広告と販促は分化して再統一へ〜メディア事変その26〜

ウハウハ新製品を出してマスメディアで告知するシステム=広告は、その新製品を売るための仕組みだけど、実際に売るにはもう一押しが必要だった。それが販促とかSP(Sales Promotion)とかの呼び名でよばれる分野。これがよく考えると不思議な分化のもとに発達してきた。

販促と言うのは、例えば店頭で具体的にモノを売るシステムのこと。家電量販店の店頭に行くと、いろんなSPツールがごちゃごちゃーっと置かれている。CMに出てくるタレントの顔が載ってるPOPとか。分厚いカタログとか。ああいうヤツ。CMでは上品なビジュアルとキャッチコピーだったのが、いきなり泥臭く、「薄さ5cm!」だの「どこでもお手軽!」とか、赤や黄色の派手な書体でビックリマーク使いまくってアピールしてくる。

客は別に”下品なコピーだわ”などと軽蔑したりせず、”そうかあ、5cmかあ”とか”どこでもってのは便利だなあ”などと感心して、他の商品と比べたりして、”よし!これ買うぞ。あ、すいませーん”と店員に声をかける。

販促は大変だし、頑張っててえらいんだ。でも、マスメディアを中心とした広告の側は、なぜか販促のことを”ふん、SPかよ”と軽蔑してきた。ぼくが若い頃いた広告代理店でも、クリエイティブ局という”広告”の方を企画する部署とは別にSP局などの名称の部署もあって、そこにはクリエイティブの最前線を引退したおじさんたちがいた。

広告代理店はクライアントに頼まれると、半ば”仕方なく”SPもやりますとも”と心にもないことをいいながら引受けていた。なぜ仕方なくなのかと言えば、SPはマスメディアを使わないので、広告代理店にとって大きな利益にならないのだ。

不思議と、クライアントの中でも、宣伝部と販促部は分化していた。宣伝部は独立した存在で、使う予算も莫大なのに対し、販促部は営業本部や事業本部の下位部署で、なんだか申し訳なさそうな存在だった。予算もそこそこ持ってるんだけど、小刻みに、大事に大事にお金を使う。

同じ”デザイン”とか”コピー”とかの作業でも、宣伝部が発注する領域の仕事は値段も高い。一方、販促の領域は安い。安いから、ヘタすると印刷会社がサービスでデザインも提供したりしていた。

この分化は、そして実際に売るチカラは販促にあるのに、広告からさげすまれているムードは、90年代に入ると少しずつ話がちがってきた。

あれ、短く済むはずが長いじゃん、このテーマ。そっかあ、この話は奥が深いんだなあ。・・・ってことで、続きは明日ね。もう眠いし。明日は早いんだよ・・・

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コメント

  1. 販促と広告の予算配分の違い、実情を初めて知りました。これって、広告業界が如何にクライアントを軽んじてきた業界か、という感じです。物作りのメーカー業界だったら、考えられない思考論理です。

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