日経広告研究所の予測値の前に、電通さんのサイトに載っている売上推移のグラフを見てみよう。
ひと目でわかったと思うけど、2010/3期の数字、つまり今期の青いグラフだけがそれまでと明らかに水準が下がっている。大まかに言って月200億ぐらい売上水準が減少している。
200億って数字で書くとなかなかピンと来ないかもしれないけど、年間売上げ200億の立派な会社なんていっぱいある。立派な会社一社分の数字が毎月失せているわけだ。実際、このところ電通の売上げは前年比80%代前半だ。毎月2割近く、去年より売上が少ない。
さて話を日経広告研究所の予測値に戻そう。
マス広告費は今期、前年比15.1%減少するという。内訳は、新聞21.3%減、雑誌23.3%減、テレビ12.3%減、ラジオ13.9%減。
同研究所は今年の初めにも09年度の広告費を予測している。全然話がちがうじゃないか!
最新の予測をもとに、グラフを作ってみたよ。それが上のグラフだ。
上から、テレビ広告費、ラジオ広告費、雑誌広告費、新聞広告費、インターネット広告費、最後のブルーはプロモーション費だ。
2007年と2008年の数字は電通発表の実績値。予測じゃなくて”事実”。電通の発表値が年度じゃなくて暦年なので、予測値も日経広告研究所の年度の予測値を暦年に調整しているつもり。
ぼくはこのブログで、去年の今ごろから”まずいよまずいよ”と言ってきた。そして去年の後半からはほんとにまずいことになってきた。
だがこのグラフを見て、さらに”まずい”ことになっているとわかった。去年の11月24付けの記事でも似たグラフを載せているので比べてもらうといい。危機の水準がまったく変わっている。
例えばテレビ広告費は07年から08年にかけて980億減少。でも今年はさらに2000億以上減少する。雑誌広告なんか、去年の4000億から今年は3000億に、つまり4分の3になっちゃう。新聞広告費も2000億近く減少。そしてインターネット広告費はこれらを補ってと言うほどは増えない。
いいすか?これは普通に考えると”おしまいっすよ”という状況なんだ。努力や根性で乗り越えられるレベルじゃないの。今まで以上にまじめに目一杯がんばってたって、ダメなんだよ。
それから、もしこれが”日本メディアコンテンツ株式会社”というひとつの会社だったとしたら。事業性が弱い部分をたたもう、となる。中途半端な部署ほどリストラ、ってことになる。つまりは、中途半端な事業性でやって来た会社は、たたまなきゃいけないってわけ。
さらに言えば、そのメディアコンテンツ株式会社の重要な商品はコンテンツの作り手、つまりクリエイターの会社のはずだけど、そういう会社ほど、事業性が心もとない。これはおかしなことだけど、そうなんだ。
だったらどうする?パラダイムシフトしなきゃ。すごいスピードでシフトしなきゃ。
そうしないと、みんな、生き残れないよ。ほんとうだよ。
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