ぼくたちはFacebookで世界市民になれるのかな?〜Ust対談のおまけ〜

前回お知らせした通り、3月1日の夜に”そめけん”の催しとしてUst番組に出演した。例によって干場先生との対談企画だ。

もちろん見てくれたよね。・・・え?見なかった?しょうがないなあ、この”そめけん”Ustチャンネルにアーカイブが残ってるからちゃんと見るんだよ。ページの下の方にある「第42回配信」ってとこね。

干場先生はこのブログでも何度もご登場いただいている。ブログも書いておられ、”hhoshibaの日記:「宇宙の中心は勇気だ」part2”という威勢のいいタイトルだ。ぼくより20年程度長く生きておられるギョーカイの大先輩。ぼくのことを”熱伝導率が高い”とおっしゃるのだけれど、干場先生だって熱い方ですとも。いつもいつも、たくさんお持ちの引き出しから続々、ナレッジを開陳してお話される。引き出しは数が多いだけでなく、ひとつひとつ、とてつもなく奥が深いようだ。干場さんの脳みそそのものが「宇宙」なのかもしれない。

さてUst対談は「ソーシャルネットワークと近代」というちょっと気負いすぎなテーマにしてしまった。これはこの一か月くらいこのブログで書いてきたことをもとにしている。

ただ、いきなり干場先生に突っ込まれた通り、「近代」という言葉の定義が曖昧で、話を分かりにくくしてしまった気がする。

そこでちょっと「近代」という言葉は忘れてもらおうと思う。ぼくはソーシャルネットワークが○○○を覆そうとしている、と言いたいわけなのだけど、それは「国家」だと言った方がわかりやすいかもしれない。「国家というフレーム」をソーシャルが突き崩す可能性があるのではないか、と。いや、でも「国家」も広すぎるので、「近代国家」かな?

「近代国家」とは、封建制や絶対君主制ののちに成立した国家、ととらえてほしい。主権者は国民で、憲法と議会があって、民主的な手続きで選ばれた元首がいて、明確な領土がある。ということは、いま存在する国はほぼすべてが「近代国家」だと言える。

国に明確な領土がある、というのは当たり前のように思うけれども、地球上のすべての土地に線が引かれたのは20世紀になってからだ。中東やアフリカなんか、”領土”の曖昧な部分がいっぱいあった。そこに強引に線を引いたから中東はややこしいしリビアのいまの混乱もそこに起因するのだろう。

「近代国家」は、「民主主義」とともに、それまでのいろんな問題を解決していったのだと思う。国とは王様個人のものではなく国民のものなのだと。権利、というのは本来的には、王様が独占していたことを国民に解放しろよ、という意図で生まれてきた概念だ。「知る権利」はあくまで権力に対して主張するものであって、芸能人のプライバシーに対して使う言葉ではないのだ。”ペンは剣より強し”とは、王様に対抗するジャーナリストのためのスローガンだ。

そうやって、王様の権利を奪い取って成立してきた「近代国家」はだから理念上は美しいと思う。でも、限界もあるのだ。

まず、「近代国家」はその国の内部ではカッコいい。美しい。でも、他の国に対しては、エゴイズムとして働く。国益の名のもとに、関税をかけるのだとか、領土は少しでも増やすのだとか、主張できることはすべて手に入れようとする。主観的には、国を守るための交渉だが、客観的にはエゴだ。

もうひとつ、「近代国家」はどうしても”代議制”になる。人数が増えるとどうしてもそうなってしまう。それから、官僚が運営上必要になる。そうすると、職業的な議員が生まれ、連動して働く官僚も固定し、やがては”利権”を生んでしまう。また、立法も行政も”上から”になってしまう。

ソーシャルメディアには上に挙げた「近代国家」の限界である2点を、突き崩す可能性がある、と思うのだ。「国境」を超えたインフラになりつつあるわけだし、「草の根」民主主義を構成できるかもしれないし。

Ust対談でも最後の方で「Facebookにはあらかじめ主義主張、イデオロギーを感じる」という話が出た。不思議と、TwitterよりFacebookにこそそれを感じるのだけど、明らかに”思想”がある。ちょっと言い過ぎだけど、「さあ、みんなで世界市民になろう」というメッセージが込められている気がしてしまう。だからこそぼくたちは、惹きつけられているのかもしれない。

もっとも、誰にとってもあまりにも便利なインフラなので、権力側が監視に使えたりもしてしまう。

厄介だな、ザッカーバーグ。あんた、天才過ぎるよ。

深いテーマに触れてしまったので、もう少しこのことを書いていこうかな・・・

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