ぼくたちは2020年のオリンピックをどんなメディア環境で観戦するんだろう

2020年のオリンピック、東京招致決定おめでとうございます!

もっともぼくはスポーツ観戦にそんなに興味が持てない方なので、どこか他人事のようにこの週末のニュースを見つめていた。だけどふと、メディアの未来を考える者としては、2020年のメディア環境を想像するいい機会だと気づいたよ。

映画『ALWAYS 三丁目の夕日』は、その三作目で東京オリンピックが描かれる。物語のメイン舞台、鈴木オートにカラーテレビがやって来る。オリンピックを観戦するためだ。テレビ画面の中でブルーインパルスが飛んで、外に出て見上げるとリアルの空にテレビから飛びだしたかのような飛行隊が航跡を描く。そんな象徴的なシーンがあった。

よく言われることだけど、テレビの歴史と国民的な出来事は密接な関係がある。いまの天皇陛下の皇太子時代の結婚が最初に白黒テレビを普及させた。そして東京オリンピックがカラーテレビ普及の端緒となった。その後も、ハイビジョンだ衛星テレビだと、新しい技術を持つテレビの普及にオリンピックは一役どころか二役も三役もかったのだ。

すると2020年の東京オリンピック開催は、4Kの普及の強力な後押しになりそうだ。

4Kについて当初ぼくは懐疑的だった。だがいざその映像を観ると舌なめずりをしてしまう。明らかにいい!そしていまや大画面テレビの時代。巨大なモニターを持つテレビが買いやすい価格で売られている。

先日65インチを最近買った知人が言っていた。「もうねえ、DVDだと画像が粗く感じちゃうんですよ」なるほどなあ。すでにぼくの家の37インチでもDVDはちょっとアレだ。65インチにもなるとちょっとどころかものすごくアレなんだろう。DVDはともかく、限りないものそれが欲望。画面が大きくなれば画質もそれに応じた水準で見たくなるというものだろう。

4Kもいいかもしれないけど、まあいまのままでもいいんじゃない?と思えたものが、東京オリンピックがやって来ると途端に変わるだろう。どうしてうち4Kにしないの?しなきゃ間に合わないよ、となるんじゃないだろうか。

いや、でも、さらに大きな変化をオリンピックが加速するかもしれない。テレビとネットの融合だ。もう欧米ではロンドンオリンピックの時に、テレビで放送されない競技をネットで流す、ということはやっていた。実は日本でもNHKはそれをやっていた。あまり浸透してなかっただけだ。

オリンピックまでに、まず放送した番組のネットでの再送信は普通に行われるようになると思う。ネットでの再送信にも広告をつけるようになるとぼくは予測している。その方が合理的だからだ。これまでそれを留めていたのは、ネットで送信したら視聴者がそっちに逃げる、という反論。逆にネット中心でテレビをあまり観ていない層をとりこめるから、やった方が合理的なのだ。

これから7年の間に、ネットで番組流すべきだ、いや時期尚早だ、ならこの番組だけやるべきだ、でもスポンサーに何と言うのか、ともかく一回だけでもネットで流してみるべきだ、なんてことになっていって、7年後にはちょうどいい案配になっている、気がする。気がすると言うか、これはどう見てもそうなるんだと思う。

話は変わるけど、ぼくの母親(80才オーバー)はおかげさまでいまも元気で福岡の実家で暮らしている。たまに帰省すると大きな大きな音声でテレビを観ている。耳が遠いからだ。少しは親孝行しなきゃとそれなりに近況など話す。そうね、家族のために頑張らんといかんよと、あっちもそれなりに対応し、話題も尽きる。すると母親は一度消したテレビをつける。母の生活にテレビは欠かせない。手持ちぶさたになるとテレビをつける癖がしみ込んでいるらしい。

そんな母親がiPadを検討している。スマホは無理だ。文字が読めない。でもiPadならOKだ。操作もカンタンなんだってよ。きっと次に実家に行くと買ってあるに違いない。

オリンピックがネットで配信されれば、母親はうれしくてしかたないだろう。7年後にはiPadなんか使いこなしてぼくに自慢気に語るに違いない。ここをこうやったらカメラのアングルを選べるとよ!などと、どや顔で言うのだろう。それは愚息にとってうれしいことだ。

ひょっとしたら、成人したぼくの子供たちつまり彼女の孫たちと、ソーシャルでつながってネット上で一緒に観戦したりするのかもしれない。間にいるぼくはすっ飛ばされるのだ。わーわー、わいわいと、おばあちゃん日本勝ったねとか、惜しかったねとか。iPad同士でともに観るのだ。

そんなことも、すでに理論上可能だ。いやそれどころか、今の時点で技術的にも全然可能なはずだ。そういうサービスを誰かが整えるはずだ。これまでの慣習や業界の壁などをみんなでがんばって乗り越えればできるはず。やってくださいね、7年後に向けて。みんなにとって素敵なその後が待ってると思うしね。

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
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sakaiosamu62@gmail.com

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