VODがもたらすマルチウィンドウ戦略〜VODに未来はあるのか・その3〜

VODに関してもにわかに盛り上がる気配のニュースが出てきて、TBSオンデマンドが09年度通期黒字を達成したなんてことも今日伝わってきた。各テレビ局がやる気になってきたぞ、と。

VODにマジやる気なのはフジテレビオンデマンドも同じ。というか戦略的なチカラの入れ方はいちばんかもしれない。去年後半あたりから、いろんなVODサービス上に”フジテレビOnDemand”というチャンネルが登場している。わが家の東急ケーブルテレビのVODサービスにも続々ドラマが配信されている。

VODがぼくたちにもたらす効用を、わかりやすく満喫する事態がわが家でも起こった。

『ライアー・ゲーム』というドラマがある。去年後半から今年にかけて『ライアー・ゲーム2』が火曜日9時から放映されていた。うちの小五の娘はミステリー好きで、小説もよく読むし、映画やドラマもミステリーものを好んで見る。『ライアー・ゲーム2』も当然ながら毎週見ていた。ちなみにこのドラマ、1作目は2007年4月から土曜日夜11時台の放映で、娘は当然見ていなかった。

さてこの年末年始休暇、導入したばかりの東急VODサービスのメニューをだらだらどんなコンテンツがあるか見ていたら、フジテレビの過去のドラマが満載なのに気づいた。『愛という名のもとに』なんて20年ぐらい前にハマったものもある。その中に、『ライアー・ゲーム』1作目も発見した。娘に教えると当然見たいと言う。すると当然父親としては、じゃあ一緒に見ようとなるわけだ。かくして、その休暇中に十数話のドラマを娘とともにイッキ見した。

『ライアー・ゲーム』はほんとうによくできた物語で、2作目だけを見ても十分楽しめていたのだが、やはり1作目から見ると物語の奥行きがよくわかる。なおさら2作目も楽しめていった。

そしてこの3月に公開された映画『ライアー・ゲーム ザ・ファイナルステージ』は初日に娘と映画館に見に行った。フジテレビの戦略にまんまとハマったのかもしれない。戦略にハマったであろうことも含めて十二分に楽しんだ。

『ライアー・ゲーム』のこうした一連のコンテンツの見せ方の流れには、今後の映像コンテンツがとるべきメディア展開戦略のひとつが垣間見える。そしてその中でVODの果たす役割も見えてくる。

映像(に限らず)コンテンツは”育てるもの”になってくるのではないか。そしてその際にVODは重要な役割を持ってくるのではないだろうか。少なくとも『ライアー・ゲーム』ではそれが効果的に機能したわけだ。

そしてVODが市場として成長してくれば、育てる場所は地上波テレビ放送に限らないことになってくるはずだ。

いまや映像コンテンツはWEBやケータイのいろんな場所で流されている。最初は例えばケータイサイトである企画を流してもいいのかもしれない。小さな範囲でも何らかの評価がつかめれば、より大きなウィンドウで流せるかもしれない。続編を最初より意欲的な制作費やキャストでつくってみてもいいかもしれない。そんな風にコンテンツを育てていく時、『ライアー・ゲーム』と同じように”一作目はどうだったの”という声が出てきて、その際にVODは良きサービスになり、相乗効果をもたらすはずだ。そのゴールには映画化だって見えてくるかもしれないのだ。

そうやって考えると、地上波キー局がオンデマンドに力を入れてメジャーなドラマを配信してくれれば、VODが活性化し、映像製作事業者全体へもプラスな状況になってくるのだと言える。

市場が活性化すると多くの人に機会をもたらすのがインターネットなのではないかな。ちょっと能天気かもしれないけど、ぼくはそう感じている。

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