広告指標としての「視聴質」は成立するか?〜3/17セミナー「TV meets Data」〜

family_tv_soccer

クリエイティブビジネス論と題したこのブログだが、ソーシャルメディアとテレビの連携性、言葉でいうと「ソーシャルテレビ」については一貫してテーマの一つにしてきた。試しに「ツイッター検索すると、出てくる出てくる、何十ページもの記事がほじくり出されてきた。

検索結果1
検索結果2
検索結果3
検索結果4
検索結果5

キリがないのでこの辺にしておこう。とにかくソーシャルテレビについてはずっと考えてきた。

その動機の大きな一つが、「視聴質」だった。

おそらく少しでもテレビについて考えたことがある人なら概念として聞いたことはあるだろう。だが実体はなく、幻のような言葉だ。

視聴率が「人数」の指標であるのに対し、視聴質は「品質」つまり「いい番組かどうか」の指標だ。だが例えば自動車がスピードだの燃費だの”質”に関わる数値がいろいろ出せるのに対し、テレビ番組についてはそれが難しい。

もちろん視聴率だって立派に「いい番組かどうか」を表してもいる。「半沢直樹」にしろ「家政婦のミタ」にしろ面白かったしだからこそ歴史に残る視聴率を叩き出した。「逃げるは恥だが役に立つ」がグイグイ視聴率をあげたのも、面白さの証だろう。

だがもう少し普通の番組、日常的なテレビ視聴における”質”は測りにくくなっている。昔と比べると番組の人気を視聴率がダイレクトに示すと言いづらくなっている。

一つのポイントとして、視聴率は世帯で測る。例えば私が子どもの頃、70年代は人気番組は家族全員で見ていた。ホームドラマ「ありがとう」「時間ですよ」も、円谷プロの巨大ヒーロー「ウルトラマン」も、アニメも歌番組も、家族揃って見ていたものだ。つい10年ほど前まではおおよそそんな感じだったのではないか。だが今は、テレビ番組はターゲットが別々になってしまった。ドラマは登場人物の世代で見る人が分かれる。11時台のニュースはお父さんが見るのだろう。若者は深夜アニメを見る。どんな番組かまったく知らないものが人によって広がってしまった。

「世帯視聴率」とはひところは「その世帯が見ている」状況のことだったが、今は「その世帯の誰かが見ている」状況を示す数値になったのだ。

私は先週、Yahoo!にこんな記事を書いた。

「視聴率では月9史上最低記録の「明日婚」、ネット配信では最高記録更新中」

視聴率だけじゃなくていいのではないか。そんなちょっとした主張だった。大きな反響があり、中には共感してくれたあるテレビ局の方がメールをくれたりした。

ソーシャルテレビを重要テーマとして意識し、自分でも番組に関するツイートを分析してみたのも、そこから「視聴質」のヒントが見えてくるのではないか、との期待だった。「感情分析」と称して、ドラマについてのつぶやきの”気持ち”を数値化してみたりした。

感情分析についての記事

散々あれこれやってみて、わかったのは、わからないことだった。ツイッターを分析しても、「視聴質」に至る道筋はわからない。見えてこない。

敬愛する遠藤諭氏が主席研究員を務める、角川アスキー総研という会社がある。遠藤氏とも仲良くさせていただいているが、要職にある吉川栄治氏はエンタメとツイッターの関係をここ数年分析してきている。

私が顧問研究員の肩書きでお手伝いしているエム・データ社とアスキー総研が共催でセミナーイベントを開催することになった。何を成果として披露するかの打合せの中で、ある時吉川氏が見せてくれたデータ。

nigehaji_sv2_588x360

考え方としてはこうだ。ある番組(この場合は「逃げ恥」)についてのツイートを収集する。そのツイートの主が、その番組のCM枠に出稿した企業と商品名をツイートした数を調べる。それが番組視聴の前と後でどう動いたかを割り出す。

実際、「逃げ恥」についてツイートした人の中には、番組中のCMについてつぶやいた人がかなりいるのだ。その変化は、ブランドによってかなり違う。典型的なのは、主演の新垣結衣がタレントとして出ているCMについては大量のツイートがあった。視聴後に、大きく増えているのだ。

吉川氏が見せてくれたデータに一同色めき立った。中でも私はちょっと興奮してしまったと言っていいほどだ。ああ!これは視聴質かもしれない!

番組の良い悪いをツイッターから見出そうとしてきたのだが、根本的に違ったのだ。視聴率はあくまで広告指標だ。ツイッターからも広告効果が見出せれば視聴質と呼べるかもしれない。吉川氏が示してくれたのは、まさにそういう捉え方だった。

言われてみると、気に入って見ている番組はCM中もテンションが高いままでいることが多い。”トイレタイム”になることもあるが、物語の展開におののきながらみることもよくある。CMに出演者が出てくると強く反応するしツイートすることもある。「逃げ恥」ではドラマの中の場面のように日産ジュークのCMに大谷亮平が出てきたが、これは格好のツイートの対象だし、商品を欲しくもなる気がする。

そういう効果を、ツイッターの分析から見出せるかもしれない。そこで共催セミナーでは、そのデータを掘り下げて披露することになった。

3月17日に角川のビル内にある神楽座という素敵な劇場空間で開催するので興味があれば下のリンクからどうぞ。

セミナー「TV meets Data」の遠藤さんによる紹介記事

cover-sAr4thIqEey4dI7NyKw5WQCJWd4zUxsv
セミナー申し込みサイト

言っておくとこのセミナーですべてが明らかになり「視聴質」として発表するわけではなく、このデータは今後研究を重ねて数回に分けてみなさんに成果をお披露目していく形になると思う。

とはいえ、視聴質への見果てぬ夢がひょっとしたらこの先に具体化するかもしれない。数年間考えてきたことの道筋が見えてきたのは私として大変にうれしいことだ。と、楽しみにしつつ、今晩も「カルテット」を見るのだった。

※筆者が発行する「テレビとネットの横断業界誌Media Border」では、放送と通信の融合の最新の話題をお届けしています。月額660円(税別)。最初の2カ月はお試しとして課金されないので、興味あればご登録を。同テーマの勉強会への参加もしていただけます。→「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」はこちら。購読は「読者登録する」ボタンを押す。

テレビとネットの横断業界誌MediaBorderのFacebookページはこちら

What can I do for you?
sakaiosamu62@gmail.com
@sakaiosamu
Follow at Facebook

Pocket

トラックバック用URL:

Facebookアカウントでもコメントできます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>