『次世代マーケティングプラットフォーム』というこの本。湯川鶴章というメディアの最先端のことを書いてきたジャーナリストの著書だ。彼が何者かは、ちょっとググればいろいろ出てくるのでここでは割愛。
なにが”すげー”か。
例えばサブタイトルは・・・”広告とマスメディアの地位を奪うもの”
あるいは帯には・・・”広告の「周縁」が「終焉」を加速する”とある。
内容は、広告、というか、ものを売るための最新のコミュニケーションテクノロジーをアメリカで取材したもの。でも彼は、そういう”ほらこれが新しいよ”と紹介したくて書いているのではない。彼がこのレポートに込めたメッセージは、”はじめに”に集約されている。
”取材を終えて確信に至ったのは、「広く告知する」を意味する20世紀型の広告はいずれ消滅するということだった”
おおー、ふむふむ。
”それは広告というより販売促進に近いコミュニケーションになり、クリエイティブよりテクノロジーが重要になるということだ”
うんうん、なるほど。
”企業は、広告、広報、マーケティング、カスタマーサポートといった部署間の垣根を払い、企業全体としてコミュニケーション戦略に取り組んでいかなければならなくなる”
へー、ほおー。
なんか、このブログでぼくが書いてきたこと、これから書こうともやもやと頭の中で混とんとしてることを、一気にまとめて書かれたようで、びっくりして、感心したよ。
で、最終チャプターまで読み進むと、こんどはショックを受けた。
■広告にクリエイティビティは不要になるのか、という見出しで書かれたパートの最後は・・・
”クリエイティブな広告はなくならない。しかしその重要性は低下せざるをえないのだ”
ガーン!重要性は低下するのかあ。言われちゃったよ。重要性が低下したクリエイティビティは、ちっともクリエイティブな気がしない。
その上で彼が言うには・・・
”今までのメディア産業とは一線を画す、新しい「表現のビジネスモデル」を構築するしかないのだと思う”
のだけど・・・
”既存メディアのビジネスモデルが崩壊する前に、新しいビジネスモデルが確立するのかどうかもわからない。既存のビジネスモデルの崩壊の方が先かもしれない”
・・・そうですなあ。まさに今年、”既存のビジネスモデルの崩壊”が”先に”起こっちゃってるのだよねえ・・・
うーん、ねえ、そこのあなた、どうする?
関連記事
次世代マーケテンィグプラットフォーム/湯川 鶴章
広告に関する刺激的な(そして、いま語られるべき)意見を聞かせてくれるブログ「クリエイティブ経営論!」で紹介されていたこの本、確かに「すげー本」だ。
特に第7章の「メディアと広告 そしてすべての企業の未来」には、ずいぶんドキッとさせられる。最初の項目「広…
これからは日本は諦めて、ロシアや中国などの世界へ進出するしかないのでしゅね。
著者です。書評ありがとうございました。めちゃくちゃうれしいです!クリエイティブの方向が変わるのではないかと思います。どのようなデータ、ツール、メディアを組み合わせて三河屋さん的対応をするのか、という部分は今後ますます人間のクリエイティビティが重要になる領域だと思います。
このブログはあまりコメントがつかないのでいま気づきました。本について書いてご本人に発見していただき、コメントをいただけるなんて光栄です。こちらこそありがとうございます、です!
こんにちは。遅ればせながら、TBさせていただきました。この本を紹介いただいて、感謝です。同僚たちに配りたいくらいだけど、何人が理解し、どのくらいが拒絶反応を示すのか。そこが会社の今後を占う基準になりそうですね。ではまた!