NHK『灼熱アジア』コンテンツ業界にとっても他人事じゃない!

今日のお話はiPadとは直接的には関係ない。でも”クリエイティブビジネス論”らしい話題だよ。

この日曜日の夜、NHKスペシャルで『灼熱アジア』という番組をやっていた。みなさん、見た?NHKスペシャルでは中国、アフリカと新興国をテーマにその最新のレポートを番組にしてくれてすごく勉強になっている。そして今回は”アジア”をテーマにした第1回だったわけ。

どんな内容だったかについてはこのサイトにだいたい書いてあるし、なんだったらNHKオンデマンドで有料で見てもいいと思う。有料で見る価値はあると思うよ。

NHKオンデマンドについては前に視聴しようとして散々な目に遭ったことを悪く書いたけど、あのあとリニューアルされてグッと見やすくなっているよ。何と言っても、Macでも視聴できる!

『灼熱アジア』第1回はタイの取材。おぼろげにしか知らなかったけど、タイはいま、製造業が盛んになっていて、日本企業も工場進出をしている。そんな中、技術力も急激に伸びていて、中にはビッグな企業に成長した会社もある。そして日本の中小企業を買収したりなんてことも起こっているそうだ。うーん、びっくり。すごいエネルギー。

どうして買収したかと言えば、日本の製造業の技術が欲しかったから。番組では、買収された日本の会社の技術者たちが、タイに技術を教えにやって来たところが描かれていた。買収はされたけど、自分たちの技術を教える新たなミッションに燃える日本人たち。がんばれー!と応援したくなっちゃったよ。

さて番組で描かれたのは、製造業だった。これは他人事だろうか?メディアコンテンツ業界には関係ないこと?

そんなことない!メディアコンテンツ業界にだって起こりえることだ。起こりはじめていることかもしれないよ!

ずいぶん前に、やはりNHKスペシャルの『チャイナパワー』と題した番組について書いた。その第1回が中国で急激に伸びはじめた映画産業についてだった。

映画に限らず、中国ではクリエイティブ産業がすごい勢いで勃興しはじめている。とくにアニメやCGはぐいぐい伸びている、らしいんだ。

例えばハリウッドのCG映像作品では、中国に下請け発注されることがフツーに行われているそうだ。もはや、中国のCG制作のレベルは、ハリウッドのオーダーに応えられるレベルにまで上がっているらしい。

もちろん日本の方がまだまだレベルは高いだろう。でも、日本は高い。英語も通じない。プライドも高いから四の五の言う。だったら、レベルが上がってきた中国の方が頼みやすいし、価格も安いし、グッドね〜、ということらしいんだ。

オーマイガッ!コンテンツ業界でもガラパゴス化はとっくにはじまっているってことかよ!

CGとアニメと書いた。つまり、それらはデジタル技術を使うものだ。そこがポイント。技術そのものはPCとアプリケーションがあれば、数年で修得できるだろう。何しろ、中国は明確に国策としてクリエイティブ産業を押し出している。税制面での優遇もある。そして拠点をいくつか決めて、人を大勢集める。何千人のレベルじゃない。何十万人も集めるんだ。

何十万人もの若者が集まって、PCでCGやアニメを制作する技術を学んでいる。トキワ荘の何万倍もの規模でCGやアニメのクリエイターたちが要請されているわけだ。そりゃぐいぐい成長するだろう。

製造業の主戦場が、”世界の工場”と言われた中国から、タイをはじめアジア全域に広がりはじめているように、コンテンツ産業も中国だけでなくタイだのベトナムだのインドネシアだのにも広がっていくのかもしれない。アジア中でトキワ荘の若者たちが新しい表現に青春を費やすことになるのだろうか。

そうなったら、いったい日本の立場はどうなっちゃうの?

日本の立場は、まだ、あるはずだ。クリエイティブ先進国として、誇れる実績があるはずだ。だって、クリエイティビティと技術は表裏一体ではあるけれど、でも技術は技術でしかない。そこにどんな夢をのせるのか、その夢をどうやって組立てれば人びとは楽しんでくれるのか。そういう創造性は、まだまだ、まだまだ、日本の方が上のはず。

だから、いまのうちなんだと思う。いまのうちなら、アジアのクリエイターは尊敬してくれる。やっぱり日本人はすごいね、素晴らしいねと言ってもらえる。そう言ってもらえるうちに、ぼくたちはアジアの人たちと”一緒につくろうぜ”と言わなければいけない。ここで一緒に製作していくパイプとか手法とかノウハウとかつくっておかないと、アジアの成長から取り残されかねない。そんな中国とかタイとかとは一緒にやれないよ、なーんて内にこもってたら、そのうち彼らが勝手に欧米とつながっていき、あれ?日本にもコンテンツ産業あったの?なんてことになりかねない。

コンテンツ産業の海外進出は、もちろん欧米を考えるべきだけど、同じくらい、いやそれ以上に、アジアを目指さねばならないだろう。

うーん、でもどうやって?ここはひとつ、みんなで手に手をとっていかないと、まずいと思うな!けっこう、急がなきゃ、ホントにヤバイと思うよ!

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コメント

  1. 価格破壊ができている部分は、国外依頼が行われています。日本だとその価格に対抗できるのは、受刑者と、じじばばです。アニメーションのカラーリングとか、映像音声のバグとりとかの、手作業は、海外でやるか、機械を高いのを買うか。そんな選択で、国に金を回すとかいう発想なしに行われており、で、最終的に、そういうところから、コンテンツが実は、流出して、アジアのアングラ市場で、勝手に売られているような気もしますけどね。

  2. 先日中国の外資系広告代理店の人たちと何日か行動を共にしましたが、彼らのビジネスレベルはすごくアップしていますね。数年前とは比較にならないほどです。お金もありますし、彼らとはともにやっていくしか日本の生きる道はないでしょう。中国人は昔は言うことを聞かないという感じがありましたが、今は納得すればこちらの期待以上のことをやってくれますね。先日も日本旅行中に写真を彼らのブログにアップしてくれるように頼んだのですが、結構高い質のものが旅行中にも関わらず多数アップされて驚きました。(私のブログにダウンロードして編集中です。)

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