製本という物理的な価格要素がなくなるからだ。

音楽ではCDをあまり買わなくなり、iTunesなどでデータを購入するようになった。似たことが書籍でも起こるとぼくは思う。

そうするとね・・・音楽につづいて出版物も、課金モデルが定着していくことになる。じゃあ映像はどうなるのかな?

動画がWEB上で視聴できるようになった時、課金モデルか広告モデルか、という議論が起きた。議論の結果とは関係なく、課金モデルは成立しなかった。そこで広告モデルの動画サイト運営がなされたが、それもうまくいかなかった。

課金モデルがうまくいかなかったのは、WEB上のコンテンツにお金を払う文化がなかったからだ。一方でみんななぜか、ケータイ上のコンテンツにはお金を払う文化が定着した。お金を払いやすいプラットフォームを携帯キャリアが確立したから。

お金を払うことに関して、文化というか、慣習というか、もっと言うと”払っていいんじゃない?”という気分みたいなものがどう醸成されるか、だと思うんだ。iTunesとは、”これなら払っていいんじゃない?払うのは当然じゃない?”という気分を作ることに成功したプラットフォームなのだ。ポイントは”ちゃんとしてる”ところ。

スティーブ・ジョブズはそれがわかっているから、音楽産業と粘り強く、徹底的に交渉して”わかったよ、やるよ”とみんなに言わせてからある日突然、一気にiTunes Storeをはじめた。あ、これで”払っていいんじゃない”という気分に持っていけるな、と確信が持てたから。一部の音楽産業とだけ交渉したんじゃダメだったわけ。”ちゃんとしてない”から。”ちゃんとしてる”からお金を払う。

電子書籍もイケそうになってきたのは、iPadが登場し、スマートフォンが普及していれば、書籍にとって”ちゃんとしてる”気分ができると思うから。Kindleが下地をつくってくれていたのもそれをフォローする材料だ。

だから動画コンテンツも課金が成立するとぼくは思う。「音楽は買うでしょ、書籍も買うでしょ、だから映像も買うよ、ぼくは。無料じゃなきゃ、とは思わないね」そんな気分の下地ができる。そこへ持ってきて、前回書いたようにテレビ局が番組をVODに一斉放出しはじめた。ちゃんとしたコンテンツが数多く揃うことも、”ちゃんとしてる”気分を強く支えるだろう。

ただ、もうひとつ、ふたつ、関門がある。各種のVODサービスが、サービスとして使い勝手が悪いのだ。使い勝手も”ちゃんとしてる”気分の大きな要素だ。使い勝手には二つのポイントがあって、まずサービスの受け方がわかりにく過ぎる。いろんなところがVODサービスを謳ってるけど、何をどうやってどこにどう申し込めばいいのかがわからない。

そしてもうひとつ、重要なポイントが、インターフェイスだ。これがどのサービスも、どうしようもない。操作していて、途中で投げ出したくなる。ようするに”見たい映画が見たい”だけなのに、それができないのだ。

さあ、みなさん、早くしましょ。iPadの発売と電子書籍の盛り上がりはもうすぐそこですよ。VODにとっても大きないい波が来ますよ。いますぐ再検討しましょう、そのVODサービス!加入しやすく、操作しやすく!いまならまだ、間に合いますよ。なんだったらぼくがお手伝いしてもいいんだけどなー・・・

VODがもたらすマルチウィンドウ戦略〜VODに未来はあるのか・その3〜

VODに関してもにわかに盛り上がる気配のニュースが出てきて、TBSオンデマンドが09年度通期黒字を達成したなんてことも今日伝わってきた。各テレビ局がやる気になってきたぞ、と。

VODにマジやる気なのはフジテレビオンデマンドも同じ。というか戦略的なチカラの入れ方はいちばんかもしれない。去年後半あたりから、いろんなVODサービス上に”フジテレビOnDemand”というチャンネルが登場している。わが家の東急ケーブルテレビのVODサービスにも続々ドラマが配信されている。

VODがぼくたちにもたらす効用を、わかりやすく満喫する事態がわが家でも起こった。

『ライアー・ゲーム』というドラマがある。去年後半から今年にかけて『ライアー・ゲーム2』が火曜日9時から放映されていた。うちの小五の娘はミステリー好きで、小説もよく読むし、映画やドラマもミステリーものを好んで見る。『ライアー・ゲーム2』も当然ながら毎週見ていた。ちなみにこのドラマ、1作目は2007年4月から土曜日夜11時台の放映で、娘は当然見ていなかった。

さてこの年末年始休暇、導入したばかりの東急VODサービスのメニューをだらだらどんなコンテンツがあるか見ていたら、フジテレビの過去のドラマが満載なのに気づいた。『愛という名のもとに』なんて20年ぐらい前にハマったものもある。その中に、『ライアー・ゲーム』1作目も発見した。娘に教えると当然見たいと言う。すると当然父親としては、じゃあ一緒に見ようとなるわけだ。かくして、その休暇中に十数話のドラマを娘とともにイッキ見した。

『ライアー・ゲーム』はほんとうによくできた物語で、2作目だけを見ても十分楽しめていたのだが、やはり1作目から見ると物語の奥行きがよくわかる。なおさら2作目も楽しめていった。

