『24』や『LOST』並みのドラマが日本でもつくれる?〜メディア事変その43〜

フィンシンルールって知ってる?

アメリカで70年代から90年代まで続いた、テレビ放送に関する法律。

これがねえ、日本の感覚ではアバンギャルドというかすげえ法律なんだ。

3大ネットワーク(日本で言えば民放キー局)は外部制作番組の配給・販売・所有権を持っちゃいけない。また自社制作番組を放送後一定期間で市場に放出しなければならない。

もうひとつ、プライムタイムアクセスルールってのも同じ時期にあった。

月〜土のプライムタイム(4時間/日)のうち1時間は外部制作の番組を流さねばならない。

うへー。

さすが自由の国アメリカ?放送は許認可事業だからそれによって得た利益を自分たちで独占するなと。そういうアメリカらしい理念的なルールと言える。

一方で、肥大化しはじめたテレビ局の力をハリウッドが封じ込めようとしただけかもしれない。

とにかく、この法律によって番組を作る側の権力がある程度担保された。

だから、アメリカの大型ドラマシリーズは、制作側が資金を集めてつくる。主体が制作側にあるわけ。日本の映画と同じ、委員会方式だと言えばそうだね。もちろん、資金の出し手はプロデューサーやその所属プロダクション、ハリウッドのスタジオ、といった”業界”の面々。足りない分はファイナンスで補っていただろう。

このルールはいまは消滅したけど、そのおかげでつくり手たちのイニシアチブは残り、『24』のように映画スターが出演し制作費も多大なドラマがつくれるわけだ。

日本にはフィンシンルールはない。

でも、マスメディアに広告費が流れなくなった。そしたら制作費を抑えたいテレビ局が委員会方式の番組製作もありだよと言い出した。

フィンシンルールはないけど、いま、番組製作に新しいルールが生まれようとしている。

テレビ放送界でプロダクションがいかに虐げられていたかは、『あるある』報道の中でも語られていた。

これからは、ちょっとちがってくるぞ。いい企画立てて、いい役者おさえて、資金を集めれば、日本でも『24』がつくれるんだ。

そういう時代がはじまろうとしている。2011年には、そういう新しい秩序がつくられるだろうね・・・

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コメント

  1. 法律を作った時よりネットワーク局の力が弱まり、制作者側(=ハリウッド)の力を強くできたからです。結局はトクしたのハリウッドじゃん、と。制定時は、映画がテレビに淘汰されるそりゃまずい、という状況だったのでしょう。アメリカの映画産業は国策だからね。

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