普通じゃないから、アタラシイ方を選ぼう

Tくんとは10年ほど前に知りあった。メーリングリストが縁だったと思う。当時彼はまだ学生で、コピーライターになりたいんです!と熱く語っていた。でもぼくは彼に素っ気なく言った。「やめた方がいいって。コピーライターなんてこの先いらなくなるんだから」

だけど彼はコピーライターになった。それなりの会社に入り、それなりのステップを踏んで、なかなかの外資系代理店に入った。

少し前、彼が相談にきた。「会社から、もう契約しないと言われました」

うーん・・・だから言ったじゃないか・・・

業界全体で、人がいらなくなってるんだ。代理店で、人がいらなくなってるんだ。広告クリエイティブで、人がいらなくなってるんだ。そして・・・コピーライターが、いらなくなってるんだぜ・・・

ぼくのこれからの動きでなんとかできないかとも考えたけど、人の人生を背負える状態でもない。とにかくアドバイスとして、ソーシャルメディアでの仕事を考えた方がいいと伝えた。ずいぶん大ざっぱなアドバイスだなあ。

だがTくんは自らの道を、自ら見いだした。

ゲーム界の精鋭が集まるベンチャーに参加して、プロモーションを担当することになりました!と電話してきたのだ。ソーシャルメディアを中心にしたコミュニケーションをやってほしい、とのことで、と。

実は、他の代理店からの打診もあったのだそうだ。でもそっちは選ばなかった。これまでと同じ道は選ばない方がいい、と考えたのだそうだ。

他の代理店を選んだ方が、「コピーライター」でいられるし、これまでの経験値がそのまま生かせるし、会社としても大きいし、いいはずだ。普通なら代理店を選ぶだろう。

だがTくんは、別の道を選んだ。学生時代、あれほどなりたかったコピーライターをあっさりやめた。そして不安定な方を選んだ。

あれ?そう言えば、つい最近、すごく似た話があったぞ・・・

似ているのは、大手代理店女子のYさんのことだった。ある人に会わせてやるよ、ってんで、久しぶりに会ったら、いきなり「ご報告があるんです」と切り出した。「実はこのあと、上司に辞めるっていうんです」「ええええ?!何すんの?」「ベンチャーのスタートアップに参加するんです」「ほおーっ!」

彼女はつい最近、話題になった仕事ができたとほくほく喜んでいたのだが。でもやはり、見えないけど、未来があるかもしれない方へ行ってみたいと思ったのだそうだ。普通なら、いまの会社は辞めないだろう。

ということはつまり、いまは普通じゃないんだな。

テレビ局を辞めた友人もいる。

テレビ局は辞める会社ではないはずだ。飛び抜けて給料のいい業態で、マスコミの中でももっともパワーがあって華やかなのがテレビ局だ。業界の頂点だ。普通なら、辞めない。でも、彼は辞めたのだ。

普通なら辞めないよな。

あ、そうか、つまり、いまは普通じゃないんだよ、やっぱりさ。

普通じゃないから、普通は選ばない方を選ぶんだね。アタラシイ方を選ぶんだ。そういうことだ。

ただハラハラしちゃうのは、三人がそれぞれ「クリエイティブビジネス論を読んでいると・・・」「こないだの境塾でそうだ!って思って・・・」「境さんと話していると・・・」なんてことを言う。ちょっと待てよ!ぼくの影響だって言うのかよ?!

いやー、ちがうな。それは影響ではないな。きっかけにすぎないな・・・だってみんなもう決めてるんだよ。アタラシイ方を選ぼうって、決めているんだ。

だってアタラシイ方角を見つめていると、ワクワクしてくるからさ。未来って、見えないと不安だけど、見えちゃうと、つまんないもんね・・・

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