そしてこの3月に公開された映画『ライアー・ゲーム ザ・ファイナルステージ』は初日に娘と映画館に見に行った。フジテレビの戦略にまんまとハマったのかもしれない。戦略にハマったであろうことも含めて十二分に楽しんだ。

『ライアー・ゲーム』のこうした一連のコンテンツの見せ方の流れには、今後の映像コンテンツがとるべきメディア展開戦略のひとつが垣間見える。そしてその中でVODの果たす役割も見えてくる。

映像(に限らず)コンテンツは”育てるもの”になってくるのではないか。そしてその際にVODは重要な役割を持ってくるのではないだろうか。少なくとも『ライアー・ゲーム』ではそれが効果的に機能したわけだ。

そしてVODが市場として成長してくれば、育てる場所は地上波テレビ放送に限らないことになってくるはずだ。

いまや映像コンテンツはWEBやケータイのいろんな場所で流されている。最初は例えばケータイサイトである企画を流してもいいのかもしれない。小さな範囲でも何らかの評価がつかめれば、より大きなウィンドウで流せるかもしれない。続編を最初より意欲的な制作費やキャストでつくってみてもいいかもしれない。そんな風にコンテンツを育てていく時、『ライアー・ゲーム』と同じように”一作目はどうだったの”という声が出てきて、その際にVODは良きサービスになり、相乗効果をもたらすはずだ。そのゴールには映画化だって見えてくるかもしれないのだ。

そうやって考えると、地上波キー局がオンデマンドに力を入れてメジャーなドラマを配信してくれれば、VODが活性化し、映像製作事業者全体へもプラスな状況になってくるのだと言える。

市場が活性化すると多くの人に機会をもたらすのがインターネットなのではないかな。ちょっと能天気かもしれないけど、ぼくはそう感じている。

おれの知りたいニュースを教えてくれる・・・のだが〜日経新聞電子版〜

ぼくは去年の6月の記事で「おれの知りたいニュースを教えてくれ」と題して、新聞が電子化されたらアマゾンのようにレコメンエンジンを乗せてほしいものだと書いた。

日経新聞電子版を試してみて、それに近い状態なのにうれしくなったぞ。

日経新聞電子版はアクセスして一見すると、これまでの”NIKKEI NET”とさほど変わらない感がある。でもいままでムヤミに見出しが並んだのと比べると、ちょっとスッキリしている、とも感じるだろう。

当然ながらメニューが増えている中で、右肩の”My日経”をクリックすると、そこにWEB新創刊の真骨頂があった。

過去の記事を見た履歴から「あなたが読みたい記事はこれじゃない?」とリストを提示してくれるのだ。おお!これこれ!まさにレコメンシステムだ。もちろんある程度いろんな記事を読まないと履歴がないのだからレコメンもない。でも、小一時間いくつか記事を巡っただけで「これじゃない?」リストが出てくる。うんいいぞ!イメージ通り!

My日経には”自動記事収集”機能もある。これはキーワードをいくつか設定しておくと、そのワードが含まれる記事をリストアップしてくれる。検索ワードや「or and」の設定にはちょっと知恵がいるけれど、とにかく興味のある分野の記事だけ選び出してくれるのだ。うんうん、これもいい!

それからちょっと感動したのが”ワードロボ”という機能。ぼくはつねづね、自分の知りたいことのキーワードみたいなものがFlashでふわ〜と浮いてくるようなインターフェイスができないものか、と夢想していたのだけど、ほぼそれだったのだ。画面にキーワードが並んで出てきて、それをクリックするとそのワードに関連した記事がリストアップされる。検索するほど意識してなかったけど、なんとなく気になっていたお題、みたいなワードがふわっと出てきて、関連記事が読めるわけ。うんうんうんうん!これは素晴らしいぞ!

というように、日経新聞電子版はかなり完成度が高い電子新聞だと感じた。

ところが問題がある。そしてぼくにとっては重要な問題だ。

携帯電話サービスもある、というのは事前情報として知っていた。ところがそれはあくまで携帯電話向け。スマートフォンには対応してません、と堂々と説明ページで宣言している。

iPhone向けサービスはないってことかよ!

それはない。それはぼくにとってはありえない。いやぼくだけでなく、いまや「通勤電車でも会議室でもみんな持ってるねiPhone」という状態なんだぜ。そこへ持ってきてもうすぐ話題のAndroidケータイ”Xperia”も登場するというのに。日経新聞電子版がビジネスサービスであるならば、スマートフォン対応は必須じゃないの?

