SPIDERはソーシャルテレビの夢から生まれた〜PTPの有吉社長にお会いした(2)〜

さて、前回に続いて、SPIDERと有吉社長の話の続きだ。何だっけそれ、って人は先に前回の記事を読んでね。そして前回の記事はむしろ前振りで、核心は今回書くことにあるんだ。

SPIDERはどういう発想で生まれたのかを聞いてみた。当然、すべてを録画したら便利だから、てなことなんだろうと思って聞いたのだけど、270度くらいちがったんだ。

1999年に考えたのだそうだ。米国でTiVoを見てから。

TiVoというのは米国で大ヒットしたハードディスクレコーダーで、「セックス・アンド・ザ・シティ」によく登場したのでぼくは憶えている。非常に優れた録画機、というより月額制の録画サービスがSTBを貸し出す(んだったと思う)仕組みらしい。まあとにかく、初めて録画機を目にした有吉さん。すごいのは、そこからすぐに「こんなことができるのなら、ハードディスク容量は見る見るうちに増えていくから放送がすべて録画できるようになるだろう」とまでイメージしたということだ。

そして、有吉さんはそういう録画機を日本のいろんなメーカーが出す状況を想像した。そうすると、番組をどうやって探すんだろう、ということになるだろうと考えたそうだ。そこで出てきた答えがこういうことだ。

「番組評価互助会」。

番組の評価を互いに交換しあう仕組み、ということかな?そんなことを1999年に考えて、ちゃんと書類にまとめて特許をとったそうだ。

テレビ番組の評価をお互いにやりとりする・・・・それってそのまんま、ソーシャルテレビじゃないか!この話を聞いてぼくはとにかく面食らった。ぼくたちが2012年にようやくたどり着いた概念を、この人は10年以上前に夢想していたと言うの?大したもんだわ!

そして有吉さんは、その「互助会」をビジネス化しようと動き出す。まずは各メーカーに時間の問題だから全録マシンを作ってくださいと言って回った。マシンを作ってくれれば自分は「互助会」をやるので、持ちつ持たれつだよね、やりましょうよ、と。

ところがどのメーカーもやらないと言う。うむむむ、それじゃあ「互助会」できないじゃないかあ。よーし、だったら全録機、自分で作ろう!それしかない!

・・・ふつうそんな風に考えるかなあ・・・そう、ふつうは諦めるんだよね。でも有吉さんは思いっきりポジティブ思考なのか、怖いもの知らずなのか、全録機メーカーをやろうと決心した。

ものすごく特異なケースじゃないかなあ。モノが作りたいのではなく、サービスをやりたかったから、そのためにモノを作ることにした。これはいま、そう考えないといけないよね、と山崎秀夫さんなんかも言っている考え方だ。モノじゃなくてサービスだよ、と。有吉さんは10年前にそんな考え方をとったというわけだ。

それからまた驚くのは、そんな10年前の野望が、いまようやく達成されようとしている。一般ユーザー向けのSPIDERの発売に向けて着陸態勢に入ったそうだ。逆に言うと、10年間、待ったわけだ。

SPIDERはぼくも”業界向け”だと思っていたほど、業界には浸透している。でももちろん、「番組評価互助会」を実現するためには、一般ユーザーがSPIDERを使ってくれないとはじまらない。しかも、できるだけ多くのユーザーが使わないと。

そのための準備はもう整いつつあるらしいのだ。これは楽しみじゃないか!

近い将来、ぼくの家にもSPIDERがやって来るのかもしれない。それはテレビと自分との関係の再構築になるだろう。一週間分の地上波の番組が多様なやり方で視聴出来る。検索したり、ソーシャル上の感想を見たりして、興味を持った番組を観る。なんて面白そうだろう!

こう書いてると、じゃあCM見なくなるじゃないか、と言う人もいるだろう。でも有吉さんによれば、SPIDERでCMを見なくなるわけではないという。前回書いたように、タレント検索をすると出演CMも出てくる。AKBのCMだけを選んで見ることもできるのだ。ソフトバンクのCMを途中から見て、次はよく観ようと思ってもなかなか出てこなかったりする。SPIDERがあれば、検索すればいいのだ。そんな風に、CMがコンテンツ化する可能性もある。

それに、ぼくが思うに全録機を買ったからリアルタイムで観なくなるわけではないと思う。リアルタイムでこそ観たい番組はいっぱいあるはずだ。ドラマだって、オンエアに間に合えばリアルタイムで観たいもんね。SPIDERのポイントは、そういう、基本的な視聴に”加えて”一週間分の番組から選んでみることもできる、ということだと思う。

もちろん、だからテレビは安泰だ、ということでも決してないけどね。

さてところで、録画した番組を、ソーシャルの仕組みを活用して視聴する、というと思い出す人がもう一人いるんじゃない?そうだね、東芝の片岡さん。

というわけで、次回Bar境塾は、有吉さんと片岡さんにおいでいただき、そこにアスキー総研の遠藤さんから突っ込み入れてもらう。そんなことを考えているんだ。詳細は、近々発表するので、ちょっと待ってね。今度も面白くなりそうだよ!

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