マスメディアでの広告はブランディングのほんの一部にすぎなくなっていくんだろうね

昨日、「広告は看板とチラシの役割に集約されていくのだろう」と題した記事を書いた。このところずーっと考えている、メディアとコンテンツとマーケティングの関係が変わりつつあることを、どうやってもこうやってももやもやしちゃう、そのもやもやをくっきりさせようという企画意図だ。もやもやがまだホットなうちに、続きを書き進めようと思う。お友達のコメントももらったしね。

実は昨日の記事は、ある日経の記事が触媒となってぼくの脳みその中で化学反応が起こって書いたものだ。その記事とは、これ。「任天堂・岩田社長が語る“本当の”ソーシャルゲーム 」というインタビュー記事だ。けっこう話題になってたから、読んだ人も多いんじゃないかな。

ニンテンドーダイレクトのどうぶつの森のプロモーション映像。47分!


ソーシャルゲームの躍進のあおりを受けてゲーム専用機が売れなくなって窮地の任天堂が、新ゲーム機WiiUと「どうぶつの森」でまた大きく浮上した。これについて岩田社長自身がこってり手の内を明かしながら語っている。

中でも驚いたのがこの部分だ・・・(以下、引用)

「我々が用意した仕組みと、お客さんが発揮したクリエイティビティーのかけ算になって、すごく面白いものになった。それを広めてくれたのは、ソーシャルメディアであり、スマホなんです。今回、どうぶつの森を大人の女性に売ってくれたのは、間違いなくスマホなんですよ」

(中略)

「今回のどうぶつの森はスクリーンショットをどこでも撮れますから、それをソーシャルメディアにあげて、こんなことをやったよ、わーってみんなで盛り上がるみたいなことが起きている。例えばツイッターでフォローしている人がどうぶつの森についてすごく熱く語っていて、それを見て興味を持ち、やってみたら面白かったというような方がたくさんいらっしゃるんです」

「我々、動画サイトを通じて任天堂の魅力をお伝えする『ニンテンドーダイレクト』という動画配信をしているんですけれど、今回のどうぶつの森を紹介した動画は、ユーチューブで160万回も再生されている。しかもその過半数がスマートデバイスからの視聴なんですよ」

「ソーシャルメディアで話題になり、この動画を見ると分かるよとなり、これはすごいってなってご購入いただけた。だいたい3分間のミュージックビデオじゃなくて、開発者がだらだらとゲームについてしゃべっている47分の動画を160万回も見ていただけたっていうのは、ちょっとあり得ないこと、異常なことだと思います」

ゲームそのものがソーシャルな楽しみ方(本来的な意味での共有する楽しさ)が魅力となった上に、先行ユーザーの楽しそうな雰囲気がソーシャルを通して伝わり、47分の映像も大いに役立った、というわけだ。

我が家では「どうぶつの森」を妻と中二の娘、高二の息子が寄ってたかって遊んでいるのでこの辺の盛り上りは身近で体感した。すごく期待していたし、他のユーザーから情報があふれんばかりにやって来たのだ。

そこにテレビCMは少しだけど確実に関与している。「出るよ!出たよ!」というお知らせであり、盛り上りの火付け役だ。運動会かけっこのスタート時になるピストルみたいなもの。昨日の論で言えば、看板の役割。これは重要だ。だが、それだけではない、ということだ。うちの家族をさらに駆り立てたのは、ネットなのだ。ソーシャルメディアなのだ。

もちろんこれは、「どうぶつの森」がすでに認知度の高いタイトルで、期待して待っているファンが大勢いるからこそ可能だ。まったく知られていないゲームがデビューする際にはこうはいかないだろう。

ただ、任天堂は十年前あたりは、ソフトが出る際にテレビCMをどう展開するかに血道を上げていたし、予算も大量に投下していたはずだ。それと比べると、今回の「どうぶつの森」のCMの量はずいぶん少ないだろう。火をつければいいので、そんなにたくさん必要はないのだ。

あれだけCMを展開してきた任天堂が、ソーシャルな商品性とソーシャルメディアの活用でマスマーケティングを成功させたことに、時代の大きな変化を感じてしまう。

もうひとつ、昨日の記事を書いたあとで触発された記事がある。Advertimesの「【2013年予測】商品、広告、CSRの境目が溶解する中で、一貫した“らしさ”を」と題した記事。ブレーンの編集長・刀田聡子氏が書いたそんなに長くはない文章に、ぼくはかなり刺激された。

ブレーンは、宣伝会議が発行している、クリエイティブ情報の業界誌だ。そんな雑誌が、「商品、広告、CSRなどの境目が溶解していく中、一貫した“らしさ”が感じ取れるようになっていなければ、効果的なコミュニケーションは生み出せない。」とメッセージしているのだ。驚くよ。

広告だけがブランディングではない。商品もである。という話は、昨日のぼくの記事の「いまはすでに、商品そのものがブランディングを決定するようになってしまった。」という部分とシンクロする。さらにぼくはホントにホントに驚いたのだけど、クリエイティブ雑誌ブレーンがCSRに触れている点だ。広告同様、CSRもブランディングにつながると、あのブレーンが言っている。商品はまだわかるのだけど、ここでCSRという言葉が出てくるとは。そして、正しいんだよなあ。

ああ、時代が変わっているんだなあ、と感じたよ。

整理するとね、ほんの十年前まではまちがいなく、ブランディングとはメディアを買ってその枠の中で商品についてどんな表現をするか、ということだった。それしかなかった。

いまはそれだけではない。それは大きなマーケティング活動の中のほんの発火点でしかなく、それと同様、いやそれ以上に、商品そのものや、商品が置かれる店舗や、商品を売る人の立ち居振る舞いだったり、ソーシャルメディア上で商品情報と人びとがどう楽しく関わるか、がブランディングを形成し販売につながっていく。そういうことになりはじめている。

その中でのメディアコストの比重はなんだか高い。でも前ほど大量に使わなくていいから、仕方ないけどまあいいや。そんなことなのだ。

こういう前提で、企業のマーケティング活動を、捉えなければならないし、広告業界という、企業コミュニケーションをサポートする業界がどう体制作りすればいいか、考えた方がいい。

少なくともそれは、メディアバイイングを大きな飯のタネにするこれまでの”広告代理店“ではないんじゃないだろうか。

てなところで、今日はおしまい。今週、頑張って続きを書くぞー!

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