ソーシャルカンファレンス2012・遅ればせながらレポート

前に予告した通り、6月9日にソーシャルカンファレンス2012に参加してきた。大元隆志さんの知名度と、スタッフの皆さんの努力で、会場は満員となり盛況の催しとなった。大元さん、そして皆さん、ほんとうにお疲れさまでした。おかげさまで、第二部を仕切る身としても、気持ちよく進められました。

詳しい内容は、公式サイトやまとめサイトですでに見てもらってるかもしれない。いや、まだの人はぜひ見てみてください。ソーシャルの多様な現状と今後が、高い知見の登壇者から語られている。ほんとに貴重な催しになったと思う。
(公式サイトはこちら。そしてTogetterまとめがこちら。さらにNAVERまとめはこちら。

さてぼくが担当した第二部は、「ソーシャルとテレビのシナジー」をテーマに据えて、パネルディスカッションを行った。NHKのネット戦略の参謀、倉又俊夫さん、IT情報番組iConのプロデューサーで、JoiNTVを生み出した日本テレビの安藤聖泰さん、そしてご存知アスキー総研の所長、遠藤諭さん。こんな豪華なメンバーに集まっていただけるとは!ありがたいなあ!

ディスカッションでは、前半ではこの一年のソーシャルとテレビの接近状況を振り返った。
題材としてプロジェクターに映したのは、こんな箇条書き。
• 3.11 UstreamでNHK同時配信(ソーシャルメディア浮上)
• 夏 ソーシャルテレビ用アプリ続々
• 8月 反フジテレビデモ
• 秋 ニコニコ動画とテレビ局の連携進む
• 11月 日本テレビ、YouTubeで公式チャンネル
• 12月 ”バルス”事件
• 1月 「おやすみ日本」「News Web24」
• 3月 日本テレビ、iConでJoiNTV
これはもちろん、このブログでぼくが追ってきた出来事。

パッと見ると「それが何か?」と思うかもしれない。でもね、ほんの一年ちょい前、2010年あたりだと、テレビとネットはひたすら反目しあっていた。テレビ局の上層部はTwitterもYouTubeも敵だと言わんばかりだったらしい。それがこの一年で、各局とも何らかの形でソーシャルメディアを活用している。いや、むしろリアルタイム視聴にプラスに働くということで、Twitterを積極的に活用しはじめている。この一年は、こうした事態が大きく転換した一年だったのだ。

この振り返りを出だしにし、お三方+ぼくで多様な話をしていった。何しろ、ついこないだ四人で下打合せした、というか飲んだので、話にどんどん花が咲いた。

とは言え、話が盛り上がるほど時間はあっという間に進むもの。あと5分、のサインも出て、そろそろ終わらなきゃな、というムードになった。

ところが、そこで主催の大元さんが粋な計らいをしてくれた。10分の延長タイムをくれたのだ。それはうれしい!と言いつつも、終わらせるつもりだったので、じゃあ何を話そうかとオロオロ。で、そうだ!とぼくが提示したのが「番組=コミュニティになっていく?」というもの。

JoiNTVの説明をする時、安藤さんが「Facebookをベースにしたのは、小さなコミュニティをたくさんつくりたかったから」と言っていたのが強く印象に残っていた。Twitterをベースにすると、番組を見ているTwitterユーザーが一度に集まることになるけど、誰が何言ってるかわからない。Facebookなら、自分の友達の中で同じ番組を見ている人と盛り上がることになる。その方が、お互いのやりとりが成立する。そういう小さなコミュニティが無数にできる方が、視聴者として楽しいんじゃないか。そういう考え方だ。

そこに感心したわけだけど、もうひとつ、そもそもテレビ制作者が“コミュニティを作りたい”と言ったことにも驚いた。自分の活動を、そういう捉え方しなかったのではないか。一方的に番組を送り出し、視聴率がどうだったかを気にするのがテレビマンだと思っていた。

このぼくの投げ掛けに対し、お三方との議論はぐいぐい発展していった。

番組を通じてできるコミュニティは、どういうものをめざすのか。例えばTwitterによって大きなコミュニティはできる。そして反応がはっきり“見える”。おおー!盛り上がってるぞ、おれの番組。しかしそれはコミュニティなのか?

一方、JoiNTVを通じてたくさんのコミュニティができる。でもそれは制作者にはひとつひとつは見えない。Facebook上での盛り上がりはクローズドなものなので、外側からは見えないのだ。「いいね!」数が計測できはするだろうが。そうすると、制作者はコミュニティに参加はできない。参加できないコミュニティを作るとはどういうことだろう?

“エンゲージメント”という概念がある。送り手と受け手が双方向で“きずな”を持てればエンゲージメントが成立している、などと捉えるわけだ。では、番組を見ながらTwitterでつぶやいている人と、エンゲージメントは成立しているのだろうか?Twitterは見ているけど自分からはつぶやかない、人のつぶやきを見て楽しんでいる人は?

あるいは、Facebookでお友達とやりとりしながら番組を見ている人は、かなり“深い”視聴者だと言えそうだが、その人が熱心に見てくれていることは制作者には伝わらない。これは“エンゲージメント”が成立しているのか?

ソーシャルメディアによって、テレビ番組と視聴者の関係は、もっと深くなる、密になるんじゃないかとぼくはイメージしていた。それは間違いではないと思うけど、単純ではないなあとあらためて感じた。

ソーシャルテレビという現象は、まだはじまったばかりで、つかみ切れないし話し出すと話がつきない。ソーシャルカンファレンスの続きはまた、別の機会にやってみたいなあ。

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