【メディアコンテンツ業界への警鐘】流動化と職人気質

ぼくはこの国の”家業礼賛”って感じがまずいんじゃないかと思ってるんだ。

そんな家業だなんて、私は別に家業を継いでなんかないよ。みんな、そう言うかもしれない。

”家業”は大袈裟かもしれないね。でもさ、なんか”職人気質”みたいなムードがない?日本のいろんな産業に。”これ一筋三十年”みたいな。”家業”になってないまでも、そういう”これ一筋”はえらい!っていう空気がずっと漂ってる気がする。

“職人気質”と言うと”畳職人”みたいな伝統産業の家内制工業の話みたいだけど、製造業にも”職人気質”は漂っている。”自動車組立て一筋三十年”とかさ。おめえ、ドアの組込みやろうなんて10年早いわ!みたいな。

それから、メディアコンテンツ業界にも”職人気質”はある。映画とか典型だし、CMや番組制作でも、グラフィックデザインでも。WEB制作だってあと10年ぐらいしたら、”エンコード一筋三十年”みたいな人が出てくるんじゃないか。

ぼくは(かなり敢えて言うんだけど)そういう”職人気質礼賛”みたいなムードはこれから良くないと思うんだ。

本来、人間はもっと流動的であるべきじゃないかと。その方が自然なんじゃないかと。○○一筋うん十年、が主流だったこの国の戦後はちとイビツだったんじゃないかと。そう思うんだ。

そのイビツさは、この国の制度や精神が”固定的”を重視する方向でできていてからなんだと思う。”流動的”を否定するシステムができあがっていたんだ。ぼくはそう捉えているの。

典型的なのが、雇用制度だ。解雇についてこんなに厳しいのはヘンだと思う。おっと、誤解されそうだな。解雇しやすい方がいい、と言っているのだけど、だからって経営の論理を一方的に言っているわけではない。解雇しやすく、転職しやすい、そういう世の中の方が、結果的には働く側にとっていい、と思っているんだ。

いまはかなり変わってきたけど、ちょっと前までは”転職”ってなんとなーくイケナイこと、ってムードがなかった?会社をどんどん移る人はなんというか、ふしだらだ、みたいな。名のある大企業でずーっと働くことが人生の成功、みたいな、ムードが確かにあった。

いまでも、転職は大歓迎ってわけではないだろう。さらにいまは派遣切りが話題になり、正社員がいちばんだ、非正規社員は不幸だ、ってムードも出てきた。これはいままでよりさらに、不気味だとぼくは思う。

もっと流動的でいこうよ。突然、会社変わってもいいじゃん。職種変わったってかまわないじゃん。昨日までとぜーんぜんちがう会社でちがうことやれたら、面白いじゃん。もちろん、それまでの経験が生きる方がいいけどね。

ほんとの自由ってそういうことなんじゃないかと、ぼくは思う。一生、おんなじことやらないと生きられない社会って、へんてこりんじゃない?息苦しくない?

そんなことない?

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コメント

  1. いつも興味深く読ませていただいています。制作会社で経営企画室長をされているということですが、やはり自分のところの社員の方々は、日々室長と同じ思いを共有されて頑張っていらっしゃるのでしょうね。うらやましいです。

  2. Unknownさん、こんにちは。コメントどうもです。プロフィールを変更しそこねてましたが、経営企画だったのが、営業企画に変わりました。そういう部署をつくったのですね。同じ思いを共有しているのかは・・・わかんないっす。でも半分ぐらい社員の連中を意識して書いてます。みんなどれくらい読んでるのかなあ・・・

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