In 2018, May The People Be With You〜私たちのフォースは、私たちの周りの人びとがくれる〜

nengajou

2018年、私は”人びと”のためになることを目標にしたい
上の画像は、はがきで出した年賀状だ。ここであらためて新年のご挨拶をする皆さんに、はがきと同じメッセージをお届けしたい。

英語としてどうなのかは知らないが、May The People Be With You.とはもちろん、スターウォーズの有名な言い回し”May The Force Be With You.”からとっている。「フォースと共にあれ」と字幕には出てくる。ということは、「人びとと共にあれ」と訳せばいいのだろうか。ただそれより、ここで皆さんに伝えたいのは、PeopleこそがForceなのだということだ。人びと、あなたの周りにいる家族や友人知人、仕事仲間、あるいは地域社会、日本という国も含めて自分が関わる人びとこそが自分を超越する力になるのだとメッセージしているつもりだ。

20代のころは、自分ひとりで生きていると思っていた。だから仕事での達成感こそが生きる意味だと感じていた。結婚して子どもができて、”自分ひとりで”に”家族と一緒に”も加わったと思うようになったが、ある日気づくと、まるっきり家族のために生きていることに気づいた。自分のために生きることはほとんどどうでもいいことになり、家族がいるからこそ自分は生き続けることができるし、そこから力も湧いてくる。そうか、若いころ自分ひとりで生きていたつもりだったのは、ここにたどり着く通過点に過ぎなかったのだなと思うようになった。そう思ったら余計に自分の力が増したような気がした。

その子どもたちが育っていき、もうすぐ私の手を離れる。だから家族のために生きる時代は終わるのだろうか。そんなことはないことにも最近思い至るようになった。むしろ、子どもたちの未来のためにまだまだ生きねばならない。そして子どもたちの未来のためとは、家族を取り巻く多くの人びとのためだと考えるようにもなった。だって子どもたちだって自分の力だけでは幸せになれない。生きていけないのだから。

彼らがこの先、たくさんの人びとと巡りあい、助け合って生きていくことになる。そのためには、人びとが健やかに暮らせる世の中でなければならないだろう。

ところが世の中はどうだろう。健やかに暮らせるだろうか。むしろ不安ばかりが広がっている。大人の諸君、これは我々の責任だ!

少子化という現象がまさにそうだ。我々が若いころから、少子化へ向かっていることはみんなわかっていた。私もわかっていた。あなたもわかっていたはずだ。なのに我々は何ら具体的な対策を講じてこなかった。政治や行政のせいにしているだけで、こうしたら少子化を止められるという策を自分では打ち出せないままだった。ずるずると二十年間が過ぎ、私の子どもたちが成人したのに、彼らに「人口が急激に減る社会」しか用意してあげられなかった。我々はなんというダメな大人だろうか。

だから私は、これから”人びと”を考えていこうと思う。我々がまだできること、子どもたちのために少しでもこのおかしな世の中を変えていけるよう、具体的な策を考え、実行にまで持っていきたい。

そんなことを恥ずかしげもなくあちこちに書き、恥ずかしげもなく世の中に呼びかけていきたいと考えている。

電通総研フェローの立場を、めいっぱい利用しようと思う
なぜ選んでもらえたのか自分でも不思議だが、この1月から「電通総研フェロー」としての活動がはじまる。下記のリリースを読んでもわかりにくいと思うが、この電通総研フェローというのは、あくまで外部の有識者(私が有識者か?)としての参加であり、電通の一員になることではない。
→「電通リリース:2018年1月、電通総研が新しいミッションのもと船出」

ここで誤解のないようはっきり説明しておきたいのだが、電通総研フェローになったからとて、電通という会社のために発言を変えるつもりはない。契約上、情報発信する際は肩書きに「電通総研フェロー」と加えることになるのだが、だからと言って”電通寄りの発言”になる必要はないと説明されている。

あけすけに書いてしまうと、私が書いた文章が電通のどこかの部署の人物の気に障ったとしても、訂正を求められることはない。そう言われている。お話をいただいた時に光栄と思いつつも、真っ先に確認したのがこの点で、思ったことを自由に書けなくなるのは私の存在意義が無くなるのでそのようなことがないことをお受けする条件としたのだった。プレミーティングの場でも山本社長がそのことを明言してくださって驚きつつも頼もしく思った。

