NewsPicksへの抗議は取り下げ、誠意と理念ある対応に深謝する

前回前々回のここでの記事で私はNewsPicks(と三上俊輔)に強い抗議を示した。

NewsPicksに対しては、記事を配信した後で、メールを出した。一部引用する。

これに対し何を要望するわけでもありませんが、
前向きな議論が自然に行われる場にしていただけることが
願いとしてはあります。

いまいろいろと見直しの最中だと思いますが、ピック
される側の意見として、みなさまの議論の題材のひとつに
加えていただければ幸いです。

対応を望んで書いたというより、抗議したからにはその抗議を相手に届けなければとの考えからだ。正直、何かをしてくれることは期待できないと感じていた。

だがさっそく返信が来た。意見をきちんとうかがいたいので、梅田社長と佐々木編集長も同席する時間をつくりたい、とのこと。はなはだ驚いた。こんな乱暴な抗議なのにきちんと対処する意志が伝わって、逆に恐縮してしまった。

一方、こちらは追加のお願いをした。「ピックしないで」と題した記事がピックされていたので、そちらとして削除してもらえないか、と。これをやると、最初にピックした人とそれに続いてコメントしたものがすべて消えて失せるわけなので、そう簡単にはできないだろうとは思っていた。実際、規約上できないとの答え。でもこの件は悪質なので週末までに対応したい、と言う。

正直、本当に週末までに具体的なことができるのかといぶかった。

そしたら、彼らは言葉通り対処してくれた。

規約を変更したという。そしてそれにのっとり、私の記事(なんと2つ目もピックされていた)を両方ともNewsPicks上から削除対応してくれた。
→https://newspicks.com/news/1557123
→https://newspicks.com/news/1564723

さらに梅田社長のアナウンスがNewsPicks上に提示された。
→NewsPicksの課題とこれからに向けて(NewsPicks代表・梅田)

いろんなことが書いてあるのでじっくり読んでもらうといいが、ここでの話の流れ上、ポイントなのは・・・

これまでも利用規約違反に該当するコメントは削除してきましたが、利用規約違反の定義については運営側と当事者では見解が分かれる事がありました。そのため、今回は利用規約違反の判断が難しい事象でも、被害を受けた当事者から通報があった場合は、原則として削除する方針に変更します。
※利用規約違反に明らかに該当しない建設的な批判や意見については、通報があったとしても削除対象とはなりません。

この部分は、私の抗議の前から用意していたのだと思う。先日のユーザーイベントを受けての決定で、おそらくもともと内部で議論していたのだと推察する。私が依頼した「記事そのものの削除」はある意味、その議論の流れにそったものだったのだろう。

これについて、疑問を呈する声もあると思うが、私は現時点の判断として正しいと思う。

NewsPicksは、プラットフォームであると同時にコミュニティであり、メディアにもなろうとしている。これまでのメディアやプラットフォームのあり方からすると大きなメタモルフォーゼだ。その先に成功があるのかどうかは誰にもわからない。だがコミュニティの側面がこのところ問題になっているわけで、それへの対処としては最良の選択だと、私は考えている。

コミュニティは、誰かが強い理念とモラルでもって運営せざるをえない。ある段階を過ぎると自然とそうなる。今回の判断も、例えば削除要請が出て本当に削除したとして、削除された側が100%納得することなんてないだろう。でも運営側が「ここがこうなので削除した」と説明できればいいのだ。

そんなの納得できない、と言うなら、参加をやめればいい。

また逆に「あの削除は仕方ないよね」と多数が賛同できるかどうか、運営側も問われることにもなる。

そして実際に削除するかどうかの前に、コメントを書く側に考えさせる効果が大きいと思う。「中傷や嫌がらせをされた本人からの通報があったら削除される」というルールを受けとめれば「待てよ、これは誹謗中傷になっちゃってないかな?」という制御が働くだろう。それが重要なのだ。

現時点でのNewsPicksにとって、最良の判断だと思う。

これは大袈裟に言うとインターネットの世界に秩序はつくれるか、という話だ。運営者が明解な、特定のコミュニティではそれは可能であり、むしろ必要なのだと思う。

今回の私の抗議への反応はもちろん多様だったが、思いのほか「あそこには辟易している」という声は多かった。私もそうだが、時々見てみるとひどいコメントがついているので、見なくなってしまった人はかなりいるだろう。そうした人びとをアクティブにさせ、もっとユーザーを広げる道筋も見えてくるのではないだろうか。

つまりNewsPicksの新たな成長のためには、理念を明確にした運営が必要であり、そういう時期だったのだと言える。この記事のタイトルにわざわざ「理念」と入れたのは、そういう意図だ。

私は梅田社長がアナウンスした運営理念と新たな規約を評価し、また私の抗議への真摯で素早い対応に深謝し、抗議を取り下げる。同時に、今後のNewsPicksに期待し、自分でも再び積極的に使ってみようと思う。

NewsPicksのみなさん、ありがとうございました。

・・・こうなるともう一者の抗議の対象が残ってしまったが・・・

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