「テレビは生き残れるのか」への答えは「テレビは余命7年」ってこと?

「テレビは生き残れるのか」を書きながら、きっと似たような本はいっぱい出てくるんだろうなと想像していた。なにしろ2011年は歴史的転換点である”地デジ化の年”なのだから。そして、似た本がいっぱい出てくれた方が盛り上がっていいよな、と考えていた。

でも、”似たような本”は出なかった。拍子抜けしたし、これじゃあ盛り上がらないじゃないか、とがっかりしていたら、出た出た。ちゃんと出たじゃないか。

それがこの本。「テレビは余命7年」というタイトル。なーんと、ぼくの本よりよほど過激なタイトルだよ。うんうん、盛り上がりそうでうれしいぞ!

著者は指南役、という名前の企画集団ということらしい。あれ?Twitterでフォローしてたような。実際、発売日につぶやいていたのでこの本をぼくも知ったのだった。

内容はというと、ぼくの本よりもずっと”テレビについて”の本になっている。徹頭徹尾、テレビについてだ。各章の見出しをあげていくと「テレビがつまらない」「テレビのビジネスモデル」「テレビのピンチ」「テレビは公正か」「テレビの歴史」「テレビの魔物NHK」「海外のテレビ」「テレビの未来」・・・ね、すべての章に「テレビ」が入っている。徹底したもんだ。

指南役さんは、ホイチョイプロダクションのブレーンとしてなど、テレビの企画の仕事が多かったそうで、いわゆる構成作家のような方のようだ。つまり、テレビ番組づくりに深く関わってきたのだろう。だから、作り手の視点であり、”中の人”の視点で書かれている。でも、たんに番組作りに関わってきただけでは知りえないことにもいっぱいふれている。相当調べて書いたんだろうな。

これを読むと、あーぼくももう少し調べて書けばよかったかなあ、などと少々反省した。

とくに「テレビの歴史」の章ではぼくが知ってたようでそこまでは知らなかったなあという話が満載。テレビ局と新聞社の関係がどうしていまのようになったのか、ここまでは知らなかった。それから、どうして当初TBSが強かったのかについても初めて知ったなあ。

「海外のテレビ」でも、主にアメリカのテレビ業界の仕組みが日本とどう違うか、深いところまで書かれていた。ぼくも少し触れたところだけど、ここまでは知らなかったなあ。

そういう、よく調べたもんだなあという点とは別に、ローカル局の成り立ちやその問題点について深く切り込んでいる。これもすごいよ。なかなかここまで書けない。書く度胸が必要。ぼくにはローカル局の問題は深すぎて何をどう書いたらいいかわからなかったのでまったく触れなかった。そこに思い切って踏み込んでいるよ。

最後の項目の見出しは「汗をかく人が報われる業界へ」というもの。つまり、いちばん最後にいいたいのは、苦労している作り手、現場のみんなにとってよい方向に向かえばいいなという思い。そこんとこは、ぼくも同じだったので、すごく共感できた。

というわけでね、この本、このブログの読者なら、読まないわけにはいかないよ。え?「テレビは生き残れるのか」もまだ読んでない?そりゃあ、いかん!この際、2冊一緒に買っちゃおう!いやホント、読み比べると損はないと思うよ・・・

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