漫画で話題になっていた『進撃の巨人』のアニメ版がこの週末からテレビ放送を開始した。
ほおほお、どの局で?うん、東京に住んでる人はねえ、MXTVで観れるよ。あの独立U局ね。
・・・独立U局って何だっけ?・・・
日本のテレビ局は基本的に、在京キー局とネットワークを組んでいる。日テレなり、フジテレビなりの番組を各地域で放送する。場合によっては、2つのネットワークの番組を混在させて流す局もある。そんな例外もありつつ、日本のテレビ放送はキー局を軸に同じ番組を全国で流せますよ、という仕組みを売りにしてきた。誰に売るかというと、スポンサーだ。CMを打ちたい企業はだいたいは全国で流したい。そこでネットワークを組むことで、そのニーズに応えてきたのが日本の商業放送システムだ。
そのネットワークに属さないテレビ局がいくつか存在する。そういう局はUHF電波を使うので、ネットワークから独立しているUHF放送局、つまりは独立U局と呼ばれるわけだ。
東京に住んでいると、都内向けのU局MXTV以外にも事実上、TVK(神奈川放送)、テレビ埼玉、テレビ千葉などいくつかの独立U局が視聴可能だ。我が家は地上波をケーブルテレビ経由で受信していて、上記U局もだいたい送信してくれているので観ることができる。
そんなわけで、『進撃の巨人』もちゃんと視聴できた。原作の面白さ、荒々しさ、そして残虐さを損なわずに制作できており、かなりの迫力だった。人間が巨人に食われるシーンを原作通りちゃんと描いていた。怖いなあ。でも面白いなあ。
ところでこの『進撃の巨人』。放送するテレビ局を並べてみると面白い。公式サイトにある「放送情報」を見てみよう。
最初のMBSとは毎日放送のことで、大阪キー局だ。このテレビ局はアニメ番組での先験的な事例が多い。『タイガー&バニー』も、MBSが放送し、それをまたいくつかの独立U局が放送していた。
そしてTOKYO MX。これが東京の独立U局だ。つまり『タイバニ』パターンなのだなと思ったら、よくよく見ると他の放送局はU局ではなかった。テレビ愛知はテレビ東京系列だし、福岡放送は日テレ系、北海道テレビはテレビ朝日系、テレビ大分はまた日テレ系列だ。そしてBS11にニコニコ動画の名前まで並んでいる。
独立U局だけでネットワークを組むことも増えてきていたが、民放がネットワーク系列と無関係に、独自の判断で放送するのだ。これにはちょっと驚いた。でもきっと、これからは”有り”なんだろうなあ。
『進撃の巨人』はアニメファンだけでなく注目度の高い漫画なので、ひょっとしたら人気が過熱していくかもしれない。そうなったら、MXTVがテレビ局としての存在感をぐいっと増すんじゃないだろうか。ただでさえこのところ、”アニメのMX”と言われはじめている。そこには何か、新しいテレビ局としての可能性を感じてしまう。視聴率的に存在感を高めていくこともあり得るのだ。地デジ化で変化は何も起こらなかったように見えていたが、U局の浮上はメディアマップに変革をもたらしはじめている。時間がかかるのだ。もう少しすると、はっきりした変化が巻き起こるんじゃないだろうか。
関連記事