番外:DTPboosterに行ったのだ〜iPadから見えるコンテンツの未来・その18〜

19日土曜日は、セミナーに出かけた。「DTP booster 014」という、その名の通りDTP業界のためのセミナーだ。今回のテーマは電子書籍、そしてiPadに関する内容で、12時半〜19時頃までという長時間に渡る濃いセミナーだった。すごく刺激になったよ。

DTP業界のセミナーだから、主に出版デザイン関係の人たちが参加してたのだと思う。かなり専門的な内容で、iPad出版はどうすればできるのか、具体的にレクチャーしてくれた。とくにAbobe InDesignのようなデザインアプリケーションから、ePub形式やアプリケーション形式のiPadコンテンツにするにはどうすればいいか、実際に使うツールのことなどもわかった。

全体を通して、ぼくは自分がここで書いてきたことがまちがってなかったし、皆さんとっくに考えたり実現したりしていることも多く、勇気づけられた気がした。

例えば「その13・システム化を解決せよ」で書いた、ひとつのデザイン作業から印刷物もiPadコンテンツもアウトプットするためのプラグインツールやCMSの話も出てきた。WoodWingとProBridgeDesigners-iがそれだ。

この2つについてはもう少し調べてからじっくり取り上げるからちょっと待ってね。

それから、「その6・国産の電子雑誌も頑張ってるぞ!」でとりあげた毎日新聞社の『photo J』のデザインを担当したCrossDesign社の黒須さんという方の講演もあった。その中で、こんな例え話をされていた。「大根の煮物から、漬物や切干し大根はつくれない」。

つまり、大根(コンテンツの素材)から煮物(紙の雑誌)をつくったあとで、その煮物を漬物(iPad雑誌)にするのは無理があると。ぼくが最初の方で書いた「その2・電子雑誌はPDFじゃダメなんだよ!」とほぼ同じことを言っているのだ。うんうん、やっぱりちゃんとした作り手は、同じように考えるのだなとうれしくなったよ。いやこれ、当り前だよね。いい例え。

会場では<#dtpbooster014>のハッシュタグが告知され、たくさんの人がTwitしていたので、Twitterでいまから追いかけても内容や雰囲気はわかると思う。

そのハッシュタグで参加した人たちの発言を読んでいると、出版デザイン関係の人たちとともにWEBデザイン関係の人たちも多く来ていたことがわかった。ぼくのような広告映像の会社の人間も来ていたのだから、もっと多様な参加者がいたのかもしれない。

iPadについて書きはじめたいちばん最初の記事の中でぼくはこう書いた。”iPadはコンテンツのジャンル、表現の分類を無意味化する”。そうなんだ。iPadコンテンツには、表現に関わるすべての分野の能力が使えるんだ。デザインでも、出版デザインとWEBデザインと広告デザインは、別々に育って別々に暮らしていた。ましてや映像制作なんかさらに遠くで暮していた。iPadはそれらを融合していった方が楽しいものができる。さらにプログラミング、ITといった分野の力も必要。ビジネスモデルを開発するような力もあった方がいい。

そういった、多様な分野の能力が結集する。iPadとはそんな場なのだと思う。そしてうまく力を合わせれば、既得権だのに縛られることなく、世界ともつながった何かが引き起こせる可能性がある。

だから、みんな、集結せよ。iPadの未来のもとに、集まろうぜい!・・・

追記:このイベントは主催側の対応がスピーディでもうもうフォローアップサイトができている。そこでさっそくこのブログもとりあげていただいたので、こっちもバナーを置いておく。

DTP Booster 014(Tokyo/100619)

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コメント

  1. 同級生が、CGアーティストなんですが、コンソーシアムとして、出版社のいないのを選択したらしいです。で、techwaveの湯川さんが、出版社に、「電子出版についてどう思われますか?」っていう誘導質問をされ、質問者が、「電子出版は、なくならないですから!」と、張本ばりに、喝を入れられて、超アウエイ感を味わったらしいです。出版社が、だめになったのは、だめ構造を作って、そこの若い人が迷走しているという事実です。本当に、iPadにどういういうコンテンツを作ればよいかが、若い人まで、理解できてないようなのです。

  2. それはこの記事に書いてある出来事では?http://techwave.jp/archives/51466408.htmlそれはともかく、iPadで「いままでやって来たことが再現できる」と受けとめるのか、「いままでよりもっとすごいことができる」と受けとめるか、なのでしょうね。でもiPad”だけ”のために何か作ってもあんまり儲からないだろうから、そこが難しいところ。

  3. 出版社をドロップアップ(ドロップアウトでなく、上でしょ)した人たちが、それなりに、新しいメディアで食っていけるので、最初発売のアプリだけで、(最初から最高の製品が作れるわけないのですが)儲かる構造を作るのではなく、長期的に、「あそこは、いいもん、作るね」ってブランドを作るってことだと思いますよ。相当、昔の出版社のごとく。

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