NHKチャイナパワー電影革命のショック〜日本映画産業論その0〜

番組を見て驚いた。中国は国策として文化産業を奨励しはじめたのだそうだ。その動きに添って、中国映画人たちが北京に集結している。製作費25億円の大作が製作されているというのだ。

ほんの少し前まで、中国は映画市場になるかという話になると、あんなとこ入場料も安いし海賊版が出まわるし、出て行っても損するだけだ。そんなことをみんな言っていた。きっとこの番組を見てみんな考えを変えたにちがいない。しまった!出遅れちまった!

中国が映画に本気になったら、世界が巻き込まれるかもしれない。

まず香港映画の存在がある。香港はジャッキー・チェンだジョン・ウーだと、世界的な映画人を育てた。そして彼らは世界市場に旅立った。具体的にはハリウッドに進出した。そこで大作の資金集めだ世界市場の人脈づくりだマーケティングだと、いろいろ学んだ。そんな人材がこぞって北京に集まっている。彼らのノウハウは大きい。世界を相手にできる経験値を積んできたのだから。中国映画が世界を席巻する土壌を、香港がつくってきたのだ。

中国映画が世界を相手にできるのは、各国に散った華僑の存在も大きいだろう。中国文化を題材にした作品を、受け入れる土壌が各地にあるのだ。少なくとも、アジア圏を制覇するのは他の国よりたやすいのではないか。

そして何と言っても13億という人口。そのうちの3分の1が中産階級となって映画館に通いはじめたらどえらいことになる。3分の1で3億人強だ。

産業の興隆を考える上で、人口の要素は大きい。

実は、日本の強さにとっても人口は大きな要素だった。ぼくたちは日本について、東洋の外れの小国だ、という認識を持ちがちだ。だが1億2千万人というのは、人口で言えば大国だったのだ。中国=13億、インド=11億、アメリカ=3億、インドネシア=2億強、ブラジル=2億弱。パキスタン、バングラディシュ、ナイジェリア、ロシアときて10番目が日本だ。人口が多い国の大半がこれまでの発展途上国だった。イギリスやフランス、イタリアが6千万、ドイツが8千万。

日本が世界第二のGDPだってのも、人口が多いってことが大きい。もっとも、今年中に中国に抜かれるらしいけどね。

この人口の問題はメディアコンテンツ産業について考える上でもすごく大きいので、覚えておいてちょうだいな。

話を戻そう。中国が経済成長を果たし、文化産業を国策として力を入れはじめた。13億人の何割かが映画館によく行くようになったらほんとにどえらいことだ。まず国内市場だけで世界最大になっちゃうかもしれないのだ。そしてその上、先に書いたように国の後押しと華僑ネットワークでアジアにぐいぐい手を広げていったら。ハリウッドもたじたじの存在になる可能性が大いにあるじゃないか。

ということで、これからしばらく、メディアコンテンツ業界の中の、日本の映画産業に絞って書き進めよう。日本映画は今後どうなるのか。いやその前に、どうして日本映画はいまのような状態になったのか。そこには、日本のメディアコンテンツ産業が独特の進化を遂げてしまったプロセスも隠されている。

実は、日本のコンテンツ産業は相当イビツであり、その原因は映画界とテレビ界の関係にあるんだよ・・・これ、なかなか語れる人間いないからね・・・

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