コンテンツのグローバリゼーション〜クリエイティブ維新その5〜

えーっと、まずその知らない間に批判されてた、そのコメントを引用するね。

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「おくりびと」「つみきのいえ」共にアカデミー賞の「外国語部門」のオスカーですよね。
そのことだけで、アメリカ映画を駆逐して日本映画が席巻したという彼の論は詭弁の類にしか映らないのですが。
(ほとんどのオスカーはアメリカ映画の手中にあることを見ていない……)
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まず単純にまちがいがあって、「つみきのいえ」は外国語部門じゃなくて短編アニメ部門ですな。

それから、なんでこういうこと書くかなー、”アメリカ映画を駆逐して日本映画が席巻したという彼の論”ってそんなこと書いてないじゃんか。

でもって、”ほとんどのオスカーはアメリカ映画の手中にあることを見ていない・・・”って、見てるってば。

仮にもぼくはけっこうヒット映画を出している映像制作会社の経営企画室長なのよ。”見ていない”ようなシロウトじゃござんせん。「わーい、日本映画がオスカーを席巻したぞー、これから日本映画がアメリカ映画を駆逐するぞー」と言いたかったわけじゃないの。

日本映画が海外に本格進出するきっかけになるかもしれない、って言いたかったの。

きっかけ、って言うとちっちゃな、謙虚な話みたいだけど、大胆にしたたかに考えている。

で、上のコメントの人はたぶん、ハリウッドが”ローカルプロダクション”に意欲を見せはじめていることを、”見ていない・・・”

知ってる人は知ってるけど、例えば『デスノート』2作はワーナーブラザーズが配給したの。ワーナーは他にも日本映画に手を出していて、邦画市場に意欲的。

なんでかわかる?

アメリカ映画が、すこーしずつ、海外で売れなくなってきたからなのよ。

日本市場はその典型。世界第2の映画市場で、ハリウッドは苦戦している。ハリーポッターとか、スパイダーマンとか、超のつくA級作品は大ヒットするけど、その次のポジションの作品、A級B級の映画が、ひところほど興行収入を稼げなくなってきた。

え?そうなの?と思う人は、”日本映画製作者連盟”のウェブサイトを見てみよう。そこでは興収10億以上の作品リストが毎年分並べて見れる。

興収10億以上の作品は、2008年は邦画28,洋画24だった。
2007年は邦画29,洋画22。2006年は邦画28,洋画22。
2005年は邦画26,洋画39。2004年は邦画20、洋画31。
2003年邦画18、洋画29。2002年は邦画17、洋画31。
2001年は邦画15、洋画30。2000年邦画18、洋画30。

どお?なんか”激変”って感じでしょ?

2005年と2006年の間で、何かが変わった。何かが起こりつつある。

でもってこれは、世界的な現象らしいのじゃよ。ドカーン、バコーン、ズゴーン、にみんな(世界中が)飽きはじめている。

あくまで飽き”はじめている”のであって、まだまだ、ハリウッドは産業として巨大なんだよ、もちろん。でも陰りが見えはじめている、のは確か。

そして、したたかなハリウッドは”国産品”にはこだわらない。儲かるなら何でもやる。貪欲にとりこもうとする。

そこで、”ローカルプロダクション”の動きがはじまった。日本市場で邦画が儲かるなら、おれたちも邦画やっちゃうもんね、ってわけ。もちろん、あわよくばその企画を世界向けに作り直してもいいしね、という魂胆もありありなわけだ。

”世界に目をつけられよう”って書いたのは、つまりそういうこと。

ふーん、じゃあ、みんなでハリウッド資本に食われるわけね、それでいいのね、って思う?うーんとね、ちょいとばかりちがうことが言いたい。

ありゃ、もうこんな時間。ではまた次回ねー。

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