ロンドンオリンピック閉会式は、英国クリエイティブ産業の壮大なデモンストレーションだったんだな

ロンドンオリンピックが終わった。ソーシャルオリンピックとも呼ばれ、メディア論上、近年でもっとも注目すべきオリンピックとなった。ぼくもソーシャルテレビラボの一員として、いくつかの競技でツイート推移を追ったレポート記事をみるぞうのみんなと作成したりした。さらに、大会期間全体を分析して総括する作業も今週から来週にかけて行うので、乞うご期待!

今朝は閉会式。朝食をとり身支度をしながらちらちら観ていたらフレディ・マーキュリーがモニター上に登場してブライアン・メイがギターを弾いたりなんだか面白そうだ。ってことで、夜帰宅してから録画してあったのをじっくり観た。開会式も素晴らしかったけど、閉会式もまた素敵だったよ!

“A Symphony of British Music”ブリティッシュミュージックのシンフォニーと銘打って、次から次に、英国ポップミュージック界のスター達が登場して、よく知っている曲を唄い演奏していった。開会式でも、ポール・マッカートニーが唄ったりしたわけだけど、閉会式はもう100%音楽といった感じ。

ぼくのようなオールドファンにはさっき書いたクイーンが懐かしかった。ブライアン・メイがもうほとんどおじいちゃんになってて、それでもあのオリジナルギターで「We Will Rock You」をガンガンかき鳴らし、ハンサムだったロジャー・テイラーがすっかり太ってそれでもパワフルなドラムを聴かせてくれてジーンと来た。

ジョージ・マイケルもおっさんながら魅力的な歌声だったし、スパイス・ガールズも懐かしい!圧巻は最後の最後に登場したザ・フー!ロジャー・ダルトリーがまったく衰えてない歌声を聞かせてくれて、ピート・タウンシェンドは相変わらず腕をぐるんぐるん振り回してギターをかき鳴らす。あの弾き方、意外に難しいんだぜー。

それにモンティ・パイソンがお決まりの人間大砲失敗を演じてくれたり、スーパーモデル達が勢ぞろいして短いファッションショーを見せてくれたり。きらびやかで華やかで、ゴージャス!スポーツファンならずとも楽しめるショーだった。

・・・と、楽しさに浸っていて、ふと気づいたんだけど、オリンピック閉会式でこんなにエンタテイメント満載なのもなかったんじゃないか?・・・これって国策なんじゃない?・・・

いやもちろん、そもそも英国に世界で通用するエンタテイナー達がごまんといるからできることだ。実際、開会式も含めて、こんなに英国の表現者たちにぼくたちは影響を受けてきたんだなあとあらためて思い知った。ぼくらからすると米国人と英国人のちがいはわからないし、日本にやって来る文化はほとんどハリウッドを中心とした米国なので、いまさら「あれ?この人も米国じゃなくて英国だったの?」というアーティストは多い。

ぼくたちが少年時代にむさぼるように聞いたロックミュージックはほとんどが英国産だ。アメリカの音楽は少なくとも70年代までは意外に最先端ではなく、音楽シーンを切り開いてきたのはビートルズやストーンズからクイーン、そしてピストルズまで英国で、英国ロックの歴史がそのまま世界のロックの歴史だった。

だが一方で、英国は70年代に”停滞”する。産業革命以来の製造業がこぞってダメになるんだ。ダメにしたのはぼくら日本の製造業がのしてきたから。英国病とまで言われ、世界を制した大英帝国は衰退の一途をたどるしかないと思われていた。それが鉄の女サッチャーの大改革で生まれ変わるのだ。古きをバッサリ切り捨て、新しきを育てる。

それを受けて、英国で”クリエイティブ産業”が静かに力をつけていく。90年代に花を咲かせる。映画で言うと、ダニー・ボイルの監督作「トレイン・スポッティング」。世界中で大ヒットした。この作品はシンボルで、他にも続々”英国にも映画あり!”と言わんばかりに多彩な作品が世界に出てきた。英国の強みは、ハリウッドに溶け込めること。アメリカ人だと思ってたら実は英国出身という映画人は多く、今が旬なところでは「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーラン監督や主演のクリスチャン・ベイルもそうだ。

英国は製造業を諦めて金融で甦ったけど、クリエイティブ産業も重要な経済の担い手となった。クール・ジャパンだって、90年代後半に英国で唱えられたクール・ブリタニアからもらってきているのだ。ブレア政権で掲げたスローガンのひとつがクール・ブリタニア。そういう国策があっていよいよ英国のクリエイティブ産業は発展した。

そうやって考えていくと、オリンピックというスポーツの祭典を利用して、クリエイティブ産業を世界にデモンストレーションしているんだなあと気づかされる。こういうオリンピックの活用法もあるんだなあ。その経済効果は少なからずあると思う。少なくともぼくは、ザ・フーの曲をいくつかiTunesで買ってしまいそうだ。

こういうこともあるんだったら、東京へのオリンピック誘致も前向きに考えてもいいんじゃないかな。ぼくはこの、東京誘致をずっと冷めた目で見ていた。どこか、”あの頃よもう一度、高度成長またおいで”という無理な思いを感じてしまっていたからだ。だが、新しい日本のために、これからの日本の”クリエイティブ産業”のために、というなら話は違ってくる。応援したくなるってもんじゃないか。

・・・どうだろう、関係者の皆さん。ロンドンを参考に、東京オリンピックをエンタテイメントも含めた催しにしていくのは・・・賛同者、増えると思うんだけどなあ・・・

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