願わくは、「いま必死で開発中です!」でありますように。それにもしそうなら、アナウンスしてほしいもんだ。

せめてMy日経の機能だけでもiPhone対応してはどうだろう。朝軽く記事をチェックして、気になる見出しは保存して、電車の中で読む。そんなことができたら、ぼくは毎日読むよ。いままでにも増して読むよ、日経を。

それからどうしても料金の問題は考え込んでしまう。

実は今週、日経新聞電子版いよいよ登場ということで、会社で購読するつもりだった。会社は紙の方をとっているのだから、追加1000円でいいわけでしょ、と。総務に手続きを頼んだのだけど、まず電話がつながらないという。うーん、出たばかりだから仕方ないかな、と待ってたら、ようやくつながったけど「法人購読は月4000円で、まずは個人で試しに購読してみてはと言われました。4月末までは無料だそうです」と報告があった。

法人購読は月4000円?法人の場合は紙をとってることは関係ないの?法人購読を申し込んだら個人購読を勧めるわけ?うーんよくわからない。WEB上の説明でもこの点はよくわからないことになっている。

そんなところへ、Twitterで・・・
日経新聞電子版について日経に問い合わせてみた。「法人で購読したいんですが?」「社内で閲覧される方の人数x4000円になります」………ありえへんし!!
という”つぶやき”が流れ込んできた。これはどういうことだ?

結局、法人購読の料金体系がなんだかわからなくなり、めんどくさくもなったのだけど、4月末までは無料ならと、今日になって個人購読で試してみた、という流れ。法人購読で紙の方をとっていると、閲覧者は社員の数だけいる。それなのに電子版だと4000円×人数なのか?それに紙をとっていればプラス1000円じゃないの?うーん、よくわからん。

紙をとっていればプラス1000円。電子版だけだと4000円。この料金体系もなあ・・・紙をやめる意志がまったくない人には、ま、別にいいっすけど、ということだろうけど、新聞そのものが自分の生活に必要か?とみんなが悩んでいるこのご時世にどうなんだろう。紙をやめさせたくない、という意図なのはよくわかるけど、かえって紙も電子版もやめる方向へ向かわせてしまわないだろうか。少なくともぼくは(さっきあれだけほめちぎっておきながら)この一カ月悩むだろう。それは「おれの知りたいニュース」はいまや相当なレベルでネットとiPhone(そしてTwitter)で収集できてしまうからだ。

電子版の料金はおいとくと、紙をとってれば無料にするのがマーケティング上の正解だったのではないだろうか。そうすれば紙をやめない意志が強く働く。電子版でよぶんに稼ぐのではなく、電子版で”つなぎとめる”のが考えるべきポイントだったんじゃないのかな?・・・

みなさんイッキにやる気になってきました!〜VODに未来はあるのか・その2〜

さて2日も更新していない間に世の中はぐんぐん動いていた。前々回、みなさんそもそもやる気あるんすか?!というタイトルでNHKオンデマンドのインターフェイスのダメさ加減を腐すようなことを書いた。そうしたらいきなり今週、みなさんのやる気をもりもり感じさせるニュースが2件も飛び込んできた。

ひとつめは、これ。テレビドガッチで民放各社が有料配信スタート、なんだってさ。へー。テレビドガッチってなんなのさ?って人は自分で調べてちょ。もともと民放各局が出資してできたVODサービスなんだけど、これまでは決して地上波の番組をどしどし出していく気配はなかった。それがどしどし出すらしい。

ふたつめがこれ。テレビ局と電通博報堂がGyaOに出資、ってことらしい。ふーん。GyaOが何かも調べればわかる。USENがはじめた動画サービスで、去年Yahoo!に売られたのよ。もともとフジと日テレは出資していたのだけど、この度テレ朝、TBS、テレ東と電博も出資したと。

なんかみなさんここへ来て、急にVODにやる気をモロに見せはじめています。ほら、世の中動いとる。

これに対して冷ややかに「テレビ局も代理店もしんどくなったから新たな鉱脈探しなのさ、へん」なーんて態度はぼくはとらないよ。もう、うれしくってうれしくって仕方ない。これでやっとVODサービスがまっとうなものになってくる。

アメリカでは日本よりずっとVODサービスが盛んだ。例えば日本だとiTunes Storeで買える映像はミュージックビデオだけだ。でも国籍をアメリカに変えると”Movies”と”TV shows”というカテゴリーも出てきて、最新ドラマや映画が購入できる。(ただしリージョン制限でぼくたちは購入できない)iTunesはひとつの経路にすぎず、他にもVODサービスはいろいろあるそうだ。

アメリカでも最初はVODに懐疑的でDVDの売上に差し障るんじゃないかと危惧していたのを、ある時からえいやっとオープンにした。それによって映像コンテンツ市場は活性化したのだ。そこでポイントだったのが、メジャーな作品なわけ。

日本でもGyaOに限らずVODサービスはずいぶん前から存在していた。でもアメリカほどには活性化できなかった。それはひとえに、メジャーな作品がなかったから。だからエロとマニアックなアニメだらけになり、VODってのはあれでしょ、スケベジジイとオタクのものなんでしょ、というイメージになってしまった。事実そうだったわけだけど、イメージがそうなると余計にそうなるのだね。

ところがそこへ、地上波で放送されていた著名タレントが出演する作品がならぶだけで、一気にサービスのイメージが変わる。なんだか私が見てもいいみたいな気がするサービスに思えてくるんだ。そんなもんだ。

