テレビ局が、マジで動きはじめた!〜スマートTVサミットでの日本テレビ・デジタル連携宣言〜

5月25日に日経エレクトロニクス主催の「スマートTVサミット」というセミナーイベントがあった。去年も開催され、ぼくも行ったのだけど、今年はさらに盛り上がっている感じ。300人ぐらいいたんじゃないかな?朝10時から夕方17時30分まで、こってりとメニューが展開された。

ぼくはこの前日、もっと小規模なスマートTVについてのセミナーでしゃべった。この時、前半を担当されたITジャーナリスト本田雅一さんが、スマートTVサミットでもパネルディスカッションでモデレーターをされていた。パネルディスカッションは午前と夕方の2回行われ、NHKの倉又さんが出ていたり、NOTTVの小牧さんが出ていたり。片岡さんが一コマたっぷりとRegzaAppsについてしゃべったりもしていた。なんか境塾と重なる方々なのが面白かった。

さて、こういうイベントに行って、何が収穫だっけ?ってことも多いのだけど、今回はものすごくビッグな収穫があった。大ニュースが発表された、というか。スマートTV新聞、みたいなメディアがあったら、一面で大見出しになるところだ。

「日本テレビ、テレビとネットの融合を本格化!」

そんな見出しかな。これはえらいことですぞ!

午後の2コマ目で、日本テレビの発表があった。最初に大枠の戦略を太田さんという方が話し、後半では3月まで放送されていたIT情報番組「iCon」のプロデューサー、安藤聖泰さんがしゃべった。安藤さんは一度お会いしたことがあり、また6月9日のソーシャルカンファレンス2012の、ぼくが担当する第二部でゲストとしてお招きしている。お友達の登壇をフレーフレーと応援する気持ちでこのコマを見つめていた。

そういう、気楽な気分をまず、前半の太田さんが吹き飛ばした。次世代のテレビ視聴を見据えた施策が必要、とはじまったその話の内容は、テレビとネットを融合した広告メニューを具体化していきますよ、というある種の宣言だった。

これに続いて安藤さんが、JoiNTVの説明をしはじめる。JoiNTVについては3月にこのブログでも書いている。iConの放送と連動した形で、データ放送画面でFacebookにログインでき、番組の中で面白いと思った場面に「いいね!」ボタンが押せる。テレビとソーシャルの融合を実験したものだ。ぼくはこの時JoiNTVを楽しみながらも、ちょっとした実験ぐらいに受けとめていた。それはまちがいだった。

JoiNTVは太田さんの言う、今後を見据えた施策の第一弾だったのだ。iConでの実験の成果をベースに、具体的な広告メニューをつくりあげていこうというのだ。そしてこれは、デジタル部門がこっそりやってみてます、というものではなさそう。企業として今後の重要な施策の一環として取り組む、ということらしい。びっくりだぜ!

テレビ局では、放送とネットの融合はこれまでも実験的にはいろんなことが行われてきた。それらはこのブログでも、見つかる限りレポートしてきた。でも「やってみた」の域は超えなかった。コストも手間も余分にかかるけど収入が増えるわけではないので、好きなひと、やりたい人が無理してやってみることだった。

でも日本テレビはこれから、局として本気で取り組みます、ということらしい。そういう”宣言”を太田さんと安藤さんが言ってのけたのだ。なんというか、一種の革命かもね。

テレビ局がネットと連携できなかった、その大きな理由が、「視聴率が漏れる」ことへの懸念だ。例えば、番組やCM上でネットへの誘導をあまりやると、番組を観なくなるじゃないかそれは困るじゃないか、という懸念だ。それをJoiNTVは解決する、と言っている。「いいね!」を押しておけば、番組終了後にゆっくりネットを観てもらえるのだと。これをこういう公の場で言う、ということは、日本テレビとして納得しているということだ。想像だけど、社内で相当な議論や上からの決断があった末に出てきたことだろう。だから胸を張って言っているのだ。そこがもっとも重要なことだ。

日本テレビのこの”宣言”は、今後大きな波及効果をもたらしそうだ。遅かれ早かれ、他の局にも伝染していくと思う。何しろ、2011年年間視聴率三冠王をフジテレビから奪取した局だ。つまり視聴率競争トップの局だ。その日テレが「これからはネット連携の広告メニューを開発しますよー」と言うのだから、他の局も追随するに決まってるじゃないか。なになに、それなに?どうやったらいいの?浮き足立つにちがいない。

意外に早かったなあ。早すぎて、こういう動きを期待していたぼくでさえオロオロしちゃいそうだ。いやほんとに、のんびりしてらんないわ。

安藤さんの話の中で「JoiNTVの仕組みがTwitterではなくFacebookを使ったのがなぜかと言えば、小さなコミュニティをたくさん作りたかったからです」というくだりがあった。うーん、こういう捉え方、新しいなあ、正しいなあ。

そうなのですぞ、みなさん。もはや、テレビのプロデューサーは番組をつくっておしまい、じゃないんです。番組は最終成果物ではない。番組を軸に集まってくる人たちが形成するコミュニティ。これがプロデューサーの相手になるのですわ。彼らとどうコミュニケーションし、彼らとスポンサーの間をどうとりもつか。

そのことの意義や価値にみんなが気づいたら、テレビはいままでとは別の成長ができるかもしれない。面白いじゃあ、ありませんか!

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