はい、上の図は昨日と同じです。また使うからねー。
さて上のような構造ができ上がってリーマンショックがやって来た。そうするといままでにも増してクロスメディアが進まなくなってしまった。
上の図はようするに、マスとネットとで受発注が別々のルートに分れてしまっているということだ。ほっとくとクロスメディアにならないわけだ。その上、経費削減の台風が吹き荒れている。別々のルートのそれぞれがガクガクブルブルとすっかり萎縮してしまったのだ。よけいにクロスメディアが進まない。
さてここで面白い現象が起こる。そしてよく考えるととっても不合理な現象だ。
宣伝部は金額的にもっとも予算を減らした。例えば広告宣伝予算が年間100億円あったとしよう。それが70億とか50億とかになった。
広報などWEBオンリーの部門は予算総額そのものは減らされてはいない。ただし年間の予算規模は宣伝部の何十分の1だろう。数億とか、ヘタをすると数千万かもしれない。
WEBの部門は予算規模が小さい。だから発注規模は百万単位だ。十万単位だったりもする。そんな中、効果だけは求められ、発注側も受注側もキュウキュウとしながら商談をする。
一方で、宣伝部は予算が減ったとは言え、相変わらず億単位の話をしている。同じ企業で部署がちがうと、発注金額の単位が全然ちがうのだ。
生々しく書いてしまうと、マスメディアを軸としたキャンペーンの場合だと2億とか3億とかいう規模だとあまり効率的ではない。2億ぐらいだとテレビCMと新聞雑誌広告を展開するなんて効果的とは言えない。短い期間でパーッとコミュニケーションが過ぎ去っておしまい。認知も獲得できない。そこで宣伝部はうーむと悩みこむ。
だったら宣伝部予算と広報や販促のためのWEB予算を合わせてしまえばいいのだ。2億円はマスメディア中心に使うと花火にも何もならないが、いっそドカンと丸々ネットに使えば相当なことができるだろう。でもそうならないのだ。WEB展開に億単位の予算を投じるのはありえない。「だってWEBはマスメディアより安いわけだろう」社内でそう言われてしまうからだ。
テレビCMだとなぜか2億円ぐらい使う話が通るのだ。それは各企業の上層部がテレビならわかるからだ。自分たちが観るから。でもネットでの広告は上層部は見ない。ネットなんかあんまり見ないからだ。
なんかすごく馬鹿みたいだなーと思う。結局、宣伝部とネット関係の部署はお互いに損しているのだ。
これを解決するには予算を全部一括で扱うしかないだろう。予算が部署ごとに分かれて組まれているから不合理になる。一緒にして振り分け方はその都度判断すればいいのだ。
上の図の中にChief Branding Officerというのをオレンジの点線枠で置いてみた。そんな存在が必要なのだ。CBOがコミュニケーション予算を一括で管理する。新商品がでる、と決まったら、目標となる売上規模をもとにその商品に必要なコミュニケーション予算を組む。10億かけられるのなら、マスメディア中心に考えればいい。2億とか1億とかだったら、マスはちょっと横において考えた方がいい。ネット上で十分なことをやるのなら、マスメディアはいらないかもしれない。
あるいは、何らかのコミュニケーションを考える際、マスメディアから、ではなく、ネットから考えた方がいい。いままでは、テレビCMを先に考えて、ネットでやること企画しよう、となっていた。これからは逆。マスはいちばん最後に企画すればいいのだ。
そうしたコントロールをCBOがやればいい。そうすればクリエイティブ業界にもプラスに働くはずだ。
という理屈はカンタンだけど、現実はそうカンタンではない。いろんな人の気持ちややる気を逆なでする話なので。
だから、少しずつ、のんびり、ね・・・とは言ってられないのだけど・・・
関連記事