きずなとメディアと原発と、不安なおれ

メディアと日本人——変わりゆく日常 (岩波新書)
橋元良明
岩波書店

今日は本の紹介から。『メディアと日本人ー変わりゆく日常』(岩波新書:橋元良明)という。ほんとにタイトル通りで、95年から5年ごとに2010年まで行ってきたメディアに関する調査データをもとに、日本人とメディアの関わりを解説している。メディアについてきちんと調査をし、人々との関わりを、主に世代別に語っていて、地味ながらいろいろと参考になる本だ。ぼくはしばらく持ち歩いて、一度読んだ箇所を読み直したりしてみようと思っている。

さてその中に、”デジタルネイティブ”に関する分析と考察の箇所がある。メディアの嗜好と、人とのつきあい方に相関関係があるようなデータの抽出も行っている。若者は、「人と一緒にいるのが好き」であり「いつも知人や友人とつながっているという感覚が好き」なのだそうだ。そしてこの傾向は、PCメインのユーザーより、ケータイメインのユーザーの方が強いのだそうだ。つまり、つながっていたいから、ケータイでmixiにアクセスするのだろう。

「つながっていたい」のは若者じゃなくても、人間はみんなそうだろう。メディアに関する分析の本の中で「きずな」の調査が出てくるのは面白いと思った。メディアとは、情報収集や娯楽摂取の機能以外に、「きずな」を保つ役割もあるのだ。ソーシャルメディアはまさにその両方を持っている。「つながっていたい」のは、人間は孤独では生きていけないからであり、不安な時ほど「きずな」を確認したくなる。

ぼくだってそうだ。いまは、この上になく不安だ。人生でこれほど不安を感じたことはなかっただろう。

地震の後のこのブログを読み返して、少し情けなくなったのだけど、最初の頃はなんとお気楽だったのだろう。マスメディアとソーシャルメディアが助け合い連携しあっている様子を単純に喜んでいる。この大災害のほんとうのしんどさが、ちっともわかってなかったのだ。

原発に対する感覚も、そうだ。正直に書くが、ぼくはもともと「原発は仕方ないんじゃない?問題あるけど、必要なんじゃない?」と肯定的な気持ちでいた。そして福島原発の事故についても最初の頃は、他人事だった。なんか、大変そうだなあ、これで反原発の人たちが活気づくんだろうなあ。そんな感覚でしかなかった。

実際、最初の頃のソーシャル上での”識者”の意見も、「騒ぎ過ぎてはいけないよ」というものが多かったと思う。

でも3週間経っても解決しない。それどころか、事態は悪くなっている。どうやら、制御不能らしいとわかってきた。制御不能?なんだそれは?さらに”もんじゅ”でも少し前に大変な事態が起こっていたらしい。手のつけようがないと言う。どういうことだ?

それでもなお、リスクはクルマの方が大きいし死人だって毎年でてるが、原発はまだ人が死んでいない、という主張の人もいる。だけど、そういう問題じゃないと思う。災厄をまき散らしているじゃないか。そして、止められないじゃないか。水を注入したり、コンクリートで固めたり、いろんな作戦で解決できない。

こんなにどうしようもない状態になっていて、いつどうやったら解決できるかわからない。そんな技術を使っていていいはずはないよ。

そうなんだ。ぼくはまったく無責任だった。原発も必要なんじゃないの?と言いつつ、それが福島だの福井だの、自分から遠い場所に建設されているのは、なんとも思ってなかった。東北で、関東の電力がつくられているのは、なんとなく知っていたのに、そこに何の問題意識も持っていなかった。なんていい加減な人間なんだ、おれは・・・

この夏も、まだ電力不足はつづくようだ。その不足分は、95年当時の電力使用に戻せば大丈夫、ということだと聞いた。偶然だが、『メディアと日本人』の調査とリンクする。それがそのまま電力増につながったかはわからないが、メディアの使い方は95年からの15年ですごい勢いで変化した。何と言っても、ケータイやインターネットが普通に使えるようになったのがこの15年だ。80年ー95年の15年間と、95年ー2010年の15年間とでは、メディアの変化度合いがまったくちがう。それくらいこの15年間は日本のメディア構造が変わった。

さて一方で、GDPはこの15年間でどうだったのか。少なくとも、名目GDPは増えていない。かえって減っている。

ちなみに80年からの15年間で名目GDPはほぼ、倍になっている。

この15年間で、ぼくたちはエアコンをガンガンかけるようになり、ネットとケータイを始終使いまくり、地下鉄の網の目をさらに増やした。コンビニもスーパーも、いやあらゆる電気がさらに明るく夜を照らすようになったのだろう。

15年間、時計を巻き戻してもいいのかもしれない。少なくともそれでもGDPは減らない。ちっとも豊かになってないのに、ばかみたいに電気を使うようになったこの15年間。そのために、制御できない技術を使い倒してきたこの15年間。いったいぼくたちは、何をやって来たんだろう・・・

あ、今日もまた暗い話でごめんね・・・

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