Facebookにファンページを開設してたくさんの方が来てくれたり、いろいろ七転八倒したりしているので、それについて書きたいところなんだけど、重要なデータが発表されたので、そっちを書くね。
日本映画製作者連盟という団体が毎年、1月のこの時期に、前年の映画興行の集計結果を発表している。このブログの読者ならチェックしなきゃね。
少しでも映画が好きな人なら、興行収入ランキングを見ると楽しいんじゃないかな。あの作品、意外にこんなだったのかとかね。
とは言え、今年のデータをパッと見ただけでは、どう解釈すればいいかわからないと思う。そこでぼくからいくつかのポイントを解説しよう。
さて今年の特徴をとらえるには、今年のデータだけではなかなかくっきりしてこない。
そこで、この表を見てみよう。
これはこのページにある表のいちばん下の部分だ。この10年の興行データをまとめたもの。
これを見ると、2010年はとっても際立った年だったことがわかる。何と言っても、興行収入が2,200億円にもなっている。表を見てもらえば2000年代の興行収入は2,000億円前後で終始してきたことがわかる。これまでの水準を1割も上回ったのはエポックメイキングだと言えるだろう。
邦画と洋画の比率は2008年から3年間続いて、邦画の方が高い傾向になった。ただ、興行収入の絶対額を比べると、邦画はほぼ横ばいで洋画が大きく伸びたことがわかる。
ではそれはどういうことなのか?ここでもう一度最初の統計結果のページの下の方にある、洋画の興行収入ランキング表を見てほしい。
その部分だけを取り出したのがこれだ。
なんと洋画のトップ3作品が100億を超えている。そして4位のカールじいさん、5位のバイオハザードも合わせてトップ5作品が3D作品だった。
つまり、2,000億円が普通だった映画興行を1割押し上げたのは、3Dのチカラだったのだ。これをどう受け止めるかは様々だろう。技術革新が市場を広げたとも言えるし、映画はますますイベント化したとも言える。ま、ぼくが思うに映画はもともとイベント的なものなんだ。
さてそれから、もうひとつ注目したいポイント。
このページで邦画の興行収入ランキング表を見てみよう。そしてその上で、こっちのページで2009年の邦画ランキングも見比べてみよう。・・・どお?何か感じるところがないかな?・・・
わかりやすいところを言えば、この表(10億以上の作品)にあがっている作品数が、2009年は34本だったのに対し、2010年は29本と、5本も減っている。そして作品のバラエティも2009年の方が豊かに感じられないだろうか。少なくとも、2009年の方が映画オリジナルの企画が多い。
ここから先はぼくもまだ考えがまとまらないが、どうやら2010年は、何らかのターニングポイントなのではないだろうか。2000年代に続いてきた傾向が、くいっと角度を変えたのだ。
その角度がどう曲がったのかは、今年の映画界を追っていくうちに見えてくるのかもしれない。今後の映画産業の行く末は、いままでとちがう目線で見つめていかないといけないね・・・
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