再生のギョーカイその4〜新聞の人たちは何してんの?〜

再生のギョーカイその2のグラフを見ながらテレビ広告について書いてきた。テレビはバブル崩壊後もあまり落ち込んでこなかったから危機感が薄かったんでない?という趣旨。

しかし、もう一度グラフを見ていると、もうひとつ大きな疑問がわいてくるじゃないか。新聞の人たちはこの20年、何やってたんすか?

新聞広告費の推移は、バブルの夢を引きずりようがなかった。90年の1兆3592億円をピークに、ズルズル下がりつづけてきた。2000年になんとか1兆2474億円まで持ち直したけど、それ以降はまたじわじわ下がり、2008年は8276億円まで下がった。そして今年はぼくの予測では(しかも9月までの推移からしてかなりの確度)6000億円台前半まで下がる。

新聞の場合、広告費とは別に購読料があるとは言え、広告費の落込みは絶大な痛手だったはずだ。大新聞社が前期赤字だとか今期赤字だとか伝わってくる。

自動車や電機など製造業の大企業は前期赤字になり、派遣切りだの正社員も減らすだの発表している。大新聞はそれを報道しているけど、あんたたちはどうなの?とツッコミ入れたくなるじゃないか。

ズルズルじわじわ広告費が減っているのに、90年代も大新聞の人たちは相変わらずハイヤー取材を続けてきた。この頃叩かれている記者クラブ制度にどっぷり浸りながらね。

ジャーナリストを名乗り正義を振りかざしながら、既得権益だの規制緩和だのを訴えてきたけれど、他ならぬ既得権益に浸っていたのが大新聞のジャーナリストのみなさんだったんじゃないだろうか。あ、言ってることキツ過ぎ?

全国紙の15段広告(ようするに1ページ全面使った広告)を打つのに3000万円ぐらいかかる。まじめな広告主はていねいにも朝日毎日読売の3紙(チョーマイヨミと呼ばれた)に加えて日経にも広告を出したりした。加えて、中日新聞とか西日本新聞とか、ブロック紙もおさえたりすると、新聞広告の媒体費が2億円とか3億円とかになったりする。

そんなに高いのに新聞広告を打つのは、テレビに似て”販売店対策”だったりした。大きなメーカーだと本社の宣伝費で「あんたのとってる新聞にも全面広告出すからはりきってセールスしてくださいね」という叱咤激励を込めて新聞広告を打つ。お客さんが見たかどうかより販売会社のおじさんたちが読むからこそ、打つわけ。販社のおじさんたちは「お、こりゃわしらもがんばらにゃならんぞ」とセールスに精を出す。

これもいま思えば、どうだったのかね?いまだと「ROIを考えると効率的ではありませんね」と言われてしまうんだろう。そんな日が来ることは、よーく考えればわかったんじゃないのかしら。

そしてテレビ広告よりずっと早くから凋落がはじまっていたのだから、もっと早く、何かすべきだったんじゃないの?

あれ?テレビ広告について綿密に書いたのに比べると、どこか揶揄してるだけの文章だね。すんまそん、なにしろ映像関係の人間なもんで・・・

[`evernote` not found]
Pocket

トラックバック用URL:

Facebookアカウントでもコメントできます!

コメント

  1.  ロボット&バディーズ時代、毎日新聞さんとお仕事していていろいろと考えさせられたのを思い出しました。 まず、あの新聞という形態が、生まれてからほとんど進化していないのがすごい! ソニーが音楽再生機をあれだけ小さくしても、新聞はずっと同じサイズでヒトが手動で折りたたみ&ヒックリ返しをして・・・そこから少しでも便利にしようという発想が出てこなかった!? 字が大きくなったぐらい!?!? 安くて早くて大量に作れる形態が、あの時代新聞の形だった訳で、それは人類の技術の進歩とともに形を変えてゆくべきだった・・・なんて話をよく毎日さんとしていました。 でも、いま、インフォメーション持ち歩き用のモノは結局ケータイ電話に・・・ichでヘッドラインはどんどん入ってきますしねぇ。 最近は、企業が変わるよりもそれは使命を終えたら死んで、次の企業が出てくればいい事なのではないかと・・・全てのアイテムに関して思うようになってきました。 自動車屋さんが宇宙飛行機を作らなくても、それはそういう目的で起業した会社が作ればいいのではないかと・・・。だからビック3は静かにお墓に入れてあげればよいのではないかと・・・ 企業はお墓に入れて、人が移動すればよいのではないかと思うようになってきました。長くなっちゃった。 ご無沙汰しています。

  2. もしもし原田くん?久しぶりだね。企業は墓場へ、人は移動。これ、まったく正しくって、はっきり言って設立数十年で成功した企業には、逆に新時代へのイノベーションは起こせないんだよね。成功したからこそ、新時代に対応できない。「それ、やったって儲からないだろう」ってことになっちゃう。イノベーションが起こせないのは、事業の本質として、という側面と、もうひとつは”人”の問題もある。だから”人は移動”は正しいのだけど、この国で問題なのは人の移動に対するネガティブな要素がいっぱいってとこ。でもとにかく、企業は墓場へ、人は移動、これ、正しい。久しぶりにめしでも食う?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です