ぼくは去年の6月の記事で「おれの知りたいニュースを教えてくれ」と題して、新聞が電子化されたらアマゾンのようにレコメンエンジンを乗せてほしいものだと書いた。
日経新聞電子版を試してみて、それに近い状態なのにうれしくなったぞ。
日経新聞電子版はアクセスして一見すると、これまでの”NIKKEI NET”とさほど変わらない感がある。でもいままでムヤミに見出しが並んだのと比べると、ちょっとスッキリしている、とも感じるだろう。
当然ながらメニューが増えている中で、右肩の”My日経”をクリックすると、そこにWEB新創刊の真骨頂があった。
過去の記事を見た履歴から「あなたが読みたい記事はこれじゃない?」とリストを提示してくれるのだ。おお!これこれ!まさにレコメンシステムだ。もちろんある程度いろんな記事を読まないと履歴がないのだからレコメンもない。でも、小一時間いくつか記事を巡っただけで「これじゃない?」リストが出てくる。うんいいぞ!イメージ通り!
My日経には”自動記事収集”機能もある。これはキーワードをいくつか設定しておくと、そのワードが含まれる記事をリストアップしてくれる。検索ワードや「or and」の設定にはちょっと知恵がいるけれど、とにかく興味のある分野の記事だけ選び出してくれるのだ。うんうん、これもいい!
それからちょっと感動したのが”ワードロボ”という機能。ぼくはつねづね、自分の知りたいことのキーワードみたいなものがFlashでふわ〜と浮いてくるようなインターフェイスができないものか、と夢想していたのだけど、ほぼそれだったのだ。画面にキーワードが並んで出てきて、それをクリックするとそのワードに関連した記事がリストアップされる。検索するほど意識してなかったけど、なんとなく気になっていたお題、みたいなワードがふわっと出てきて、関連記事が読めるわけ。うんうんうんうん!これは素晴らしいぞ!
というように、日経新聞電子版はかなり完成度が高い電子新聞だと感じた。
ところが問題がある。そしてぼくにとっては重要な問題だ。
携帯電話サービスもある、というのは事前情報として知っていた。ところがそれはあくまで携帯電話向け。スマートフォンには対応してません、と堂々と説明ページで宣言している。
iPhone向けサービスはないってことかよ!
それはない。それはぼくにとってはありえない。いやぼくだけでなく、いまや「通勤電車でも会議室でもみんな持ってるねiPhone」という状態なんだぜ。そこへ持ってきてもうすぐ話題のAndroidケータイ”Xperia”も登場するというのに。日経新聞電子版がビジネスサービスであるならば、スマートフォン対応は必須じゃないの?
願わくは、「いま必死で開発中です!」でありますように。それにもしそうなら、アナウンスしてほしいもんだ。
せめてMy日経の機能だけでもiPhone対応してはどうだろう。朝軽く記事をチェックして、気になる見出しは保存して、電車の中で読む。そんなことができたら、ぼくは毎日読むよ。いままでにも増して読むよ、日経を。
それからどうしても料金の問題は考え込んでしまう。
実は今週、日経新聞電子版いよいよ登場ということで、会社で購読するつもりだった。会社は紙の方をとっているのだから、追加1000円でいいわけでしょ、と。総務に手続きを頼んだのだけど、まず電話がつながらないという。うーん、出たばかりだから仕方ないかな、と待ってたら、ようやくつながったけど「法人購読は月4000円で、まずは個人で試しに購読してみてはと言われました。4月末までは無料だそうです」と報告があった。
法人購読は月4000円?法人の場合は紙をとってることは関係ないの?法人購読を申し込んだら個人購読を勧めるわけ?うーんよくわからない。WEB上の説明でもこの点はよくわからないことになっている。
そんなところへ、Twitterで・・・
日経新聞電子版について日経に問い合わせてみた。「法人で購読したいんですが?」「社内で閲覧される方の人数x4000円になります」………ありえへんし!!
という”つぶやき”が流れ込んできた。これはどういうことだ?
結局、法人購読の料金体系がなんだかわからなくなり、めんどくさくもなったのだけど、4月末までは無料ならと、今日になって個人購読で試してみた、という流れ。法人購読で紙の方をとっていると、閲覧者は社員の数だけいる。それなのに電子版だと4000円×人数なのか?それに紙をとっていればプラス1000円じゃないの?うーん、よくわからん。
紙をとっていればプラス1000円。電子版だけだと4000円。この料金体系もなあ・・・紙をやめる意志がまったくない人には、ま、別にいいっすけど、ということだろうけど、新聞そのものが自分の生活に必要か?とみんなが悩んでいるこのご時世にどうなんだろう。紙をやめさせたくない、という意図なのはよくわかるけど、かえって紙も電子版もやめる方向へ向かわせてしまわないだろうか。少なくともぼくは(さっきあれだけほめちぎっておきながら)この一カ月悩むだろう。それは「おれの知りたいニュース」はいまや相当なレベルでネットとiPhone(そしてTwitter)で収集できてしまうからだ。
電子版の料金はおいとくと、紙をとってれば無料にするのがマーケティング上の正解だったのではないだろうか。そうすれば紙をやめない意志が強く働く。電子版でよぶんに稼ぐのではなく、電子版で”つなぎとめる”のが考えるべきポイントだったんじゃないのかな?・・・
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