追記:公開時はここにNewsPicksのロゴを怒りの表情にした画像を置いていたが、NewsPicksが規約変更で抗議に応えてくれたので、画像を取り下げた。
この記事はNewsPicksへのピックをやめていただくようお願いします。
先日、2016年5月5日、iRONNNAというネットメディアに私が書いた記事が掲載された。
→「子育て」にきびしい国は、みんなが貧しくなる国だ
いろんなメディアで訴えてきた保育園の問題を、あえて年配読者が多いiRONNAで書くことで、このテーマに関心が薄い層にアピールできるのではという思いだった。驚くほどシェアされ、5000を超える「いいね!」がついた。
実際にはどれくらい年配層にも届いたのだろうと、記事タイトルで検索していたら、うっかりNewsPicksに入ってしまった。私は日ごろこのサービスで自分の記事へのコメントを読むことをできるだけ避けているのだが、ついついリンクを踏んでしまった。だがパッと目に入ってきたのは共感しているコメントが多い。読み進むと、中には批判的なものもあるが、一理あったりしたので、さらにコメントを追ってしまった。
そうしたら、このコメントに出くわした。
※NewsPicks内の当該記事がピックされたページよりキャプチャー
このコメントは、記事への批評でも何でもない。いや私個人への批判でさえもなく、ただただ、侮蔑しようとする意志しか伝わってこない。ああ、やはりNewsPicksはこうなんだ、とあらためてコメントを読み進めたことを後悔した。
このコメントを最初に目にしてからもう10日間ほど経つが、何度読んでもそのたびに心拍数が高まり頭に血が上るのがわかる。だがここでは、このコメントについてはあえて書き連ねないでおく。ただ、友人の弁護士に意見を求めたところ、侮辱罪の対象に十分なりえるもので、少なくとも不法行為で民事で争えば十分勝てるだろう、とのことだった。「いいね18万の一発屋」という箇所は具体的な意味がわからない表現だが、侮辱と十分認識できるようだ。
私はこのコメントを書いた三上俊輔という男に対し、実際にどうするかは検討しているところだ。とにかくここであらためて抗議しておく。あなたが書いたコメントは、どう見ても侮辱だ。
だが、三上俊輔への抗議はこの原稿の前振りに過ぎない。
私が問題にしたいのは、NewsPicksというサービスについてだ。
これまでも何度か、私の記事がここでピックされてきた。ここから先を書くのは心苦しくもあって、私の友人知人にもこのサービスのユーザーはたくさんいるし、プロピッカーをやっている方もいる。彼らが私の記事をピックしてくれたこともあり、ありがたいと思ってきた。決して彼らに抗議する意図はない。
だが何度もピックされ、ついついコメントを読んでみると、ほぼ100%嫌な気持ちになってしまう。私の目からみると、NewsPicksは誹謗中傷祭り、皮肉と揶揄の大行進だ。記事を書く身として、こんなに残酷な場もない。
もちろん、ネットではあらゆる場で批判する言葉に出会える。誹謗中傷も珍しいことではない。だがNewsPicksは書き手にとって、”たちの悪い”空間なのだ。書き手の気持ちを逆なでする要素満載。ポイントは、クローズなのにオープンな場であることだ。
ソーシャルメディア上での批判は、記事を検索するなどで主体的に出会う。Facebookで批判を見つけたら、すかさず反論もできる。反論して熱苦しい議論になっても自分の責任で、納得ずくで言い合える。
NewsPicksで何を言われるかは、フタを開かないと見えない。だがヘタにオープンでもあるので、うっかり足を踏み込んでしまうことは多い。そうするとたいがい、すでにコメントがたくさんついていて、往々にしてひどいコメントばかりが上にきている。だから書き手からすると、グサグサくる順番にコメントに接する羽目になる。言ってみれば、知らない間に自分の記事が体育館裏に連れ込まれてリンチを受けているようなものだ。しかも、やめろ!と直接言えないのだ。ひどいコメントに直接言い返せない仕様なのだ。さるぐつわをはめられて、自分が精根込めて書いた記事が殴られるのを見守るしかない。
誹謗中傷に輪をかけて問題だと思うのが、誤った指摘をするコメントだ。私の目からすると、NewsPicksは「頭がいい競争」をしているように見える。勝ち誇ったように全然見当外れなコメントがついたことは何度もある。誤ったコメントが誤ったまま評価され、NewsPicks内の誤った認識ができあがってしまう。それに見出しだけを使い、その下にコメント欄がある。ろくに読まないでコメントすることを誘発する仕様だと思う。
