再生のギョーカイその3〜クリエイティブディレクター不要論〜

前回のグラフを自分でつくってみて、いちばん驚いたのが80年代の部分だ。テレビ広告費と新聞広告費の比率が1.1対1程度だったこと。ぼくがこういう数字に敏感になったのはほんの最近、ここ数年で、だから2000年代の「テレビ:新聞=2:1」というのしか頭になかった。それが20年前までは1.1:1だったのか、とびっくりしたわけ。

ぼくは87年に”ギョーカイ”に入ってコピーライターになった。当時は本当にCMとグラフィックは広告代理店の中でも拮抗していた。それから、CMの企画スタッフ(=CMプランナー)とグラフィックの企画スタッフ(=アートディレクター・デザイナー)は別々に仕事していた感がある。大きなプレゼンになるとCMとグラフィックを別々に企画作業してプレゼン直前ですり合わせたりしていた。ぼくはワカゾーながら、”そりゃおかしいよ”と思ったものだ。コピーライターは比較的グラフィック側にまわる傾向があり、先輩コピーライターがどうしてCMの企画に関わらないのか不思議だった。

さて、その頃にもCD(=クリエイティブディレクター)という職種はあった。でも、”中間管理職”みたいなもので、企画作業は事実上、コピーライターとアートディレクターとCMプランナーのものだった。CDはプレゼンの責任者ではあっても、”できたあ?”と進捗をのぞきに来るだけで、企画そのものには関わらないのだった。

そう、広告クリエイターの黄金時代はコピーライターやアートディレクター、CMプランナーという個がぶつかりあってつくりあげていたのだ。

それが、90年代になるといつの間にか変わってきた。CDの存在感が高まってきた。CDがどう企画をまとめてプレゼンするかが大事になってきた。それは広告制作がテレビと新聞の”競い合い”から、テレビが中心、新聞はフォロー、と変わってきたこととシンクロした現象なのだろう。

テレビが中心になるとともに、テレビCMの企画の作法がけっこう複雑になっていったからだ。ひとつのいい企画!グッドアイデア!というものから、タレントだの音楽タイアップだのややこしい要素が増えていく。かけるお金もどんどん上がっていく。そうすると、CDに権力を集中させる必要が出てくる。

別の見方をすると、80年代に育ってきたCMプランナーがCDの肩書を手に入れ、部下もたくさんつけて、大きな力を持つようになっていった。コピーライターやアートディレクター出身でCDになる人もけっこういたけど、そういう人たちも立派にCMを仕切れるからCDになり力をつけていったのだ。

広告代理店の営業戦略上、CDは必要だったのだろう。「今回のプレゼンは、あのキャンペーンで話題を呼んだCDの○○に任せます」とクライアントに仰々しく言うことで、”弊社はこのプレゼンに力入れてまっせ〜”というアピールになったのだ。

こうして90年代以降、”いまノってるCDはどこの誰それだ”という、CD中心の広告クリエイティブの時代になっていった。

ようするに、CDシステムとは、テレビCMを代理店がセールスするためのシステムだったのだ。

ではこれからはどうなのかな?

ぼくが思うに、CDシステムが不便になったり、不都合になったり、いらなくなったりするだろう。

CMがどうしただけでなく、WEBがどうした、モバイルがどうした、OOHがどうした、という全体像を、たったひとりでコントロールするのは無理だ。そこまであらゆるメディアや手法に精通した人なんかいるわけがない。

広告づくりはもっと、集団作業になり、チームで取組むものになるはずだとぼくは考えている。

でももちろん、ひとつのキャンペーンでいろんな手法・メディアがコンセプトの統一なしに行われても意味がない。集団作業でチームで取組むからこそ、コンセプトの共有が欠かせなくなるだろう。目標や戦略をチームでどう共有するかが問われる。

そこにはCDはいらなくなる。必要なのは、大きな意味のプロデューサーなんじゃないかな?

プロデューサーが大事。それは必ずしも職種としてのプロデューサーに限定することでもない。いままでCMプランナーだったりコピーライターだったりアートディレクターだったりする人が、プロデュース感覚をもって仕事を進めるってことかもしれない。

えーっと・・・言ってること、わかってもらえる?・・・

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