クリエイティブも陥落?〜メディア事変その48〜

前回ぼくが書いた中に”1社平均30億のタイム枠を100社が削ると、3000億円のマイナスになる”という箇所があったでしょ。

あとで読み直して、さすがに乱暴な試算だったかなあと思った。3000億円って、さすがにそんなことにはならないでしょ。そこまでじゃないっしょ。

東洋経済の記事の中に”広告宣伝費トップ100”という表があった。日本の企業の有価証券報告書をチェックして、前年度の広告宣伝費に多く費用を使っている順に企業を並べたもの。当然、トヨタがトップで、連結ベースだと(つまりトヨタグループ全体だと)4845億円の広告宣伝費を使っている。さすがだね。(トヨタは宣伝費を1000億円使っているとよく言われるけど、あれは単体だということかな?)

そのトヨタが広告宣伝費を半分に削減するという噂がある。記事の中で、大手新聞役員のコメントとして”09年度は半分に減らすと聞いている”という部分が出てくるのね。

仮にホントだとしたら、4845億円の半分、つまり2400億円が広告業界から失われる。

どっひゃー!

さらに、その広告宣伝費トップ100の企業を見ていくと、100位の日本ハムで118億円とある。

118億円も使っていれば、30億ぐらい減らすかもしれない。だって”100年に一度”だからね。

この国で広告宣伝費をたくさん使う企業は100社では済まないだろう。

うーん、そうすると100社が平均30億円ぐらい広告宣伝費を減らす、つまり3000億円が広告業界から失われるという試算は全然乱暴じゃないし、もっともっともっといろんな企業がとにかくひたすら削減するんだろう。

電通と博報堂、大広、読広、ADKの大手代理店の売上を足すとざっくり言って3兆円だ。(これはそれぞれ”単体”の数字、つまり純粋に広告代理業の売上ね)

このうちADKを除く4社の4月から12月までの売上高が前年と比べていくら減ったかを調べてみたら、1100億円程度だった。(ADKは12月の売上高を発表してないもんで4社で調べたわけ)

大手代理店の売上が3Qまでで1000億円減っただけで、業界に嵐が吹き荒れている。

もし来期、さらに3000億円じゃ済まない宣伝費の削減が行われたとしたら・・・

嵐どころの騒ぎじゃないぞ。広告業界、メディア業界をカトリーヌ級の巨大ハリケーンが襲うんだ。しかも一年間ずーっとハリケーンの雨風に見舞われる。

ニューオーリンズが壊滅的な打撃を受け、家を失った人びとが路頭に迷ったように、ギョーカイが壊滅するのかもしれない。

クリエイターは嵐が通り過ぎるまで持ちこたえよう、次の準備にこっそりいそしもう。ぼくはそうこのブログで書いてきた。

そんな考えは甘っちょろいのかもしれない。

テレビ新聞というマスメディアが”陥落”すると、やっぱりクリエイターも一緒に陥落するのかもしれない。

持ちこたえるんじゃなく、一回死んで生き返れるか、ということなのかもしれない。

あれ?暗い?暗すぎる?・・・

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