中傷するようなコメントも、誤った指摘も、一部のユーザーに過ぎず大半の人はきちんとしたコメントを書いているのも知っている。だがネガティブなコメントほどLIKEがつきやすく、そうすると上にあがってきてかたまって見えてしまうのだ。実際は違うのにネガティブな空気がすぐに蔓延してしまう。
友人の弁護士に、NewsPicksについて法的にはどうなのか聞いてみると、まったくグレーとのことだ。ちなみに彼は、メディアやコンテンツ界が専門だ。その彼に言わせると、何年も前から他のメディアの記事の見出しや本文の一部を利用するサービスについては争われてきた。解釈は時代とともに変わるとは言え、NewsPicksのような形態が完全にシロになったとは言えないと言う。
実際、NewsPicksの手法は「引用」と言えるのか。引用とするなら、主従の関係が明確でなければならないが、NewsPicksの場合どれが「主」なのだろうか。三上のコメントのようなものが「主」だとでも言うのか?
やまもといちろう氏はジャーナリズムイノベーションアワードの場で「NewsPicksは他人の記事の見出しにただ乗りしている」と主張していたが、まったくその通りだ。私はハフィントンポストやBLOGOSとはブログの転載の約束をちゃんとしている。だがNewsPicksに見出しを使っていいなんてひと言も言っていない。
私は、べつに記事をピックすること自体はいいと思っている。そこで充実した議論が展開されるなら、私の記事を題材にしてくれと思う。だが、誰がいちばん気の利いた皮肉なコメントつけるでしょう競争や、頭の良いコメントつけたのオレだよね競争の、ネタにされるのはまっぴら御免だ。やめてほしい。はっきり言って、私の記事をもう、ピックしないでほしい。コミュニティとして大事にしているユーザーも多いらしいが、あなたたちだけでやってください。私がうんうんうなって老骨にむち打ってどうしても世の中に訴えたいと書いた記事に、三上みたいな侮辱的なコメントを平気でつけられるのはもう、金輪際いやだ。
何やらルールが変わって実名制にしたらしいが、それははっきり言って的外れだと思う。三上を見ればわかるだろう。彼は自分の名前をさらして、あんなコメントを平気で書くのだ。どうせ言われるなら、むしろ匿名のほうがまだいい。名前をさらして胸を張ってとんでもないコメントをされるほうがずっと気分が悪い。
実名か匿名かではなく、運営側がきちんとしたモデレーションをすることが必要なのだ。どういうコメントでどういう議論をするのが理想かを明示し、コミュニティをマネジメントするのだ。運営側が、意思を明確に打ち出すことが必要だ。また、人手もかけねばならない。ツイキャスが10代の子どもたちのコミュニティになっても荒れないのは、そのために人員を割いてしっかりマネジメントしているからだ。
追記:冒頭と同様に、ここに置いていた画像は取り下げた。
この記事はNewsPicksへのピックをやめていただくようお願いします。
もう私の記事のピックはやめてほしい。だからこのマークをアートディレクターの友人に頼んで作ってもらった。これを今後私は使うつもりだ。自分のブログだけでなく、依頼原稿にも編集と相談して使う可能性がある。このマークが入っている記事は、NewsPicksでのピックをやめてください。もちろん、法的には”グレー”なのでお願いするしかない。でも本当に、やめてほしい。
それから、このマークは誰でもコピペして使っていいことにする。もちろん使用する意図はあくまで私同様「この記事はピックしないで」とアピールするためにしないとブレてしまうので、そこは気をつけてほしい。上のような文言を添えたほうがはっきりするだろう。それから、このマークはロゴをいじっているので咎められる可能性はある。私は、これはパロディだと主張するつもりだが、日本ではパロディについてはっきり認められているわけではないことは言っておこう。まあ、グレー対グレー、ってことで。
何らか、私にとって納得のいく状況になったらマークの使用をやめるが、おそらくそうはならないだろうと考えている。
What can I do for you?
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