キーワードはアンビエント化〜『電子書籍の衝撃』の衝撃!:前編〜

今朝、会社に着いたら驚いた。デスクに届いた封筒を開けると、中から出てきたのが、この本だった。

電子書籍の衝撃佐々木 俊尚ディスカヴァー・トゥエンティワンこのアイテムの詳細を見る

ワオ!なんと、佐々木俊尚さんの依頼により、ディスカバー21が”このぼく!”に送ってくれたのだった!4月15日発売の話題の本を、ひと足お先にぼくは手にしてしまったのだ。へっへっへ。

え?なんでそんないい思いできるのかって?それはまあ、あれなんだけどね、へっへっへ、とにかくぼくは佐々木さんにものすごく啓発されている。それについては、この”焼け跡ブログ”カテゴリーの一連をざっと読んでもらえればわかるよん。

それに佐々木氏はいま、メディアコンテンツ業界にとってもっとも注目すべき発言者だ。メディアの預言者、2010年代のマクルーハンだと言ってもちっとも言いすぎじゃないぞ。何しろぼくは、佐々木氏のTwitter上でのつぶやきを日々チェックし、言及されているサイトをいちいち読んでいる。それにメールマガジンだって読んでるんだ。佐々木さんに注目している人ならこのメルマガは、読んだ方がいいよ。ここから申し込めるから、はいすぐ申し込みなさい。ほら、いますぐ!

さっそくその『電子書籍の衝撃』を読みはじめたのだけど、会議はあるわ電話は鳴るわメール書かなきゃだわで、なかなか落ち着いて読めない。そうこうしているうちに出かけないといけなくなった。どこに?『電子書籍の衝撃』の出版記念講演会に!献本をいただいたその日に、その本についての講演会を聞きに行くという、たまたまの一致だけど不思議な体験をした。

講演会の内容についてはここにトゥゲられているので、ざっと読むといいよ。億劫だという人は、@dankogai氏のTweetだけ追っていけばいいかもしれない。そう、あの小飼弾氏もひとりの聴講者として来ていたのだよ。

さてせっかく”献本(!)”いただいたのだから、『電子書籍の衝撃』の衝撃について書こうじゃないか。しかも前編と後編の二回に分けて。・・・というのも、結局まだ半分しか読んでないからさ。あはははは

半分しか読んでないけど、言えること。この本は電子書籍についての本だけど、出版社や文筆業の人だけの書籍ではない。メディアやコンテンツに関わるすべての人に大いに参考になるはずだ。例えば、広告や映像の仕事をしているぼくが猛烈に読みたかったのは、電子書籍についての話が、映像や広告の未来を考えるのに役立つと考えたからだ。読んでみるとやはりその内容は、ぼくの期待以上のものだった(まだ半分だけどさ)

前半では、電子書籍の概観的な説明から入り、ビジネスとしての電子書籍について細かに語っている。この部分は、ネットワークを生かしたビジネス全般の参考に大いに役立つのではないかな。Kindleの仕組み、そこに登場したiPadの電子書籍の手法。そして両社に翻弄されるアメリカの出版業界。さらにはGoogleも参戦して、三つ巴、四つ巴の熾烈な主導権争いを展開する。それはまさに”闘い”だ。あっちがこう来たら、こっちはこうする。それを受けてこうしちゃえ。そんな争いが実際に行われている最中なのだ。こうした熾烈な闘いが、ひとつの産業を鍛え抜いて強固なものにする。

電子書籍を巡る攻防は、コンテンツを巡るビジネスモデル開発の最前線になっていたのだ。アメリカでは、ね。ネットの黒船に脅えているだけの日本が情けなくなってくるかも。

そういったこの本の主旋律とは別にぼくが注目したのが”アンビエント化”の概念だ。これについては講演の中でもとくに深く語られていた。メディアとコンテンツの将来像を考える上での重要なキーワード。そしてこれも、書籍だけの話ではない。音楽の世界ではとうに起こり、これからおそらく、映像コンテンツの分野でも、また広告の世界でも、大きな波になってくるだろう。

アンビエントとは、”環境”とか”遍在”と訳されている。いくつかのかみ砕き方があるのだけど、これもアンビエント化がすでに起こっている音楽で見ていくとわかりやすい。iTunesストアで音楽を手に入れるようになって、音楽は”どこにでも存在する=遍在”状態になった。PCで聞いてもいいし、iPodなら動き回りながら聞けるし、iPodを機器につなげば以前のステレオのようにも聞ける。

それから音楽は時代性が無意味化した。iTunesで手に入れた曲は、60年代のビートルズだったり、80年代のポップミュージックだったり、最新のヒット曲だったり、もはやすべて並列だ。実際今の若い人はビートルズを聞いていたりする。そこに”懐かしいなあ”という感慨はない。時代を越えていい音楽はいい、という聞き方だ。

もうひとつ、”所有する”感覚が無意味化する。LPジャケットを後生大事に並べる、という音楽ファンの姿はもはや一部のものになってしまった。そういう、格別な”パッケージ”された形でコンテンツを所有するのはもはや一般的なものではないのだ。

音楽で起こったアンビエント化が、電子書籍の大きな波によって”本”でも起こるだろう。

そこでぼくが考えるに、少し遅れた形で映像コンテンツでもアンビエント化が起こるのではないか。それよりもっと早く、広告コミュニケーションはアンビエント化するのではないか。”ないか”と書いたけど、ほぼまちがいなく起こると思うよ。これについては近々、別の記事でちゃんと書くつもり。待っててね。

てなところが、『電子書籍の衝撃』の衝撃、前編でした。後編は、さらにふくらんでいくよ、たぶん。後編のキーワードは、コンテキストと、キュレーション、のはず。というか、明日はそれらについて、書くけんね。

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コメント

  1. 重箱の隅で恐縮ですが、「偏在」ではなく「遍在」ではないでしょうか。

  2. 今アナログレコードの生産量はヨーロッパを中心に毎週約10万枚です。自分の知ってるドイツの工場はフル稼働。もちろん需要があるから作ってる。普通にアマゾンでもチェックしてください。自分の視野に入らないものを全否定するのは危険ですよ。

  3. 100万枚弱です。毎週2000タイトル以上リリースされている。1タイトルの生産ロットが最低500枚ですので。もちろん完売はしませんが、基本売れる見込みで作られてる。日本での生産は東洋化成だけですが、ちゃんと稼動してる。消滅したといっているアルバムジャケットだけでいくつも印刷屋あります。レコード針の工場もフル稼働してますよ。マクロで語るのはいいですが「ないこと」にしちゃまずいですよ。

  4. typoさん、ご指摘ありがとうございます。「遍在」と「偏在」とは正反対でしたね。あとで修正します。

  5. JET SET CEOさん確かにぼくは「感覚が無意味化する。LPジャケットを後生大事に並べる、という音楽ファンの姿はもはや存在しない。」と書いてますけど、「存在しない」は事実ではないですね。いまもLPジャケットの形で音楽を聴いてる人がいることは知らなかったわけでもないのに、まちがったことを書いていました。あとで修正しますね。

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