VODにメジャーな作品がならび活性化すると映像コンテンツを巡る状況がぐんと変化する。例えば野村総研は去年12月に発表した予想としてVOD市場は09年度の478億円が14年度には734億円に成長するとしている。これだけでも約1.5倍なわけだけど、メジャー作品の登場でさらに成長するとぼくは予測する。大した根拠もなく言っちゃうと14年度に1000億円ぐらいにはなるんじゃないか。

もしそうだとすると、前に書いたように去年の邦画の興行収入合計は1173億円だったので、映画興行市場と同じくらいになるということだ。そう考えると大きくないかい?もちろんそれに呼応してDVD市場の縮小はつづくだろうからプラスマイナスでどうなるかはもっとよく見ないといけないけど。

ともかく、VODが活性化し、映像コンテンツを視聴する選択肢が増えたり身近になったりすることはおそらくいいことだ。

さてどんないいことかってことを、少しずつ、書いていこう。というわけで今日は酔っぱらってるから、これでおしまいZZZZZ…

NHK『激震マスメディア』を巡るソーシャルテレビウォッチング

ソーシャルテレビという新しいメディアの楽しみ方がある。すんごくカンタンに言えば、テレビ放送と同時並行でソーシャルメディア(つまりほぼTwitterとイコール)を楽しもうということ。

NHK『激震マスメディア』では、それが重層的に堪能できた。なかなかない機会だったと思う。テレビ放送の新しい姿がそこにはあった。

『激震マスメディア』は放送記念日に合わせて、マスメディアの危機とネットでの新しいコミュニケーションの姿を、リポート映像を織り交ぜながらスタジオでディスカッションして模索するのが趣旨。民放連の会長(というかテレビ朝日の人)、新聞協会の会長(つまりは読売新聞の人)、NHK副会長というマスメディア代表のお偉方と、我らが佐々木俊尚さん、ドワンゴの川上会長、学習院大学の遠藤薫教授というメンバーが議論を闘わせた。

番組は後半で温度が高まった。マスメディア陣が「ネットの人びとは素人であり、報道にはそれなりの規模の組織が必要だ」と言いたがっていた(いや、実際言ってたな)のに対し、佐々木さんが「ネットでは質の高い言論が行われている。マスメディアの方が質が高いという認識はまちがっている」という趣旨の発言をかなり決然と述べていた。ディスカッション番組としては、この点をマスメディア上ではっきり言ってのけたことにその価値があると思う。

だがぼくがここで書きたいのは、実は番組の内容そのものではない。この討論番組を巡り、ソーシャルメディアが大活躍し、楽しみ方の幅を広げたことこそに、この放送の最大の意義がある、ということ。

まずNHK側があらかじめ、Twitterを使いますよと宣言していた。ハッシュタグ(#nhk_media0322)で皆さんのご意見を、と呼びかけていたのだ。

前日からこのハッシュタグは異様と言っていい盛り上がりを見せた。番組とハッシュタグに気づいた人たちがぐいぐいRTしていく。それによって呼び寄せられた人たちがまたRTを発信し、RTの渦巻きが巻き起こったのだ。

当日になると今度は熱い熱い発言がどんどん流れていく。このテーマがいかに旬かがよくわかった。

一方、このところUstreamによるダダ漏れ中継で注目のケツダンポトフが、番組放送の時間に『激笑マスメディア』のタイトルでダダ漏れ裏番組の放送を予告。上杉隆さん、津田大介さん、ホリエモン氏などの豪華(裏)キャストを集めた。

ケツダンポトフのそらの嬢は当初、同じハッシュタグでのTwitter参加を呼びかけたが、いろいろ議論になった末、別のハッシュタグ(#ura_media0322)を立上げることになった。当然、このハッシュタグ上にも人びとが押し寄せ、2つのハッシュタグのタイムラインが、マスメディアとネットに関する意見、主張、異論、反論、愚痴、提言、冷やかしで埋め尽くされた。

そんな騒ぎの末に、22時となり番組が開始。さてそうなると、視聴者としては大変だ。テレビを見ながら1次ハッシュタグ(#nhk_media0322)をTwitterで追いかけつつ、Ustreamでのダダ漏れ中継を視聴し、さらに2次ハッシュタグ(#ura_media0322)もキャッチアップするという、いったいどこに集中すればいいのかという状態に。すべてを脳みそに入れるのは聖徳太子でも無理だろう。

しかし、意外にこれは楽しめた。テレビ放送を見ながらUstreamの方はソファにポンとPCを置いてイヤホンで聴くともなしに聴く。Ustのみなさんも番組を見ながら話しているので、友だち数名とだべりながらテレビを見ているのとあまり変わらない。うまいところで上杉さんあたりがナイスな解説を入れてくれたりで、なかなか楽しめるのだ。

Twitterのタイムラインはほとんど読めない。どんどん流れていくから目と脳みそが追いつけないのだ。でも時々、視界に気になるひとことが入ってくるので、ちょっと止めて読んだりはできた。

ソーシャルテレビの環境をつくれば、テレビ放送もインタラクティブなものになる。今回の放送では生のタイムラインは見せなかったが、番組の企画としてTwitterによる視聴者とのやりとりを最初から組み込めば、いろんなことができるのではないかな。それに何といっても、そうすることで生放送でなきゃ、という番組にできる。テレビは録画して見られるとCMを飛ばされて広告価値が減る、という問題が言われて久しいけど、その解決の一端になるんじゃないか。

