SPIDERのインターフェイスは”完全にユーザー目線”だ!〜PTPの有吉社長にお会いした(1)〜

これは少し前の話。アスキー総研の所長、遠藤諭さんとお会いする機会があった。遠藤さんについては書きはじめるとどんどん長くなって独立した記事にしなくちゃならないので、それは別の日にとっておこう。とにかく遠藤さんと初めてお会いして緊張しながらカレー(!)を食べつついろいろお話しした。

遠藤さんが年末に書いておられた『「テレビ崩壊」はウソだと思う』という記事が印象に残っていた。そもそも、遠藤さんはテレビにまつわる論はあまり興味ないのかと思っていたし。そこんとこをお聞きしてみたら「いやー、ぼくはずっとBSやCSしか観なかったんですけど、最近はけっこう地上波の番組を観るんですよ。」とおっしゃる。

遠藤さんと言えばサブカル中のサブカルって方だし、オタク文化とは何かを(結果として)定義づけたような方でもあるのだから、地上波のようなメジャーなものは目に入らないだろう。だからBSやCSばかり観ていたというのはわかる。でも、それがどうして地上波を観るようになったのかな?

「うん、それはねえ、SPIDERを買ったから」

す、スパイダー?!

「あれはねえ、すごいんですよ。テレビの視聴体験がまったく変わるわけです。ぼくなんかあらかじめ”カレー”を検索ワードに登録しておくでしょ。そうするとね、地上波の中の”カレー”の部分だけをずっと観ることができる。ぼくだけの番組が編成されるわけですよ」(ちなみに遠藤さんがカレー好きで有名だってことはここで皆さん知っておこうね)

SPIDERとは全録機だ。日本で開発された製品で、一週間分の地上波の番組を全部録画してしまう。その中からテレビ番組なりCM映像なりを選び出して視聴できる。ぼくの印象ではプロ向けの機器で、実際前にいたロボットでもいまいるビデオプロモーションでも会社で使っている。デスクの女子に頼むと、一週間以内の番組を選び出してもらえるのだ。担当している番組をチェックしたり、CMを企画する際に他社のCMをまとめて観たりするのに使う。

だからぼくはごく身近にSPIDERがずっとあったのだけど、実は自分ではいじったことがなかった。デスク女子に頼む習慣が身に付いてしまっていたのだ。だからどうも、遠藤さんのおっしゃることが実感できなかった。

遠藤さんはある方に紹介してもらったのだけど、今度はSPIDERだ!とばかりに、そのメーカーであるPTP社の有吉昌康社長にお会いしたいと、別の方に頼み込んでPTPに行ってみた。

有吉さんはとても魅力的な方で、SPIDERをなぜ作るに至ったかの話が面白くてしょうがない。その話を書こうと思うのだけど、その前にSPIDERがどんな製品かを知っておいてもらった方がいいだろう。会社にあるSPIDERをいじくりながら写真を撮ったので、それを見せながら説明しよう。

これがSPIDERの基本画面

SPIDERは”アイコン”発想になっている。上にメニューが並んでいるけど、磁石とかクリップとかのアイコンが並んでいる。直感的に操作できるようになっているのだ。

リモコンはテレビ機器のものとしては見たことない形態だ

SPIDERの操作性はこのリモコンが担っている。気分としてはiPodが近い。十字ボタンでカーソルを移動させ、中央のボタンで決定。いやちがうな、って時はBACKを押す。下のテンキーは文字入力以外では使うことがないのでこの部分はふだんは”持つところ”になる。
番組表の画面
さっきの画面で並んでいたアイコンの中の升目上のやつを選ぶとこれが出てくる。番組表だ。普通の録画機では、どの番組を録るか決める時に番組表を使う。でもSPIDERの場合は録画済みの番組表になる。この中でどれを観るかを決めるわけだ。

普通の録画機の番組表は、同じように時間と局で区切られた枠の中にテキスト情報が表示される。でもSPIDERの場合はカーソルを合わせるとサムネイルが表示される。その上に、この小さな枠の中で映像が動き出す。

ここはSPIDERのインターフェイスを語る上で重要なポイントだ。表の中で番組に合わせると、映像が動くのだ。もちろん音声も出る。どれ観ようかなと選ぶ時にどんどん番組が動く。

しかもカーソルは十字キーで滑らかに動く。番組表の上をなでるように十字キーを操作するとそれに合わせて次々に番組の最初の部分が観れるのだ。

「えーっと、確か昨日か一昨日の深夜番組だったよなあ、テレ朝だっけか?いや、TBSだったかな?」そんなもやもやと考えながら番組表をなでているうちにお目当ての番組にたどり着いたり、「あれ?この番組なに?こんなのあったの?」と別の番組を発見もするかもしれない。

つまりSPIDERのインターフェイスは”完全にユーザー目線”で作られているのだ。

今度は、さっきのアイコンの並びの中から”クリップ”を選んでみる。これは検索メニューだ。

SPIDERの検索はまず、ワード登録しておくのが基本的な使い方だろう。遠藤さんのように”カレー”を登録しておけば、カレーが出てくるシーンが次々に視聴できる。嵐が好きなら、登録しておき、嵐だらけのテレビ視聴ができる。

もちろんあとから検索もできる。録画済みの番組の中から何でも検索できるのだ。“芦田愛菜”の検索する際、”あし”と入れるともう候補に出てくる

検索するには文字入力が必要。リモコンのテンキー部分を使ってケータイ電話の文字入力の要領で文字を選ぶ。よく使われている言葉なら、最初の二文字くらいでお目当ての候補が出てくるだろう。

”芦田愛菜”の検索結果がこれ。

検索結果が表示される。リストで並ぶのでわかりやすい。そしてここでポイントなのが、3つの分類で結果が表示されることだ。

「番組」「CM」はわかるだろう。芦田愛菜が”出演”している番組がこれだけあり、出演するCMがまたこれだけある。最後の「コーナー」は何だろう?彼女が”出演”しないまでも何らかの形で名前が出たり、一瞬だけ映像がでたりするケースだ。

「番組」と表示されるものは、彼女が出演する情報が公式にどこかに出ているものだ。でも「コーナー」の場合は、たまたま彼女の名前が出たとか、出演する映画が取り上げられたとか、そういうケース。そんなことまでピックアップしてくれるなんてすごいし、便利そうだ。

この便利さはさっきも書いた”完全にユーザー目線”がベースにあるからだ。そんな機器は日本では珍しいと思う。そしてプロユースの機器としても不思議だ。業界の会社が買う製品なら、そこまでユーザー目線にする必要がないんじゃないのかな?

といういよいよ核心の話は、次回にしよう。2回に分けるつもりもなかったのだけどね。

次回を書く前に、佐々木俊尚さんが書いた記事があるので、読んでもらうと参考になると思う。実は、去年と今年(つい先週の掲載)の2回もある。両方とも”現代ビジネス”の「ブレイクスルーな人たち」という佐々木さんのシリーズ記事の一環だ。

去年3月の『2011年、SPIDERが変えるテレビの「未来」と「可能性」』はこちら。
そして、先週掲載された『テレビが進化する可能性を追う!日本の閉鎖的な放送業界を揺り動かす「SPIDER」のさらなるチャレンジ』はこっち。

それから、ここで遠藤さんと有吉さんのお名前が登場するのは、次回のBar境塾につながってきちゃったりなんかするのかもねー、ってことは、近いうちにここで発表するので、乞うご期待!ってことで・・・

※Facebook”境塾”運営してます。よかったら、のぞいてくださいね!

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