8月4日の日経朝刊の記事への補足(というか言い訳的に視聴率とソーシャルメディアの関係について)

今朝(8月4日)の日本経済新聞の朝刊に「五輪応援 つぶやき盛況」と見出しを打った記事が出た。その中でぼくのコメントがとりあげられている。3日の夕方、電話で取材を受けたのだ。

なでしこジャパンの試合中継についてソーシャルテレビラボで書いた記事を読んでくれたらしい。(読んだのは、その記事を転載してもらったin the looopのこっちの記事の方かもしれないけどね)

取材では、視聴率とソーシャルメディアの関係をとくに聞かれた。でもこれに関しては何ら論証的なデータはない。プラスに働いているだろうとは思うが、何しろ視聴率に影響を及ぼすには何百万人も動かさないといけない。ソーシャルメディアはそこまでは育っていないのではないか。視聴率に影響するにしてもせいぜい1%いくかいかないか、と肌感覚的に思っているが。だいたいそんなことを答えたつもりだ。

これを受けて、記事では「境治氏は・・・(中略)・・・結果として視聴率が1%前後かさ上げされたとする」と書かれている。

うーん・・・ウソを書いているわけではない。1%という数字を確かにぼくは言ったのだ。ところが前後の文脈はまったくなく、”せいぜい”とか”いくかいかないか”とかはなくなっている。ニュアンスはけっこうちがうんだけどなあ・・・

まあ、でも、とりあげてくれたのはうれしいし、また取材してくれるとも言ってくれているので、怒ったり恨んだりはしてないけどね。今後はもうちょっと慎重にしゃべろうかな。

それにそれこそソーシャルの時代、取材された記事で誤解が生じそうだったら、ブログで補足すればいいじゃん!

で、まずソーシャルメディアが視聴率を上げたとか上げているとか、論証できるデータはない。それにそもそも、あからさまな影響を与えるには動かすべき人数があまりにも大きい。日本の世帯数が5000万程度として、1%動かすには50万世帯のテレビ受像機をなんとかしなければならない。

一方、去年12月に話題になった”バルス事件”だって、ツイッターの秒ごとのツイート数が記録を更新したが2万8千とかそんなレベルだ。ツイート数から見える人数では視聴率は動かせないのではないか。少なくとも、ソーシャルメディアがもっと普及しないと難しいだろう。アメリカだと3億人のうち半分ぐらいがFacebookをやっている。それくらいだと具体的な影響がありそうだ。日本だとツイッターもFacebookも1000万人台で、まだまだだと思う。

それから、そのバルス事件が起きた『天空の城ラピュタ』。その時の視聴率が15.9%だったんだって、すごいじゃん、と言われたものだけど、2009年に放送された時は15.4%だった。0.5%のアップ・・・それってどうなの?

もうひとつ、NHK大河ドラマの『平清盛』。視聴率がさえないねと言われている中、6月17日の放送で”生清盛”という企画を行った。プロデューサーの方が放送中にドラマのシーンに合わせた解説をツイートするというもので、途中に相撲の場面がありみんな一斉に”どすこい!”とつぶやく盛り上りもあった。

さて視聴率はどうだったか。前の週は11.6%だったのが、”生清盛”の時は12.1%だった。翌週は普通に放送して10.1%だったがさらにその翌週は13.2%に上がっていた。・・・全然わかんないでしょ?影響あったかもしれないしなかったかもしれない。翌々週の13.2%はツイッターはまったく関係ないし。でも生清盛は効果あったかもしれない。

一方で、某テレビ局の某ディレクターはユニークな人物で、フォロワー数が12万人いる。彼は番組中にツイッターで活発につぶやいたら視聴率に影響を与えた”肌感覚”があるそうだ。ある人に聞いたのだが、10万人を超えるアカウントはマスマーケティング上の影響を持ちはじめるという。

また、視聴率と世代の関係も見逃せない。誰でも知ってる通り、日本は急速に高齢化が進んでいる。人口ピラミッドと視聴率でのセグメント分類を重ね合わせると面白いというかせちがらい。
深田さん、勝手に使ってすんまそん
F2F3、M2M3つまり35歳以上がいかに大きな層かよくわかる。一方ツイッターは20代30代つまりF1M1が中心だ。ツイッターがいかに盛り上がっても、視聴率を動かす際にはいかに小さな領域に限られてしまうかがよくわかるだろう。

ことほどさように、視聴率とソーシャルメディアの関係は見出しづらい。あからさまには影響は出てこないのかもしれない。

ただ、ぼくがソーシャルとテレビの関連に見つけたいのは、視聴率をかさ上げすること、ではないのだ。それとはちがう価値が、ソーシャルテレビには出てくると思っている。その方がよほど、視聴率より価値があるはずだと思うんだけどな・・・

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