マスメディアの危機を議論する番組が、テレビの新たな可能性を示す状況をつくった。しかもつくったのはNHKだけでなく、ケツダンポトフなど、ようするに”みんな”だ。視聴者側も加わって”みんなで番組をつくる”時代が垣間見えたのだった。

さてUst中継の方はぼくがこのブログを書いているいま現在も続いている。NHKの方に出演していたドワンゴ川上会長も駆けつけてすごいメンバーになっているのだが、お酒が入ってちょっとグダグダ状態。それも含めて面白いのだけどね。

いろんなヒントが見つかった、不思議な夜でした・・・

※補足:@Akashitakosaburさんがブログに『激震マスメディア』の真摯な感想を書かれている。新聞メディアの危機についての情報発信を日々しておられるブログです。たぶん心底ガッカリしたのだと思う。番組の読後情報として価値ありなので、みんな読みましょう!

みなさんそもそもやる気あるんすか?!〜VODに未来はあるのか・その1〜

VODつまりビデオオンデマンドについて新たなサブテーマを掲げてしまった。

前々から書こう書こうと思っていて、でもまだまだ頭の中で言いたいことがまとまらないし、各サービスがはじまったばかりで情報少ないし、そのうちね、と思ってた。ところが、今日、ひとりのユーザーとしてとっても哀しい思いをしたので急きょ、書くことにした。「広告の新たな地平線」と並行して書き進めるので、そこんとこひとつよろしく。並行して器用に書き進められるのかよ、なんてつっこまないでね。自信ないんだから。

さて、このブログを読んでくれている人なら、明日の夜は楽しみにしているはずだ。PM10時からNHKで生放送される『激震マスメディア』があるからね。時代の預言者、佐々木俊尚さんも出演し、おそらくレガシーメディア側のおじさんたちとバトルが大展開されるだろう。Twitter上でも#nhk_media0322のハッシュタグでぐいぐいソーシャルストリームが走るだろう。ああ楽しみ!

そしたら今日、前夜祭的にBSで『メディア地殻変動』と題して2部構成でアメリカのメディア事情を取材した番組もあった。気づいたのが『龍馬伝』放送直前だったので第2部しか見れなかったのね。その終わりに「この番組はNHKオンデマンドで視聴できます」とあった。おお、ぼくにとってはじめて役に立つぞ、ということで第1部をNHKオンデマンドで見ようと思ったわけだ。

まずイッツコムオンデマンドを起動した。ぼくは東急ケーブルテレビ、通称イッツコムに加入している。そこが最近、VODサービスを起ち上げた。それがイッツコムオンデマンド。その中で、NHKオンデマンドは視聴できるはず。さっそくアクセスしてみたよ。

そいで・・・どこにあるのかな、『メディア地殻変動』は?・・・NHKオンデマンドの中には、えーっと、見逃し番組、特選ライブラリーなどとメニューがいくつかに分れている。当然、見逃し番組の中にあるんだろう・・・あれ?10個ぐらいの番組が並んでるけど、ないなあ、そんなの・・・じゃあこっちのメニュー?いやあっちのメニュー?・・・ないなあ・・・検索できないのかな?えーっと・・・検索検索、検索、と・・・おやあ?検索するとこ、ないじゃん・・・

なんかいやんなってきた。このインターフェイスわかりにくーい。だんだん不快になってきた。

うーん、でも明日の『激震マスメディア』の前にどうしても見ておきたいなあ『メディア地殻変動』の方も。第2部はインターネット上で新聞メディアの人びとが七転八倒しながら頑張ってる話で面白かったし為になった。第1部もどうしても見たいんだよ、しかも今日!

そうだ、PC上でも見れるんだっけ。さっそく愛機MacBook Proに飛びついた。えーっと・・・あったあったNHKオンデマンドのWEBページ。んーとなになに?・・・推奨環境は・・・ええー?!Macでは見れないの?ガーーーーン!・・・これにはショックを受けた。確かに一昔前まではWEB上の動画サービスにはMacで見れないところが多かった。でもそれは一昔前の話で、いまはだいたいどこもMacでも視聴可能になっている。いまどきなんだこれは!iPodとiPhoneの登場でMacユーザーは増えているんだぞ。こないだのDIMEだって「いまからはじめるMacライフ」って特集だったんだぞ。知らないの?Macユーザーを馬鹿にするなちくしょー!!・・・

いやいやいや、落ち着け、落ち着けおれ。そうだよ、Parallelsがあるじゃないか。WindowsをMac上でも動かすように整えたじゃないか、おれは。・・・ほら!Windows立ち上がったぞ。うんうん、NHKオンデマンドアクセスできたじゃないか。えーっと・・・おっ、さすがにWEB上だと便利そうだ。見逃し番組が日にちごとに出てくるぞ。えーっと・・・『メディア地殻変動』は、と、・・・おや?ないなあ、おかしいなあ・・・じゃあ検索してみよう、検索検索、と・・・は?該当する番組はありません?・・・・・・・・・・・・・・・・もうイヤ!!!!!

