【メディアコンテンツ業界への警鐘】成長のキーワードは”流動化”

弱い産業を守るのが官僚だ。確かに、行政にはそういう役割もある。でも、”いまこの時代に”そんな主張の主人公を登場させるのはどうかな?

いま、日本全体が”弱い人たち”になっちゃってる。今度の選挙での民主党の圧勝も”鳩山さんの方が弱い我々を守ってくれそうだ”という票が多分に支えたのかもしれない。でも、どいつもこいつも”わしらこそが弱者なんじゃ”と言って救いの手を待ってばかりじゃ、何にもならんのよ。

強者がいっぱいいる中で少数派の弱者がいるなら、守った方がいいかもしれない。でも、一億3千万人みんなが”わしこそ弱者じゃ”と主張しあっていて、その全部を救おうとしたら、借金が膨らむだけだ。解決を先延ばしにして、後世に、つまりぼくらの子供たちにツケを背負わせるだけだ。気がついたら”一億総貧乏”になっちゃうんだ。

その解決策のひとつが、前回書いた”再編”だ。

弱いとこから、これから強くなりそうな方へ、人と資本を移動させる。

つまり、流動化が大事だ。

ところが、この国は三十年くらい流動化を拒否してきた。あらゆる制度と精神性が物事を流動させない方向で固まっていた。

もっと言えば、三十年どころか、60年間ぐらい”流動させない”制度と精神でやってきたんだ。これを流動化させるのは並大抵じゃないね。

そう言うと、だいたいの人は、”そりゃいかんね、もっと流動化させないとね”と総論賛成なことを言う。ところが、その矛先を自身に向けると”あ、いや、私のところはね、そんな簡単じゃないんじゃよ”と各論反対な態度をとる。

私んとこはね、流動化は無理じゃよ。それにね、いままでこれでうまくいってきたしね。私なんざこれで三十年間やってきて、何の問題もなかったんじゃ。私の後輩や弟子たちにも同じやり方をずっと教えてきた。それでうまくいっとる。それを変えるなんざ無理だ。変えるなら、他をあたってくれ。そんなことを言いだす。

流動化を果たせなかった部分は、こうしてただダメになっていくんだよ。

前回の”再編”の話とつなげるとね。例えば、大きな部署移動とか、部門再編とか、会社の中で考えなきゃ。で、いままでずーっと同じことやって来た人ひとりひとりに考え直させなきゃ。あるいは、いままで採用したことのないタイプの人材を思い切って雇うとかね。しかも何十人も雇うとか。

さらに、ひょっとしたら、会社の名前が変わったり、社長がちがう人になるのも覚悟して、どっかとくっつくとかね。それぐらい流動させないと。

あ、その時には、同業者ってことからどれだけ離れられるかも大事。”規模”も大事だけど、それだけじゃ乗り切れないのがこの時代だ。全然ちがう業態とくっついて、それでどんな相乗効果が得られるか。そこを考えなきゃ。それによって、現業のままでは得られない利益が得られるかもしれない。そんな風に捉えなきゃ。

その時に、いちいち”わしらのやり方”にこだわってると、置いてかれるぞ。”わしら”の村を出るのじゃよ。そんな覚悟があれば、海が割れて道ができたりするからさ。

あなた、そんな、覚悟ある?

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