テレビに入れるのはスマートではない?〜日本マーケティング協会セミナー「TVのちから」より〜

日本マーケティング協会、略称JMAという団体がある。業界関係の人なら知ってるだろう。広告に関係するスポンサー企業、広告代理店、そしてマスメディア企業が参加している。その名の通り、マーケティングについての研究発表などをする団体で、セミナーもよく主催している。

「TVのちから2012」というシリーズタイトルでのセミナーがそのJMA主催で行われるという。このところ、メディア関係のセミナーでよく登壇されている電通総研の奥さん(”奥”という名字の方で、誰かの妻君のことではない)と、境塾でこのところつるんでいるビデオリサーチインタラクティブの深田さんがコーディネイトしている。

その深田さんから頼まれて、最後のパネルディスカッションにぼくもパネラーとして出ることになった。”サプライズゲストとして”なんて言うのだけど、そんなこと言ったらすげえ有名人を期待されて、がっかりしちゃうよ。ま、いいけど。

そのパネルディスカッションも十分面白かった。でもその前のプログラムのジャーナリスト・西田宗千佳さんの講演がぼくにはすごく面白かった。これを聞いただけで、セミナー10回分ぐらいの価値があったんじゃないかな。

西田さんとは、3月に慶應大学のスマートテレビ研究会の公開討論会でお会いしている。また、その研究会の報告書でもインタビューされている。

そしてアスキー新書から「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」という本をこの4月に出版している。このブログを熱心に読んでる方なら、この本はお薦めするよ。スマートテレビの現状と課題が網羅されている。それにわかりやすい。

西田さんのこのセミナーでの講演は、その新書に書かれた内容をベースにしながら、さらに新たな要素もふんだんで、スマートテレビに関するすべての事柄が凝縮されていた。とっても濃い内容!

これは本の中でもかなり出てくるんだけど、西田さんは”操作性”をかなり問題にしている。スマートテレビは多様な機能を持つだろう。すると、どれだけ操作しやすいかが普及の鍵を握るのではないか。

いろいろ考えていくとひとつ、出てくる答えを西田さんは提示する。

「テレビに入れるのはスマートではない?」

つまり、操作の部分は結局、スマートフォンやタブレットを活用した方が使いやすいだろう。その上に、テレビのライフサイクルは5年から10年と長い。一方IT機器(スマートフォンやタブレット)のサイクルは12カ月ぐらいからだ!

テレビそのものを中途半端な進化で製品化するより、テレビはモニターと受け止め、進化は外部機器に託した方が、スマートだ、ということ。スマートテレビは、テレビとスマートデバイスで実現した方が、スマートなわけ。

例えばとして話に登場するのが任天堂のWiiU。手元のコントローラーにモニター画面がある、つまりはテレビ+タブレットみたいなゲーム機だ。テレビの今後の姿を先取りしているのかもしれない。

西田さんの講演は操作性の話から、SNS連携つまりソーシャルテレビの話題に展開する。SNS+スマートTVは、言うまでもなく”実況”。リアルタイム視聴+Twitterだ。だけどとくに日本の場合は、録画番組とSNSの連携もきっと具現化する。

何しろ、全録文化はきっとやってくる。SNSと連携することで、番組価値の最大化が図れるかもしれない。最後に、”図”が出てくる。こんな感じ。

(西田さんの配布資料から書き写したもの。もちろん、ご本人の許可を得ているからね)

この図を見た時、ぼくは「そっかー!」と心の中で叫んだ。いや、「そっかー!そっかそっかそっかそっか、そっかー!」ぐらいは叫んだかもしれない。心の中でだけど。

ソーシャルテレビとは何だろう、という問いへの答え方がずっともやもやしていた。テレビをリアルタイムで観ながら、みんなでTwitterでつぶやくことさ、というのが最初の答えなんだけど、VODサービスにある番組について感想を語りあうのもソーシャルテレビだよね、と付け加えていた。この二つを同時に説明するのはけっこうややこしかった。

それが上の図だと視覚的にパッとわかるだろう。同じコンテンツが、放送時と録画後もしくは配信上に並んだ時に視聴のされ方が変わってくる。でもね、同じコンテンツなのね。文章の説明だと、なんだかずいぶんちがう2つの現象をソーシャルテレビと呼んでいる感じなのが、上の図だと、あー確かにどっちもソーシャルテレビよね、と瞬時に理解できる。

さらに西田さんはこの図の右側の部分にマーケティングチャンスがあるのでは、と言う。そうかもしれない。課金なのか、広告の受け皿なのか、わからないけど。でもこの図の中にはこれまでとは少しちがうマネタイズの可能性が隠れていそうだ。

西田さんは、最後のパネルディスカッションにも出演した。ぼくもいたわけなので、なんか光栄だなあ。

さらに終了後、会場に来ていたアスキー総研所長・遠藤諭さんとも話した。西田さん、遠藤さんと話していると、スマートテレビの最前線情報とそれをもとにした最前線アイデアが飛び交って、会話について行くのが大変だ!でもお二人のディスカッションから新たな知見が生まれそうだ。わくわく!

さて、このセミナー「TVのちから」はシリーズになっていて、第二回、第三回と続くそうだ。これはみなさん、見逃せないね。早め早めに申し込まなくちゃ!

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