どおーーーんと落ち込みながら、まあせっかくアクセスしたのだから、なんか見よう、予告編でもいいから見よう、そうだ大好きな『ハゲタカ』の予告編を見よう、と、クリックしてみる・・・あら?別ウィンドウが・・・なにこれ?Media Playerで見るの?いまどきそんなやり方なの。ここ?・・・え?なんか聞いてきた。・・・VC1コーデックがどうので再生できない?えーっとでもダウンロードすればいいらしい・・・はい、完了!も一度動画再生・・・え?また同じメッセージ・・・
いったいぜんたいどうなってんだよこの動画サービスはよお!!!

これはまずいよ。やばいよ。よーくわかったのだけど、やる気ないんだ、この人たちは・・・NHKオンデマンドだけじゃない。せっかくいろんなとこがVODサービスをはじめたのに、誰も彼もやる気がないんだ。ユーザーの気持ちで、実際に使う側に立ってサービスを設計してないんだよ・・・

そしてまずいことに、やばいことに、映像コンテンツの今後のビジネスモデルにとって、VODは最重要プラットフォームなのだ!つまり、ぼくたちの未来がかかってるんだ!みんな、やる気出してくれないと、困るんだよおおお!・・・・・・という話を、これから書き進めていくことを決意したのであった・・・

だったら広告屋は”統一”しなくていいの?〜広告の新たな地平線・その7〜

また”図”を見ながら話すよ。あれ。でもこの図は前回と同じ図だ。

というのはね、この図をじーっと見ていると、なんか言いたくならない?

仮に企業の側がコミュニケーション関連の部門を”統一”した時、広告受注側は統一しないの?と思うじゃないすか。感じるじゃないすか。

統一というのは、みんな合併でもしなさいよ、ということじゃなくて、総合代理店とネット代理店とWEB制作(コンサル?)と機能分化してていいの?と言いたいわけ。

いやいや、そんなこともうとっくに考えてるよ、と総合代理店の人は言うのかもしれない。だからうちの会社はソリューションを標榜しているんだよ、もう代理店じゃないんだよ。それに新しいコミュニケーションを提案できるようにネットメディア部門もとっくにあるしインタラクティブソリューション部門もあるしコミュニケーションデザイン部門は新設したし来期から新たにソーシャルメディア部門もできるしバズ専門企業を子会社化したしシステムソリューション企業と提携だってしてるんだ。打つべき手はすべて打ってるんだよ。万全だよ。そんな感じで長々と答えるのかもしれない。

でも、それって逆に話をややこしくしてないすか?

というわけで、本日のプレゼンテーションには・・・と、何十人もスタッフが頭数を揃えてたりしてないすか?

昔の広告はよかったよな、マス中心の頃はな、コピーライターとアートディレクターとCMプランナーと、あとはマーケティングのやつと、5人ぐらいで頭付き合わせればプレゼンできた。いまはもう、ついていけないよ、おれには。そんな風にお嘆きのベテランの御仁もおられるやもしれません。

いまだって、5人ぐらいでできちゃうんじゃないの?ホントは。

一方、ネット代理店やWEB制作(コンサルとかソリューションとか?)系の人たちはまたマスメディアのことを知らなかったり、宿敵扱いしたりする。もうネットですべてが済むんです。マスメディアはムダが多くて効率が悪くてROI上無意味なんざんす!そんな態度だったりしてませんかい?そうやってネット至上主義みたいな姿勢で結局あまり大きなバジェットを視野に入れずにここまできて意外になんだか利益向上できなくて疲れてきちゃってたりしない?

総合代理店は、ネットだってうちわかってますから、と言いつつ、ホンキで取り組めてなかった。そうじゃないって人も中には居ただろうけど、総体的にはやっぱりそうだった。なんだかんだ言って結局提案にはテレビCMが無理矢理入ってたりなんかした。だってマスメディアを取り扱う方が利益的にいいんだもーん。

ネット系の人たちはマスメディアを目の敵にしてきた。それは戦略的にはそうすべきだっただろう。マスに対してネットの価値を説く方が彼らの本質的なバリューを認めてもらえて仕事を獲得しやすいのだから。まあ、少なくともいままではマスメディアの提案をしようにも媒体社と取引できなかったというのもあるかもしれない。

とにかくどっちの側もどっちかに偏っていた。そんなことない?

解決は何かって言うと、全部アリだ、って姿勢を取る、ということ。全部というのは、マスメディアだってまだまだ必要だし、でも当然いまやネットは必須だし、そのどっちも、全部、ということ。

いやあでもホントはおれネットのことさっぱりわかんないんだよ、と総合代理店の人は言うかもしれない。うーん、マスメディアのコミュニケーションってわかんないんすよねー、企画したことないから、とネット系の人は言うかもしれない。

でもさあ、みんなネット使うしテレビ見るじゃん。それでいいじゃん。

あるいは、知らないことは知ろうとすればいいじゃん。知ってる人に聞いたり、調べたり、すればいいじゃん。やってみたことないこと、やってみればいいじゃん。

だって、ぼくたちは、新しいことが大好きでこの業界に入ったんじゃないか!新しいことを知ったり経験したりすることは、仕事がどうのこうのの前に、面白くって仕方ないじゃん!

