ブログはお金にならない。だから強い。〜久々の出版を機に、久々にブログを書く〜

書影
2月21日に新著が出る。「拡張するテレビ」を出版したのが2016年8月だったので、2年半ぶりだ。

そしてこのブログもずいぶん書いてなかったので久しぶりだ。いちばん最後に書いたのは2018年の1月だったがこれは年賀状みたいなもの。その前は2017年4月でセミナー告知用に書いたもの。その前もセミナー告知で、普通にブログを書いたのは2年ぶりじゃきかない。用がなきゃ来なくなった実家みたいになってしまった。

今回も新著発売の告知のために久しぶりに書いているのだが、これを機に「ブログを再開」しようと考えている。ブログがメディアコンサルタント境治の原点だし、いまブログに戻るべき、ブログがやっぱり大事じゃないかと考えているからだ。

ぼくがぼくとして、ぼくらしく書ける場所
ブログをあまり書かなくなったのはなぜか。私はいま、MediaBorderという自分で運営する有料メディアで書いている。これは「テレビとネットの横断業界誌」と標榜し、その分野に興味がある読者に向けて記事を書くことになる。一方でYahoo!ニュース個人にも不定期で書いており、こちらはもちろん誰でも読めるメディアだ。

他に宣伝会議のWEBメディアAdverTimesに不定期連載を持っており、放送業界誌GALACでも毎月連載している。これは紙媒体。

ブログを書かなくなった理由の第一が、これらを書いているとブログへのエネルギーがなくなったからだ。特にMediaBorderを2015年7月に立ち上げてからはめっきり減ってしまった。これまでブログに書いていたような業界の動きとそれについての私見をそっちで書くようになったからだ。

MediaBorderは大した金額ではないがお金になっている。それに購読者限定のメディアだからクローズドな形。だからとっておきのネタを書ける。

とはいえ、お金をとっているのだからいい加減なことも書けない。Yahoo!はものすごく多くに読まれるので、こちらも迂闊なことは書けない。業界誌はもちろん、専門家として書いているのでちゃんとしたことを書く。

気がつくと、気楽に書ける場がなくなってしまった。ブログを始めた頃は、実にのびのびと書いていた。思いついたことをどんどん書いていた。文体もフランクな口語調で、だからこそ読みやすいと言われたもんだ。自由に書いていた。

ブログだけの頃から比べると、今はずいぶん神経をとがらせて書くようになった。そんなに大した著名人でもないのに、書くたびにハラハラしている。誰かに誤解されたらどうしようとか、炎上したらイヤだなあとか、間違った情報を載せてないよねと何度もチェックしたりする。ビクビクしながら書くようになってしまった。

ブログでは一人称を「ぼく」にしていた。50代のおっさんのくせにぼくもないだろうが、ぼくがぼくとして個人的に書いている気分からすると、ぼくだった。でも今はほとんど「私」で書いている。さっきも「私」を使っていた。ぼくで書くのを躊躇してしまったのだ。

だからブログをまた書こうと思ったのだ。誰にも迷惑がかからないし、経済的リスクもまったくない、ぼくがぼくとしてぼくらしく書ける場として、ブログは大事だったんだなあ。そこに気づいたからだ。

ブログなら炎上しない、わけではない。ブログなら間違った情報載せても大丈夫、でもない。でもずいぶん気楽だ。有料メディアや莫大なリーチのあるメディア、専門誌ではネクタイぐらい締めないとまずいのだが、ブログは普段着でいい。パジャマでも許される。もちろん間違ったことは書かないけどね。そういう場所が、逆に今、ぼくには必要だったのだ。お、やっとぼくと書けたぞ。そう、こうして書きながらブログを書くときの気分を、自分に取り戻そうとしているんだ。

ブログはお金にならない。書く延長線上にお金もついてくる
お金が儲かるんじゃないかとブログを立ち上げる人がまだいるので驚く。もうとっくにそんなタイミングは過ぎてると思う。それにお金儲けを目的にしたブログなんかやめたほうがいい。同じエネルギーを別のことに注いだほうがずっとお金になるだろう。そういうことではないんだよ。

ぼくがなぜブログを立ち上げてそれが何にどう繋がったかも新著「爆発的ヒットは”想い”から生まれる」に書いたのでここでは詳しく書かない。でもこのタイトルに添って言えば、何か”想い”がない人はブログなんて書かないほうがいい。逆に何かの想いを持つ人がいればブログを書くといい。書いても儲かりはしないけど、いろんな”いいこと”が起こる。それはお金になることもある。でも大半はお金にならないだろう。でも、”いいこと”だ。

単純に同じ想いを持つ人に出会える。書いた人の想いに共感したり触発された人が何かコンタクトしてくれる。Twitterで話しかけてきたり、メールで連絡をくれたりする。そのうち「お会いしましょう!」と直接顔をあわせることも出てくる。それが素晴らしいんだ。それがブログを書き続ける価値になる。

それって素敵だなあ!そう思えれば、ブログをやってみるといい。絶対いい。でも「なんだお金が儲かるわけでもないのか」。そう思ってしまうなら、ブログなんかやめて真面目に働いたほうがいい。アフィリエイトだかなんだかで情報商材を売る怪しいブロガーに成り下がるのが平気な、志の低い、誇りを持っていない人はそういうブログをやればいいけど、そんなの長続きなんかしないに決まっている。

ぼくが新著を出せるのは、ブログの延長線上の話だ。ブログが直接お金にならなくても、本を出すことでお金になることも出てくる、という話だ。

ただし、本を出したって夢の印税生活なんか待ってはいない。ぼくはこれまで3冊の本を出したけど、いずれも初版で終わってしまった。3千冊とか4千冊とか5千冊とか、そんなもんかな。計算してもらえば大したことない金額なのはわかるだろう。

もちろん本を出すからには売りたい。新著には「今度こそ重版出来だ!」との夢も込めている。でもきれいごとじゃなく、お金は目的じゃないんだ。

ブログはお金になんかなりはしない。でも、だからこそ強いんだ。そしてブログを書き続けたからこそ、Yahoo!ニュース個人で書けるようになったし、そこで書いた一連の記事から今度の本「爆発的ヒットは”想い”から生まれる」が出せることになった。風が吹けば桶屋が儲かる。ブログを書けば儲かる・・・かどうかではなく、本を出すくらいはできる。そうやって自分の”想い”を発信しているといろんな出会いがあるってこと。それって面白そう!と思う人は、ブログを書いてみるといい。書き続ければ、きっといいことが起こると思うよ。

※筆者が発行する「テレビとネットの横断業界誌Media Border」では、放送と通信の融合の最新の話題をお届けしています。月額660円(税別)。最初の2カ月はお試しとして課金されないので、興味あればご登録を。同テーマの勉強会への参加もしていただけます。→「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」はこちら。購読は「読者登録する」ボタンを押す。

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