Apple3割の大きな意味〜iPadから見えるコンテンツの未来・その17〜

なんだか毎日毎日iPadについて書いている。この分だと、今月は丸きりiPadの記事になっちゃうのかな?でも本来このブログは、クリエイティブビジネス論なので、そこんとこ、よろしく。

まあしかし、少し落ち着いて一回の分量をコンパクトにしていこっと。

さて昨日の記事では、ものすごく強引な試算でiPadにはじまるメディアタブレットのコンテンツ市場が、2012年には1兆2000億円になる、という結論に至った。○○総研の人たちが行なう試算に比べるとどえらくいい加減な試算なので、あまりアテにしないでね。大まかにiPad市場をつかむ頭の体操みたいなもんだ、ぐらいに受けとめて。

そうは言っても導き出したこの1兆2000億円という数字。これはどれくらいのものなのか。

あ、ぴったしの数字を思い出したぞ。少し前にぼくは「日本映画産業論」のサブタイトルで15回ほど記事を書いた。その中の『アバター』を追いかけられない日本、という少し切ない記事の中で、映画興行の市場規模について語った。さらにその中で紹介したこのサイトの、いちばーん下のページの表を見てみよう。各国の映画興行市場規模があるでしょ。日本は1948億円、アメリカは9791億円。足すと1兆2000億円に少し届かない。まあでも四捨五入して1兆2000億円、ってことだ。

つまり、1兆2000億円とは、アメリカと日本(世界の映画市場の一位と二位)の映画興行市場を合わせたのとおんなじ、ということだ。あくまで映画興行であって、DVDセールスなどは含まないから気をつけて。

世界一位二位の映画興行の市場と同じだ、と考えると、これはなかなか、コンテンツ産業の市場として大きいんじゃないか、ってことが感じられるよね。うん、かなりの規模だぞ。

ところで、映画興行における流通マージンの話。これも少し前に書いたこの記事の中で語っている。日本の場合、ものすごくざっくり言って(実際には作品個別でかなりちがう)65%を小売と卸し売がとる、と説明した。(そしてこれも前に書いたけど、それでも映画館の経営はきびしく、配給会社はいくつか倒産したりしている)

アメリカの場合、日本と少し商習慣がちがうので65%は適用できない。適用できないけど、話をわかりやすくするために、アメリカも65%で計算する。そうすると1兆2000億円の35%が作り手(日本だと多くは製作委員会=出資社)に戻る計算。そうすると4200億円。そこから製作費を引いたのが利益だね。もちろん、けっこうな金額だよ。

では、iPadコンテンツの場合はどうか?これが昨日最後に書いた最重要ファクター。iPadで売られるコンテンツは、Appleが30%とる。それが唯一のルール。言ってみれば、流通マージンが30%だと。てことは、70%がコンテンツ製作側に戻ってくる。1兆2000億円の70%は?・・・8400億円だ。映画興行のケースとちょうど倍ちがうわけだ。35%と70%だから当り前だね。

わかる?そこがポイント。そこが革命。コンテンツ流通の構造を、劇的に、衝撃的に変えてしまうのが、iPadなんだ。強引な試算だけど、製作側に入るお金が、倍ちがう。倍だよ、倍。

もうひとつ加えて言えば、この流通構造では、小売や卸売りの説得、がいらない。映画興行では、映画館側が売れると判断してくれるか、配給会社が配給してくれるか、そこはパートナーシップなのだから、説得しないといけなかった。あらかじめ説得しておかないとお蔵入りになりかねないから製作に着手できなかった。

Appleは売れるかなあ、とか気にしない。審査して、問題なければAppStoreに置いてくれる。もちろんそこで、性的なものは拒まれるとか、問題なのかもしれないけど、そんなことより、とにかく置いてくれるんだからこんなにやりやすい流通もないんじゃないか。ただ、Storeに置く以上のことは、何もしてくれないけどね。

別の言い方をすると、iPad市場では、製作者が配給もやる、ということだ。プロモーションも自分でやらないといけない。あるいはそのうち、AppStore市場を得意にした配給会社ができるかもしれないけど。

とにかく、既存のコンテンツ市場と比べると、まったくルールがちがう。ヒットする自信さえあれば、製作者にとって圧倒的に魅力的な市場だってことだ。理屈上は、だけどね。

あれ、あんまりコンパクトになってないぞ。そろそろ今日はおしまい。次回はもう少し踏み込んだシミュレーションに入っていくので、お楽しみに。次は明日か週明けかはわかんないけど・・・

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コメント

  1. iTunesを買っていた人on iPodiPhone, iTunesでアプリを買っていた人on iPhoneiPad, iTunesでアプリを買う。という自然な流れ、が出来上がっていて、アプリ市場、アプリないストア市場が出来上がっているわけです。iPod持ってなくてiTunesで買わないで、違法ダウンロードを繰り返す人や、TSUTAYAレンタル、図書館レンタルで借りている人は、おじさんですが、差し引かないといけない。あと、今の20代とか30代ですが、一部の音楽違法ダウンローダーたちが、iPhoneのJailBreakerです。こいつらも、差し引かないといけない。アプリを購入しないおじさん、JailBreaker少なくないのです。

  2. Jailbreaker、どれくらいいるんでしょうねえ。と言うかティーンエイジャーはYou TubeのデータをどんどんiPodに入れてるらしいすね。おじさんでもいますか、そんなの。・・・いるよね。どれくらい差し引けばいいかなあ。ってもともとものすごくアバウトな試算なわけですが・・・

  3. 日本の文化レベルが下がって、違法性の認識の低い奴らが増殖してます。ちなみに、海外のエロサイトでは、日本からのアクセスのコンバージョンレートのあまりの低さに、co.jpアクセスを、遮断しているところがあると聞きました。サンプルを見まくって、購入しないということです。渋谷の本屋や、CD店が、閉店してしまうのも、ひまつぶしに利用して、買わない人口が相当数いたためと予測します。音楽の有償、無償ユーザについては、アスキーの遠藤さんが、独自調査で持ってたはずです。

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