今の仕事に就いた時の、あの興奮と前向きな気持ちで、もう一度走り出してみようよ。

そうすれば、みんな、同じ道を走っていることに気づくはずだ。同じ道を、みんなでかけっこして競争していく、その楽しさをとり戻せるはずだ。

・・・ってことで、みなさん、オッケーすか?

宣伝部も広報部も販促部もマーケティング部に統一(目標:物を売る)〜広告の新たな地平線・その6〜

Twitterでhhoshibaさんがこう言った。
marketingって「物を売る」ってことだから、売るのは企業(広告主)。代理店ができることは精々リサーチくらい。
それからこうも言ってたっけ。
全部ひっくるめてマーケティングでいいんです。「物を売る」ということがコアにあってのブランドとかプロモーションなのですから。
うーん、なるほどー。ということで描いたのが上の図。シンプルだね。

そう、こういうことでいいんじゃないすか?

日本の会社はすぐ、部署をつくる、分ける。その分け方がメディア別になっていると、メディアがクロスしないに決まってる。予算も部署ごとに設定してしまうので「WEBが伸びるのだから予算を増やしたいよ」「いやしかしまだまだマスメディアの効果は高いのだからこっちはもう減らせないよ」「いえいえ、これからはソーシャルメディアですよ。週刊ダイヤモンドもTwitter特集組んだじゃないですか。ソーシャルメディアは広報の担当です」てなことになる。そうやって縦割りの予算分捕り合戦やってたんじゃクロスメディアなんて永遠に成立しないっしょ。

それからすべてのコミュニケーションの目標が「物を売る」ことにあるのだと自覚する。よく”ブランド室”なんて部門ができてブランドイメージの測定を上げることに血道を上げ、そのわりに予算は少ない、なんてことがある。ブランドイメージが「物を売る」ことに結びついたかどうかは忘れちゃう。でももちろん、企業ブランディングだって「物を売る」ことにつながらないと意味がないわけで。

企業ブランドからマスメディアの使い方からWEBからTwitterからPRから、ぜんぶ「物を売る」ためにマーケティング部で受け持つ。そういうことに、していきませんかい?

マスメディアですべてが解決するわけじゃないけど、Twitterさえやってればいいってもんでもない。とにかく、どう配分するか、なわけだから。必要に応じてテレビCM使ったり使わなかったり、WEBを大々的につくったりつくらなかったり、すればいいんだ。

企業のコミュニケーション部門がどうあればいいか、なんとなく見えた(もうぼくが勝手に見えただけだけど)ところで、そこから先をまた考えていこう。タイトル通り、広告の新たな地平線、ってやつを。ポイントはソーシャルメディアだった。ソーシャルメディアで万事オッケーって話でもないよ。ただ、ソーシャルメディアによってメディアが”つながる”ことが可能になってきた。だったらどうするの?って話。

それはね、ってんで明日も書かないわけにはいかなくなってきちゃったなあ・・・

発注がクロスしないとクロスメディアにならない〜広告の新たな地平線・その5〜

はい、上の図は昨日と同じです。また使うからねー。

さて上のような構造ができ上がってリーマンショックがやって来た。そうするといままでにも増してクロスメディアが進まなくなってしまった。

上の図はようするに、マスとネットとで受発注が別々のルートに分れてしまっているということだ。ほっとくとクロスメディアにならないわけだ。その上、経費削減の台風が吹き荒れている。別々のルートのそれぞれがガクガクブルブルとすっかり萎縮してしまったのだ。よけいにクロスメディアが進まない。

さてここで面白い現象が起こる。そしてよく考えるととっても不合理な現象だ。

宣伝部は金額的にもっとも予算を減らした。例えば広告宣伝予算が年間100億円あったとしよう。それが70億とか50億とかになった。

広報などWEBオンリーの部門は予算総額そのものは減らされてはいない。ただし年間の予算規模は宣伝部の何十分の1だろう。数億とか、ヘタをすると数千万かもしれない。

WEBの部門は予算規模が小さい。だから発注規模は百万単位だ。十万単位だったりもする。そんな中、効果だけは求められ、発注側も受注側もキュウキュウとしながら商談をする。

一方で、宣伝部は予算が減ったとは言え、相変わらず億単位の話をしている。同じ企業で部署がちがうと、発注金額の単位が全然ちがうのだ。

生々しく書いてしまうと、マスメディアを軸としたキャンペーンの場合だと2億とか3億とかいう規模だとあまり効率的ではない。2億ぐらいだとテレビCMと新聞雑誌広告を展開するなんて効果的とは言えない。短い期間でパーッとコミュニケーションが過ぎ去っておしまい。認知も獲得できない。そこで宣伝部はうーむと悩みこむ。

だったら宣伝部予算と広報や販促のためのWEB予算を合わせてしまえばいいのだ。2億円はマスメディア中心に使うと花火にも何もならないが、いっそドカンと丸々ネットに使えば相当なことができるだろう。でもそうならないのだ。WEB展開に億単位の予算を投じるのはありえない。「だってWEBはマスメディアより安いわけだろう」社内でそう言われてしまうからだ。

