70%運行でぼくたちはやっていけるのか

前回「この終末が終わると・・・」と題して書いた、その続きを今日は書きますよ。

鈍感なぼくは、地震から4、5日経ってやっと”ああ、これって終末だなあ”と強く感じたのだけど、皆さんはきっと、もっと早くからそんな感覚を持っていたんだろうねえ。ホント鈍くってすんません。

こうした終末感の行く先はどうなっちゃうんだろうか。これについても、皆さんすでに薄々感じていることだろう。

ぼくたちの日常は、このまま70%運行になっていくんだね。

だって何よりまず、物理的にこの状況はまだまだ続くわけでね。自衛隊や機動隊が1号機だの3号機だのに放水作戦を成功させたとしても、温度上昇が止まるというだけで、電力不足はずーっと続くわけでしょ。そうすると電車のこのはっきりしない間引き運転だってずーっと続くことになるよね。

たぶんあと1〜2週間のうちに政府も電力会社も鉄道会社も、そしてぼくたちも慣れてきて、だいたいこんな感じでうまくいくね、という要領みたいなものがつかめるんだろう。日本人は順応性高いから。

その”要領”の中には、例えば社員は自宅勤務もありね(その代わりちゃんとPCの前にいるかSkypeでチェックすっからさ)、というのもあったり、火曜日は銀座が夜休みで、水曜日は六本木が休みだったっけ?おいおい木曜日は新宿ネオン消さないとダメだって決めたでしょう、みたいなこともあるのかもしれない。

子供たちは使わない電気パチパチ消してくだろうし、食べ物も残さずきれいにたいらげるんだろう。夏休みは宮城にボランティアに行きたい!なんて泣けること言い出すかもしれない。

こういう想像したのは、Facebookのお友達が書いてたことから考えたの。彼は書く仕事をしてるんだけど、地震の前から書きかけてた原稿があって、そこには「いまは飽食の時代なので」と書いていた。でももうそれ書き直さなきゃと。だってもう、飽食の時代は終わっちゃったからね。

これはびっくりした。バブルがはじけても、阪神大震災でも、そしてリーマンショックでも終わらなかった”飽食の時代”がこの2011年3月11日、終わっちゃったんだよ。

飽食の時代?何いってるんすか?何ですかそれ?そんな食べることに飽きるとか言ってる場合じゃないですよ。もし余るようなら、困ってる人に送った方がいいに決まってるじゃないですか。

だってぼくたちは、こんにちは、さようなら、なんていう魔法の言葉を知ってるし、思いは見えないけど思いやりは見えるわけだし、本を読んだら知層が増えるし、乳がんや脳梗塞には気をつける国民なんですよ。

いや実際、この状況でAC広告の連続は、象徴的だし、ぼくたちはかなり洗脳もされたんじゃないだろうか。少なくとも、ぼくたちは心を入れ替えなきゃ、というムードは形成してくれたと思うよ。

確かにぼくたちは、懲りてなかったのかもしれない。失われた十年が二十年になっちゃったとかほざいてたけど、飽食の時代を本気で反省してこなかった。そこがそもそもおかしかったんじゃないかな。リーマンショックで呆然としたけど、飽食を心からやめましょうとは思ってなかった。その上、のど元過ぎたら忘れかけてた。今度ばかりは、心底、みんな感じたはずだ。もう不要なことやめとこ、と。

ぼくたちは何でもかんでも、めいっぱい、がいいと思ってきた。鉄道なんか東京中張り巡らせてスキマなしにして、それでもそこにまだスキマある!と気づいたらまた新線を走らせていた。そうしてそれぞれをめいっぱいにするダイヤをつくった。

働くのもめいっぱいだ。残業代つかなくなっても、朝から晩までめいっぱい働いた。そうしないと誰かに叱られるんじゃないか、あるいは家族を幸せにできないんじゃないか、そんな強迫観念で実は自分自身が自分を働かせてきた。会社のせいにしながら自分をこき使ってきたのだ。

めいっぱい!せいいっぱい!これでもか!まだあるぞ!そんなことを続けてきた。失われた十年が二十年になりまだ続きそうなのは、実はそれが原因だったんじゃないか。経済を目一杯にしよう、フル回転して取り戻そう。それがかえって経済効率を悪くしてたんじゃないか。

だから70%運行で、いいのかもしれない。腹八分の毎日を、そのかわり前よりもずっとゆるゆるで過ごしていけば、いいんだよ、きっと。

ただね、でもね、覚悟もしないといけないんだよ。70%運行だと、会社の売り上げとか、利益とかも、70%になるんだろう。ぼくら個人の収入も70%になっちゃうんだろう。それを覚悟できるかしら?あなたも、ぼくも・・・?

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