ある経済学者がよく言っていることがある。日本の会社は現場は優秀である。だが経営陣がダメだ。戦略を示せない。そこが問題だと。でも、現場が優秀なら捨てたもんじゃないよ、と。
だから、まあ、各現場で戦略戦術を固めてがんばるのが基本ではある。
ところがやはり、現場レベルでの戦略には限界もあり、会社全体としての指針は出して欲しいと感じることは多いだろう。
これには対策があるにはある。ちと面倒だけど、各現場の戦略を持ち寄り、現場同士で組織全体の戦略を決めてしまうのだ。
時間はかかる。手間もかかる。ただ、どの道、経営陣には戦略立案能力も、それを上から下へ降ろしていくノウハウもない。むしろ、現場同士で話し合ったらこうすべきとなりました、と言ってあげた方が結果的には早い。”そうなのか、現場でそんな声がまとまったか、いいんじゃないかな”と、わりと簡単に認めてくれるだろう。あの人たちは、現場出身で、現場を大事にする(だから経営が苦手)から、現場でこうしたいと言っている、というのは効くのだ。
この場合、現場同士の声に食い違いが出てくることもある。本来なら、それを調整してAかBかを選択する決断を上がすべきなのだが、なにしろこの国の組織の上層部はそんな合理的なことができない。
政党のマニフェストがいろんな方向の政策をごった煮になってしまっていることに顕著に表れている、でしょ?そんな高級なことは政治でも会社でもできないのだ。そこは諦めるしかない。
諦めてしまえば、なんてことはない。諦めて、自分たちで結論を出そうという気持ちで議論すれば、決断はできるのだ。
これはほんとに、実体験に基づく”知恵”なのよ。考えようによっては、ものすごく大事な決断をミドル同士の集まりで決められるのだから、組織を動かす醍醐味もあるってもんだ。
もちろん、それを”公式決定”にするには、ミドルの中でも上層部への発言力があるお兄ちゃんがうまく上にあげてくれる必要があるけどね。そういう、現場をまとめられるお兄ちゃんなら、上層部へもうまく言えるはずだ。
そうやって、えっちらおっちら、会社を少しずつ変えていくの。そして上層部が”あれ?最近この会社、変わった?”とある日気づくようになる。それがこの国のパラダイムシフトの実際なんだ。
まちがっても、上層部に”不平不満”をぶつけてはいけないよ。あのおじさんたちは、わからないからさ・・・
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