テレビCMだとなぜか2億円ぐらい使う話が通るのだ。それは各企業の上層部がテレビならわかるからだ。自分たちが観るから。でもネットでの広告は上層部は見ない。ネットなんかあんまり見ないからだ。

なんかすごく馬鹿みたいだなーと思う。結局、宣伝部とネット関係の部署はお互いに損しているのだ。

これを解決するには予算を全部一括で扱うしかないだろう。予算が部署ごとに分かれて組まれているから不合理になる。一緒にして振り分け方はその都度判断すればいいのだ。

上の図の中にChief Branding Officerというのをオレンジの点線枠で置いてみた。そんな存在が必要なのだ。CBOがコミュニケーション予算を一括で管理する。新商品がでる、と決まったら、目標となる売上規模をもとにその商品に必要なコミュニケーション予算を組む。10億かけられるのなら、マスメディア中心に考えればいい。2億とか1億とかだったら、マスはちょっと横において考えた方がいい。ネット上で十分なことをやるのなら、マスメディアはいらないかもしれない。

あるいは、何らかのコミュニケーションを考える際、マスメディアから、ではなく、ネットから考えた方がいい。いままでは、テレビCMを先に考えて、ネットでやること企画しよう、となっていた。これからは逆。マスはいちばん最後に企画すればいいのだ。

そうしたコントロールをCBOがやればいい。そうすればクリエイティブ業界にもプラスに働くはずだ。

という理屈はカンタンだけど、現実はそうカンタンではない。いろんな人の気持ちややる気を逆なでする話なので。

だから、少しずつ、のんびり、ね・・・とは言ってられないのだけど・・・

コミュニケーションに関わる部門の変遷〜広告の新たな地平線・その4〜

広告におけるメディアとコンテンツの関係論。だんだん生々しくなっていくよ。さあ今日も”図”とともに解説しよう。

前回前々回と書いてきた「メディアを先に決めるんでなく、全体を企画してからメディアを決めましょうよ」という話は、実はだいたいの人は納得する。「そうそう、そうなんだよね!」と、前々から考えてたみたいに反応してもらえる。実際、相手の方も同じ考えなのだ。

なにしろクロスメディアという概念が言われはじめてもう10年ぐらいは経っているのだ。みんなもう「んなのわかってるぜい」と思ってる。

ところが、実際にはなかなか具体化しなかったりする。・・・どうしてだろうね?

どうしてかを説明するのが上の図だ。

そもそも、ネットが登場するまでは、企業がメディアを使う際の担当部署は宣伝部だけだった(宣伝部と呼ばれているかどうかは企業によっていろいろだけどね)。宣伝部はほぼ100%、広告代理店とつき合っていた。そこで、メディアの購買を代理店を通して行ってきた。

10年ぐらい前から、広報などの部署がネットを使いはじめた。企業サイトを持つために、WEB制作会社とつき合いはじめ(あるいはWEB制作会社が勃興し)いわゆる「.co.jpサイト」を起ち上げるようになった。こうしたサイトはすべての部門のニーズを満たす必要があるし、その制作プロセスの中で「企業をどう世の中に見せるか」という問題が起こってくる。上場会社の場合はIRも考えねばならない。そのため、こうした作業は一年とか二年とかかかる。また引受けるWEB制作会社は企業コンサルティング的なスタンスになってくる。こういう会社には「私たちは頭いいですよ!」というムードが自然と生まれる。

これに少し遅れて、販促セクション(事業部や営業本部の中にあったりする)がネットとつき合いはじめる。主にちょっとした販促サイトと、検索エンジンへの対応だ。こうした業務の受皿となったのがいわゆるネット代理店だ。若い営業マンを大量採用し、人海戦術で営業をかける。各企業がどんどん検索対応をしはじめたので、ネット代理店は急成長した。

一方、宣伝部の中でもネットとのつきあいがはじまる。マスメディアのキャンペーンにネットも使おうという動きが出てきたのだ。いわゆるキャンペーンサイトとかスペシャルサイトとか言われるWEB制作が必要になってきた。これは既存の広告代理店が窓口になり、その中に出来たインタラクティブなんとか局、のようなセクションが対応した。そしてキャンペーンサイトのためのWEB制作会社が立ち上がっていった。あるいは、グラフィックデザインの会社やCM制作の会社にWEB制作部門が出来て対応した。こうしたサイトは比較的短期間で制作する。また、制作単価も上昇傾向になった。宣伝部予算は広報や販促セクションより大きいからだ。

こうしたプロセスを経て、上の図のような体制ができ上がっていった。

そこへリーマンショックが到来したのだ。

コミュニケーションの世界に、「ROI」という言葉が進出した。マスメディアに注がれてきた潤沢な予算が3割4割アタリマエ感覚で減らされた。でも広報や販促でのWEB予算は増えたりはしない。そんな状況だ。

話はこれでおしまいではなく、いよいよ本題に入るよ。でも今日は疲れたからまた明日。次回はけっこう生々しく、また興味深い話になっていくからね。乞う、ご期待!・・・