11月1日のカンファレンスでのZeeboxに関するキーノートレポートの第2弾の記事を書く。第1弾を読んでないという人は、そっちから読んだ方がいいので、ここをクリックしてくださいな。
Zeeboxの機能の第一は、いま観るべき番組はどれかをガイドしてくれるところだ。テレビが大好きな人にとって最も大事な機能だろう。そして、海外では多チャンネルが普通なので、日本よりずっと重宝する機能でもあると言える。
トップ画面で、Zeeboxはいくつかの「観るべき番組候補」を提示してくれる。まずは「もっとも人気がある番組」。これは、Zeeboxユーザーの中でもっとも視聴されている番組を一分ごとに算出してくれるもの。あくまでアプリユーザーの中で、なので、いわゆる視聴率とは違う。でも、その瞬間でもっともたくさんの人が見ている番組がわかるのだ。
それから、いわゆる”レコメン”もしてくれる。これまでの視聴傾向から、類推しておすすめしてくれるのだ。
そして、Twitterでいまこの瞬間にもっともTweet数が多い番組も提示してくれる。さっきのもっともたくさんの人が見ている番組とは別に、視聴者がホットになっている番組がわかるということだ。
日本ではチャンネルの数が少ないからそんなに選び方がいろいろなくてもいいよ。そんな声も聞こえてきそうだ。だが、スカパーやケーブルテレビなどで多チャンネル環境にある人は多い。またBS放送もこの数年で次々増えた。そして見慣れた地上波のタイムテーブルは大まかに頭に入っていても、それ以外のチャンネルでいつどんな番組を放送しているか、記憶している人はほとんどいない。だからZeeboxはせっかくの多チャンネル環境を充実させてくれるかもしれない。
ぼくたちにとっての番組への接触は、長い間”リモコン”に規定されてきた。リモコンの便利さは逆にチャンネル選びでの制約にもなっていた。すぐに押せるボタンで4だの6だの8だのを選ぶ。それ以上になると途端におっくうになる。そんなぼくたちのテレビの観方を、その制約から解放するのがZeeboxかもしれないのだ。
コンテンツとぼくたちの関係は、どんどん複雑になっている。少し前までは蛇口が数個しかなかったので、選ぶのもたやすかった。でも蛇口がどんどん増えると、どの蛇口をひねればどんな飲み物が出てくるのかわからなくなる。無限に増える蛇口の前でぼくたちは途方に暮れたりしてしまう。
そんな中で”選びやすい”仕組みを提供することは、テレビに限らずいろんな局面で必要になると思う。
Zeeboxに戻ると、もうひとつ、番組ガイドとしてユニークな機能がある。いま見ている番組が何かを教えてくれるのだ。ACRという技術がある。今年の4月の記事でもふれた、コンテンツ認識のためのテクノロジーだ。この記事で紹介したGracenoteの技術を、Zeeboxでも使っている。番組の音を通じて、どの番組かを認識するのだ。
いま見ている番組を示すだけだと、とくに日本人にとっては要らないよとなってしまう。だがこの機能は録画した番組を再生する時にも使える。そして、ここがポイントなのだが、放送時の番組に関するTwitterのタイムラインとリンクできる。
つまり、録画で観ても、あたかもリアルタイムで観ながらTwitterを見ているような視聴を再現できるのだ。これは、ソーシャルな視聴スタイルにとってうれしい機能だ。番組を観ながら「おおー!」と思った時に、Twitter上で「来たーーー!」のようなTweetが並ぶのを、録画でも体験できる。素晴らしい機能だと思う。
ここまでですでに、Zeeboxがテレビ視聴を未来にしてくれることが感じてもらえただろう。でも、まだまだあるので、第3弾を待っててほしい。今週のうちに続きを書こうと思う。
コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
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