テレビ局は”配信システム”になっていく〜メディア事変その39〜

例えばテレビ東京。中間決算の数字は前に表で見せたよね。決算短信の奥にはもっと細かな情報が書かれている。”放送事業”の売上高が503億円とある。テレビ局はいろんな事業をやっているけど、その中のコア事業である放送事業の収入が半期で約500億円だってこと。

そしてその営業利益は42百万円だった。・・・おいおい、ちょっと待て。売上が500億もあるのに利益が42百万だって?

スポット収入が10%減っただけで、利益が薄ーくなっちゃったってわけ。

ちなみに去年の中間期は営業利益が18億あった。その前の年は23億。

それがこの中間期は42百万円。

突然、儲からない事業になったんだ。

さてこの営業利益を、売上が増えない中でもう一度増やすにはどうしたらいいだろう?

販管費を減らすのがひとつだね。でも、販管費は減らしにくい。人件費を減らすしかない。

いやもうひとつは売上原価を減らすことだ。テレビ局の売上原価は番組制作費だ。

というわけで、テレビ局は人件費と番組制作費を減らしはじめるだろう。

人件費のことはナマナマしいから置いといて、番組制作費をどう減らすか。出演料を減らすつまりタレントや役者のレベルを下げる。美術費などを減らす。うわーそうすると番組のクオリティが下がっていきそうだぞ。

そこで!

番組のクオリティを保ちつつ、制作費を減らすのは難しいなら、制作費を他の人から調達すればいい!

つまりね。テレビ局はいままで、自分たちで制作費に投資してきた。いままでは、儲かってたからそれができた。でもそれができなくなってきたなら、誰かと組んで制作費を出し合えばいい。

考えてみれば映画ってそうやってつくってる。というか、映画産業が斜陽化した時、映画会社は制作機能を減らして外部を頼るようになった。

同じことが、テレビ産業でも起こるんだ。

あるテレビドラマを、いくつかの会社と組んで制作費を調達し、放送してスポンサーをつけて広告収入を得る。ドラマの2次使用や関連グッズ販売で制作費を出してくれた他の人びとに還元する。そういうことが普通になる。

前回の最後に書いた”メディアが解放される”ってのは、このことなんだ。

これは、ちょっと革命だよん。

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