興行収入と作り手(アメリカの場合)〜日本映画産業論その2〜

アメリカの場合、興行収入から直接作り手に還元されるらしいんだわ。

これをはっきり知ったのは『メイキング・オブ・ピクサー』という本を読んだ時だった。

この本はすごく面白くって、ピクサーという会社の生い立ちをかなり生々しく語っている。スティーブ・ジョブズがアップルから追い出されたあとで経営していた会社だと伝え聞いてはいたでしょ。でもちょっとちがう。たまたまジョブズが買ったらしいの。そんなに期待してたわけでもなく、CGアニメーションが伸びるって理念を持ってたわけでもない。何度も売ろうとしていたらしい。

ピクサーは、ジョブズの会社になったりしながらも、「いつの日かCGアニメーションで世界中を楽しませたい!」と信じつづけたオタクたちの努力の結晶なんだ。信じつづけるところがえらい。

それはともかく、この本の中で『トイストーリー』の企画がようやく日の目を見て、いよいよディズニーと契約する箇所がある。この本はいま人に貸していて、正確な記述をここで書けないのだけど、だいたいこんなことが書いてあった(はず)。

”『トイストーリー』についてディズニーと交わした契約は決していい条件ではなく、興行収入の15%がピクサーに入るというものだった”

ほんとにうろ覚えなんだけど、そんなことが(たしか)書いてあった。びっくりしたのでよく憶えているのだよ。

えええーーー?!と思った。興行収入の15%!

前に書いたこと、憶えてる?制作側は出資してないとリターンはない。それが日本ルール。『トイストーリー』では制作費はディズニー持ちだとも書いてあった。制作費を負担しないのにリターンがあるの?資本主義の国アメリカで、そんなことが許されるの?

でも、どうやらそうらしいことは前々から噂では聞いていた。だからぼくはこの本で、はっきりそれを記述として確認したのだった。

前に書いたシミュレーションでは、製作費5億円、興行収入20億円だと、劇場公開の段階ではリターンはゼロだったでしょ。でももし、興行収入の15%がリターンされるなら、3億円!えー?!そんなにもらっちゃっていいんすか?

日本映画でもこの方式だと、そうとう状況は変わってくるね。3億円のリターンがあれば、手弁当で参加していたスタッフにも、つまり脚本や監督だけでなく、照明さんとか衣装さんとかにも還元できるね。そしたらさあ、また次がんばっちゃおうかなって気になるでしょ。働きたいって人も増えるんじゃないかな。

制作会社は半分の1億5千万くらいは残して、次の企画に投資もできるね。落ち着いて企画ができるよ。やみくもに小説を映画化したりなんかしないで、オリジナル脚本を練りに練って仕上げられる。あるいは、才能ある若者に企画料渡して開発させられる。なんか全然状況が変わるんじゃないかな。

・・・うーんしかし、どうしてアメリカと日本はこんなにちがうのだろう。この方式の違いが産業としての興隆のちがいにつながっているんじゃないか。

それはもちろん、そもそも文化がちがうから、なわけだけど、産業としての歴史、そしてマーケットの規模のちがいが作用しているらしい。らしい、ってのはぼくもはっきり解明できてないってことなんだけど、知ってるなりのことをまた書くね・・・

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コメント

  1. いやほんとに、音楽でも、映画でも、まんがでも・・・アメリカで成功したクリエイターって、すごく経済状況がいいイメージがむかしからありました。で、わからないながら、知ろうと計算でいろいろ計算するんですが・・・なんか、日本の感覚といろいろ違いますよね。特に、ミュージシャンが・・・日本で800万枚打った人より、世界で400万枚ぐらいCD売ってる人の方が、ひどく金持ちになってる感じがしたり・・・してたんですよねぇ。アメリカなんかの方が、CDの単価も安いでしょ。なにの・・・やっぱ、日本は物価が高いのか? みたいな・・・。謎を、解き明かしてください!!!!m(_ _)m

  2. あ、原田くんだ。あはは。なんかすげえ誤字だらけ。「なにの」「なのに」だよね?あはははは解き明かせるかどうか・・・はわかりましぇんが、書きますね、とにかく。明日かな?

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