『アバター』を日本が追いかける方法〜日本映画産業論その7〜

『アバター』には日本の映画界は追いつけない、と前に書いた。それはホントにそうだ。市場の問題、収益配分の問題。日本映画界の現状を突き合わせると、あー無理だー!と打ちのめされるしかない。

そうやって、一度希望を捨てよう。もうダメだー、と心底落ち込んじゃおう。

それでも、やはり希望を見出したいかい、お前ら?

イエー!

この国のコンテンツ業界の希望を探したいのかい、エブリバディ?

イエー!

よーしじゃあ、新しい希望について考えてみようじゃないか!

日本映画は市場が小さい。収益モデルも作り手に不利。

だったらそこをちがう考え方にしていけばいいのさ。

市場が小さいって?だったら大きくすればいいのさ。ということはつまり、世界市場に打って出るんだ。

収益モデルが不利?だったら有利にしていけばいい。ということはようするに、資金集めを自分たちでやるってことだ。

世界市場に打って出る。これには二通りが考えられる。ひとつは言うまでもなく、アメリカでの興行をする方向。なんと言っても世界一の市場、日本の5倍のマーケット。しかも、アメリカで興業が成功すれば、世界中で成功することにつながる。リターンがいちばん大きそうだ。

もうひとつの方向、そしてこれこそ考えるべきなのが、中国市場だ。アメリカは人口3億で世界一の市場。中国は13億人だ。そのうちの3分の1が映画市場の対象になったら、アメリカ以上の市場になる可能性は限りなく100%だ。どうやら去年はGDPで日本を抜いて世界第2位になるらしいし、映画市場の成長はまちがいないだろう。それに、中国を起点にアジア全土に拡大するかもしれない。アジアは21世紀の成長市場だ。アメリカを核に欧米市場を狙うより、中国を軸にアジア市場を狙う方が今後はいいのかもしれない。

さて、アメリカを狙うにしろ、中国を狙うにしろ、ポイントは最初から、企画の段階から向こうと組むこと。これをやらないと、絶対に海外での興行なんか成功しない。

日本の自動車産業や電機メーカーが海外に進出できたのは、向こうに駐在員を置いたり現地で人を雇ったり、また現地の企業と組んだりして彼の地の市場をふまえた製品づくりを行ったからだろう。またそれをあまりやらなかったケータイ端末ではガラパゴス化した。日本のコンテンツ界もガラパゴスだ。だって市場を知ろうとしてないんだもん。

アメリカの消費者はどんな日本映画を観たいのか?中国の中産階級は、日本と中国合作の映画って言われて何を望むか?そんなことを考えないといけないんだ。

収益モデルを変えることだって、ちゃんと考えて動けば可能だ。我々コンテンツ業界の最大の欠点は、大きなメディアから大きなお金をもらって制作することに慣れきってしまっていることだ。お金を準備するのは、そういう大企業の人たちなんでしょ?ぼくたちはそういう計算とかが苦手だからこういう業界にいるわけでしょ?

もう、そういう感覚は捨てよう。自分たちの頭でファイナンスのことも考えて、金融機関の人たちともちゃんと話せる姿勢を持って、事業としてコンテンツ企画をとらえるの。儲かる可能性があるのなら、お金の出し手は必ず出てくる。あとは、出し手と自分たちとでどう収益を分け合うか。きちんと交渉して決めればいい。

世界市場に出るのだから、配給側、興行側ともちゃんと交渉する。そうすれば、アメリカのように興行収入からのパーセンテージも獲得できるかもしれない。最初が無理だったとしても、次から、次の次から、有利な契約ができるかもしれない。

端的にまとめると、「世界とお金に強くなる」。これが、ぼくたちの新しい希望のキーワードだ。

オウケイ!じゃあ行こうぜ!3年間ぐらいかかるけどな!

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