新しい電通総研のミッションは、リリースにある通りだ。「よい社会におけるメディアの信頼性と社会的役割」と「人口減少社会におけるマーケティング活動と企業活動のあり方」。この2つのテーマが、当面の大きな意味の議題となる。一見、壮大で茫洋としているようにも見える。だが私は自分に都合よくこのテーマを読み替えている。

最初の「メディアの信頼性と社会的役割」は、正直言って少し前まで気にしていなかったことだが、WELQの件以来むしろメディアを考える際の最重要テーマになってきた。そして、メディアをメディア足らしめる要素こそが、信頼性と社会性ではないかといまは考えている。今の私にとってはタイムリーで正面から取組めるテーマだ。

2つ目の「人口減少社会におけるマーケティング活動」は最初は戸惑った。あまり考えたことがないテーマだったからだ。だが人口減少社会とは少子化社会のことだ。それは私がサブで取組んできた保育と社会のことと強い関係性がある。だから私は2つ目のテーマを「少子化を食い止めるマーケティング」と読み替えることにした。

そしてこの2つのテーマは関係ないようで非常につながった話でもあるはずだと感じている。まだ整理がつかないのでうまく説明できないが、それを世の中にプレゼンテーションできるようにするのも、電通総研フェローとして活動する意義ではないかと思う。

そうしたら上に書いた、恥ずかしげもない「人びとのため、世の中を変えるため」というこれからの目標とつながる話になる。

私が子どもたちの未来のために「人びとのためになること」に取組む、その何よりの場にできるかもしれない。いや、ぜひともそうしたいと思うのだ。そう考えると電通総研への参加は、私にとって好都合のお話であり、だからこそめいっぱい利用させてもらうつもりだ。本当に世の中を変えるための何かを、メンバーの方々の力もお借りして頑張って生み出したいと思う。

もう一度、ブログを書こうと思う
上に書いたようなことの象徴として、今年はまたブログを頑張って書こうと思う。

この二年間ほどは、自分が運営する有料WEBマガジンと、Yahoo!個人で書くことにほとんどのエネルギーを費やしてきた。もちろん宣伝会議のWEBメディア「Advertimes」での連載と、放送懇談会が発刊する「GALAC」の連載も続けてきた。すると、ブログをほとんど書かなくなっていた。

それだけ、情報発信の場とサイクル、使い分けを整えられたからだが、いつの間にか気軽にのびのび文章を書けなくなっている。前は思ったことがあればすぐに文章にしていたものだが、いまは「ちょっと待てよ」などと考えてしまう。このことを文章にしてしまうと、あっちからこんなこと言われるかもしれない。ネットではこういうことを書くと炎上しかねない。Yahoo!でこんなこと書いていいのか。こんなこと書いたら宣伝会議に迷惑がかからないか。コンプライアンスを気にする必要のない立場をせっかく持てたのに自分で放棄してしまっていた。

だが私が”メディアコンサルタント”などという得体のしれない肩書きでここまでやって来れたのは、自由に書いてきたからだ。優れた洞察を書いてきたからでもなく、誰も知らない最新の知識を文章にしていたわけでもない。思ったことをそのまま言葉にしてきたからだと思うのだ。テレビ局や代理店、いや小さな会社でも組織に所属していると書けないことが、私には書ける。その自由は、私にとってもっとも大事なことだったはずだ。自ら放棄しかけていた自由を取り戻すために、定期的にまたこのブログで文章を書こうと思う。

もちろん今まで通り、いや今までにも増して、不要な争いを巻き起こすような書き方はしないでいようとも思う。今のネットにはささくれ立った言葉があまりにも飛び交っている。本来は解決へ導けるはずだった言論も、言い方ひとつで逆にあらぬ方向へ世の中をかき乱してしまうこともある。本人にそのつもりがなかったとしても、そうなってしまったのなら、やはりそれは書く者の力不足と言わざるをえない。そのポイントは、誰かをすぐに悪者にしないことだと私は考えている。悪者が見えるとわかりやすいように見えて、実は本質を見えなくしてしまう。これは保育園への反対の声などを取材して痛感したことだ。大声のボリュームに隠れて聞こえない小さな声を聞くことは、物事の本当の姿を描く際にとても重要だ。ネットからの情報だけであいつが悪者だと決めつけるようなことは絶対に避けねばならない。

そんなことも含めて、いままで以上にのびのびと、でもいままで以上に注意を払ってブログを書いていこうと思う。またおつきあいいただければうれしい。

ではみなさん、ご一緒に2018年を楽しく実り多き年にしましょう!

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント/電通総研フェロー)

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