テレビのソーシャル化は誰が費用を持つのだろう?

前回の記事「消費に冷めたぼくたちと広告じゃなく共告だってこととソーシャルテレビについて書いてみる」では、このところ書いてきたことの集大成をやろうとして、話が途中で終わってしまっている。まだまだ書くべきことがあるのだけど、うまくまとまりきれてないので、あっちゃこっちゃ話を飛ばし横道にそれながら書き進めてみるよ。

さて、くどいけど11月22日にソーシャルテレビの勉強会の半期報告と称してイベントをやった。何度もここで書いてきたけど、せっかくなのでUst中継の映像をアーカイブで観てくださいな。最後の40分間だけでも見ればとりあえず笑えると思うよ。

そのイベントでは懇親会もやった。その時に、某公共放送の若い人たちと話をした。ソーシャルテレビの勉強会に来るくらいだから、自分たちの番組のTwitterやFacebookにも果敢に取り組んでいる頼もしい若者たちだ。だが彼らは悩みでいっぱい。

テレビ番組のソーシャルメディア活用の中で、実際の作業は誰が担うのだろう。多くの場合、番組のディレクターやプロデューサーといった制作スタッフが担当するようだ。

いまどきどの局にもデジタル部門やコンテンツ部門があって、場合によってはその部門の人たちが担当することもある。けれどもほとんどの場合では、制作スタッフが担っている。

これが、大変なのだそうだ。

まず不思議と、テレビ制作に携わる人たちはアナログ人間が多い。これはほんとうに不思議だ。推察するに、あまりにも日々忙しいために、デジタルガジェットやアプリケーションを試すゆとりがないせいではないかな。とにかく、さほどデジタルツールが得意ではない人が多いのだ。だから、まずTwitterだのFacebookだのをそもそもやってない人が多い。

まあそれでも、なんとかやり方を習得したにしても、さあFacebookページを運営しましょう!と意気込んで実際にやるのは相当大変なのだ。

かく言うぼくも、境塾(SAKAIjyuku)というFacebookページがあるのだけど、ちゃんと運営できていない。このブログを書くので手いっぱい。ブログを書くと勝手にFacebookページで告知するようになっていたのだけど、それがこのところちゃんと働いていなかったようだ。なので、活動してないFacebookページになってしまっている。

Facebookページを運営するなら、チームを編成して誰が何をやるか担当分けをし、何曜日に誰がどんな記事を書き込むか決めないといけない。そしてそれに沿ってコンスタントに投稿していく。できれば写真も添えて投稿したいし、だったら少しでもいい写真を撮りたいし・・・などと言っているとホントに大変だ。

実際には、プロデューサーとディレクターが自分で続けるのはかなりの負担だしかなり無理がある作業となる。ほんとうは、予算か人か、あるいはいっそその両方が必要なのだ。予算つけてもらって、そういう専門のスタッフを組むとか、アルバイトでいいから人をひとりつけてはりつけるとか。指示はプロデューサーが出すにしても、人がいないと厳しいのだ。

でもそんな予算は出てこない。

某公共放送の場合、予算は天変地異でも起こって番組ごとにソーシャル予算が組まれれば別だが、そうでもしない限り大義名分がつかないだろう。

では民放はどうか。これも同じだ。例えばスポンサーに「番組を盛り上げるためにFacebookをやるので、提供料とは別にソーシャル予算をください」と言ったら激怒されるだろう。高い提供料を払わされている上にそんなお金が出せるはずはない。だいたい番組のFacebookページは宣伝活動だろう。番組宣伝は局が自らの責任と予算で行うことで、我々の知ったことではない。まちがいなくそう言われてしまう。そして、確かにそうなのだ。

番組制作の現場は、とくに毎日とか毎週とか放送されるレギュラー番組の現場は常に、“回す“のがそもそも大変なのだ。放送というのは腕によりをかけて作る手の込んだ料理、というわけにはいかない。毎日毎日ルーティン化していく作業の中で素材の選び方や調味料の使い方を定型化して“日々こなせる”状態に持っていかねばならない。そしてそのために手いっぱいの予算や人材しかつかない。つまり、毎日いっぱいいっぱいなのだ。

そんな中でソーシャルメディアをうまく活用するったって、無理。でも予算を誰も余計に払ってはくれない。

ぼくは前回の記事でこの点は能天気に書いている。だが実際に、書いたことを具現化するには、その第一歩で途方に暮れることになるのだ。番組のコミュニティは誰がどうやって運営するの?

ぼくが描いた青写真がうまくいけば、スポンサーがその分を出してくれるかもしれない。でも卵が先か鶏が先かで、まあ先に出してくれることはないだろう。だからと言ってテレビ局として予算をつけようとすれば上司に却下されるに決まっている。

自分で書いたことを自分で机上の空論だと否定しちゃうようなことを書いているね。でもいろんな意味で、ソーシャルテレビには、テレビのソーシャル化には高いハードルが待ちかまえている。

うーん・・・どうやって乗り越えるんだろうね?・・・・・・

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